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135 謎が解ける。

さてさて、葵の正体はバレるんでしょうか?

板谷公佳です。板谷翔の母です。


長男の翔の応援に隣の県まで応援に来たら、何と高校の時の友達の小出智花が家族と一緒に来てました。


どうもうちの家族と一緒で応援に来てるみたいだけど、不思議。

話を聴くと次女の葵さんの応援らしいけど、桃花高校は男子校だから、葵さんはいるわけないし、

他県の高校で出場っていうのもおかしい。

他県の高校に通学してるなんて話は聞いてない。


だいたい、どこの高校に通ってるって聴いてなかったんだよね。

だから訳がわからない。

夫も、娘の佳織もやっぱり不思議そうな顔をしている。


そんな私たちの気持ちに応えるように、智花が口を開いた。


「じゃあ、タネを明かすね。

不思議と思ったでしょうけど、うちの娘、葵は桃花高校の劇に出てたの。女子高生役で。」


「えっ、何なの。それっ!もしかしたら、女子校の生徒が男子校のヘルプで出演したってこと。

葵さん、私たち女子校の後輩なの?」


「違うよ、公佳。

いかに関連高校でも、男子校と女子校は違う高校だから、そりゃまずいでしょ?

ばらしちゃうと、娘の葵は戸籍上は男性なの。だから、男子校の生徒。

あ、驚いた?

でもね、身体はほぼ女性。わかりやすく言うとニューハーフっていうのかな?

心が女性で身体が男性っていう性同一性障害とか性別違和って言葉、聞いたことあるでしょ?

うん、知ってるよね?

葵もホルモン治療してて、身体が女性化してるの。

おっぱいも膨らんでるし、お尻も大きくなってるんだ。

学校も女子校の制服で通ってる!もちろん学校の許可あり。

私と夫はもう娘だと思ってるし、長女の柚は妹と思ってる。

来春、18才になるから、夏休みに性適合手術を受けて完全に女性化するの。

18才になると手術解禁されるんだ。

その後、20才になったら、戸籍を女性にする予定。

ごめんね、隠してて。

だますつもりはなかったけど、積極的に話をするようなことじゃないと思ってたから、話さなかった。

でも、こういう状況じゃ話すしかないから話すことにしたんだ。」


「・・・そうだったの?びっくり・・・・

女子高生役の生徒って葵さんに似てるとは思ったけど、やっぱり葵さんだったんだ・・・

それにしても、完全に女の子ね。

しかも、かなり可愛い女の子。

すごい・・・

そのホルモン治療?っていうのがあるかもしれないけど、全然元の性別を感じさせないよ。

すごいね、医療の力は。

そっか、次に手術をして、戸籍も変えるんだ。

そしたら、普通の女性と同じね。」


「でもね、当然のことのように、子供は作れないんだよ。

子宮はないからね。

女性らしさを維持するために、ホルモン治療は一生受けないといけないし、結婚もできるかどうかわからないの。

でもね。家族で真剣に話し合った。

葵にとって、幸せな人生って考えて・・・

その上での結果なんだ。」


「そうなんだ・・・

そういう経過があったのね。」


私は絶句しました。これは、重い話題になっちゃった。

あんなに可愛い葵さんだけど、大変な人生なんだ。

何て言っていいかわからない・・・どうしよう?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



佳織です。

明るい母が黙ってしまいました。


私も、父の瞬も衝撃の事実に何を言っていいかわからないという感じでした。


でも、不意に父が小出家に質問をします。

聴かずにはいられない感じでした。


「あの、変な事をお聴きするようですが・・・

ちょっと前に、電車で葵さんらしき娘さんに会ったような気がするんです。

私、電車の中で怪我をしたんですが、葵さんに似てる女子高生にティッシュとガーゼ付き絆創膏をもらって助かったんです。もしかして、葵さんからそんな話聞いてませんか?」


すると、健人さんがおおっとした感じで、答えます。


「そうでしたか?

それ、葵です。

葵が食事のときその話をしてました。

病院に行った帰りに電車の中で起きた話だって報告したんです。

急いで電車の中から飛び出した若い男性がいて、その男性の持ってるカバンの金具と接触して指を切った人がいたって言ってました。

葵は大変だと思って、すぐに絆創膏を手渡したそうですね。

危ない人がいるねって家内や長女とも話をしてたんです。

奇遇ですね。」


「やっぱり、そうでしたか。

あの時は本当に助かりました。

一瞬嫌な気分になりましたが、葵さんのおかげで、すごく清々しい気持ちに切り替わりました。

葵さんは本当に素敵な娘さんです。

あの状況で、知らない中年男性に、ティッシュと絆創膏をすぐ手渡すなんて、なかなかできるもんじゃない。勇気もあるし、気配りもある。

生まれた時の性別とか関係ないんじゃないですか?

もう、素敵な女性です。

さっきの演技も素晴らしかったですけど、人格的にも素晴らしい。」


「あ、ありがとうございます。

娘がそんなに褒められるなんて。

光栄です。」


重なる偶然に、私も気分がハイになります。

「葵さんはやっぱり私にとって、素敵なお姉さんです。

うん、可愛いし、優しいし、元の性別なんて関係ない。

お姉さんの柚さんも素敵だから、二人と仲良くなりたいっ。

今度、お宅に遊びに行ってもいいですか?

図々しくてごめんなさい。」


「どうぞどうぞ、いらしてください。遊びに来てください。

そうだ、家族みなさんで、うちに遊びにきませんか?

奥さん同士が友達だし、ウチの葵とそちらの翔君は同じ高校の演劇部でなんだから、これも何かの縁です。

これを機会に家族ぐるみでお付き合いしましょう。」


「うん、いいですね。

私にもう一人可愛い妹ができるみたいで嬉しい。

お父さん、いい提案だよ!」」


「小出さん、お誘いありがとうございます。

そうおっしゃるなら、時間を調整して、家族で一度お邪魔します。

そのあとは我が家にも遊びにきてください。いろいろ話をしましょう。

小出さん、お酒はお好きですか?」


「ええ、それほど強くないですが、けっこう好きです。」


「では、いいお酒をもって遊びに行きます。楽しく飲みましょう!」


母親の公佳が、ふーっと息を吐きだしました。


「何か、空気が重くなりそうだと思ったら、旦那同士で、仲良くなっちゃいそうね。

何か楽しくなってきた。

葵さんの抱えている問題、深く考えるのやめます。

葵さんは、可愛くて、気持ちの優しい女の子。そう、シンプルに考えるね、智花!

あんなにいい子、そんなにはいないよ。

柚さんも素敵だし、いい娘を二人もったわね。

うちの娘も二人を手本にしなきゃ。」


「ありがとう。公佳。

これからは家族ぐるみで仲よくしようよ。」


「そうだね。家族合同で、食事とか旅行とかいいんじゃない?」


葵さんの性別については驚いた私たちの家族でしたけど、結局、そんなことは問題じゃないっていう結論になりました。

でも、新たに気になることが出てきた。

お兄ちゃんと葵さんの関係。

単に、同じ高校の同じ部活の仲間って関係かな?

でも、さっき見た劇の中では主役とヒロインの関係だった。


もしかして、好き合ってたりして・・・

葵さんの体って、たぶん、一部を除いて女性化しているんだもん。

お兄ちゃんも、葵さんのことを男子としては見れないんじゃないかな。

うーん、気になる。

出演してた部員の中で、お兄ちゃんは断然かっこよかった。

あ、もう一人背の高い男の子もかっこよかったかな?

とにかく、葵さんがお兄ちゃん好きになっても全然不思議じゃない。


もし、二人が好き合ってたりするならば、応援しなきゃ。

ウチのお父さん、お母さんも同じ気持ちのはず。

特に、お父さんは葵さんに親切にされたから、メロメロだよ。

うーん、これから楽しみ。

バレても、上手くいっちゃいましたね。

元々お母さん同士が仲いいしね。

葵の電車の中での行為が効果を発揮しました。


5連休中は毎日更新。明日も更新します。

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