134 全国大会の応援で板谷家と小出家が鉢合わせ
ついに2家族が鉢合わせです。
どうなることやら?
葵です。
ついに、全国大会出場です。
全国大会は毎年違う県で行われます。
今年はラッキーなことに私たちが住む県の隣の県の都市での開催です。
電車でも車でも、私たちが住む市内から2時間あれば、到着できます。
北海道とか九州とかだと、大ごとだし、応援に来てくれる人はあまりいないでしょうけど、
隣の県ということで、けっこう応援に来てくれるみたいです。
開催日は7月31日から8月2日まで3日間。
私たちの高校の出演日は中日の8月1日の午後です。
山野先生に言わせれば、この順番はよかったみたい。
どうも、最初の方に登場するのはあまり審査の上では、有利と言い難いようなのです。
コンテストは相対評価だから、最初の方は辛口の目で見られがちということです。
また、初日の最初の方だと、緊張がすごいみたい。
後から出る高校の方が緊張が和らぐし、前の高校の状況をみて、改善点を見つけて対策を練ることができるというメリットがあるから、真ん中くらいの順位がいいみたいです。
最終日の最後の方は、また緊張するみたいだから、やっぱり中日が最高。
私たちは、何とか練習の成果を出しきって、演技を終えました。
私も、板谷君も大学生の演技を見て学んだ「人の心を動かす」ということを念頭に、役になりきって、熱演しました。
他の出演メンバーにもその気構えは伝えていたので、全体でも地方大会より迫力のあるものになったと思います。
他の高校より優れていたかどうかはわかりません。
全国の舞台で燃焼したという充実感は感じました。
幕が下り、舞台の片づけを終えて、落ち着いたあと、私たちはお互いに声を掛け合います。
「ねえ、今日の私たちって最高じゃない?!勝てるかどうかわからないけど、やりきったよね!」
「おおっ、この劇を頂点まで高めた気がする。確かに最高だ!」
「もう、勝負はどうだっていい。俺たち自身が満足できたんだから。」
「でも、審査員はまた意地悪なこと言うんだろうなあ。でも、いいか。言わせておこう。」
「審査員はそれが仕事だからな。
高校生の粗を見つけて指摘するのに一生懸命だからな。
まあ、結果は結果で受け止めよう。それは来年につながる。」
「いや、地区大会は2カ月後だから、2カ月後につながるってことだな。」
「細かいな。まあ将来につながるってことでいいだろ?」
「まあな。」
こんな調子です。みんなすっきりした顔になっています。
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板谷佳織です。
本日、お兄ちゃんの全国大会の晴れ姿を、家族3人で見に来てます。
さすが、全国大会。
ミュージカルみたいな歌で盛り上げるものもあれば、映像をうまく使った現代的な劇もあって、驚きの連続です。
「次は、ついに翔の高校の出番だな。男子校だから、男ばっかりの劇だな。
ん?
そういえば姫制度っていうのがあったか?
女形ってどうなんだろう?」
父は男子校の姫に興味津々です。
「ふふふ、実は私、女子高時代に男子校の劇を観に行ったことあるの。見事に女形を演じているのを見てびっくりしちゃった。
多分上手く女性の役を演じるんじゃないかな?」i
お母さん、男子校の劇を見た事あるんだ!
知らなかった。
父がますます興味を示しました。
「そおか?それも見どころだなぁ。」
そして、ついに幕が上がります。
最初に出てきた女子高校生役の生徒を見て、私はびっくりします。
(あの子、男子なの?まるで、普通の女の子じゃない。声も体つきも体の動きも女の子だよ。
しかも、演技がうまくて、可愛い。すごいっ!
あれっ?メイクしているけど、何となく葵さんに似てる。気のせいかな?)
その後は主役の兄の迫力ある演技に圧倒されます。
いつもの兄とは全然違います。
登場人物すべてに光をもたらす力をもった兄の役は、かなり重要で演技力が必要です。
兄はその役をやりきっている感じがしました。
劇が終わると、すごい拍手でした。
1時間ほどの劇だけど、すごく感動しちゃって、涙が出ました。
「おおっ、翔のヤツ、すごい演技だったな。」
「女子高生役の子も上手いと思う。翔といいコンビね。」
「ねえ、お母さん、あの女子高生役の生徒って、葵さんに似てない?」
「あら、そうね。そういえば似てるかも。まるっきり普通の可愛い女の子に見えたし。」
「そういえば、電車の中で怪我した俺に絆創膏を渡してくれた女の子にも似てたなー。」
私たちは感動しながら、ちょっと偶然にも知り合いに似た人物が出演していたことに妙な気分にもなって、ちょっとモヤモヤします。
そして、みんなで会場の外に出る時に、突然声がかかって、振り返ります。
「公佳!奇遇ね。家族で来たの?どこかの高校の応援でしょ?
あれっ?もしかして、息子さんって、桃花高校だったの?演劇部?
聴いてなかったけど、そうなの?」
お母さんの女子高時代の友達の小出智花さんです。
横には、人の好さそうな旦那様、そして葵さんそっくりだけど、明らかに葵さんより年上の大学生くらいの女性が一緒でした。たぶんお姉さんだ。やっぱり白石琴美に似てて、素敵!
「ええっ?何で、智花がいるの?男子校に子供いないでしょ?ご親戚の応援?」
「ふふふ、不思議?何でか教えてあげる。
よかったら、これからお茶でも飲みにいかない?
ご家族の方ともお話したいし。」
「うん、行く行く!あなた、いいわよね。翔の劇終わったし。佳織もいいでしょ?」
「うん、いいけど。」
という流れで、近くのカフェで2家族のお茶会が始まりました。
「申し遅れました。小出健人です。いつも家内がお世話になっています。よろしくお願いします。」
「こちらこそお世話になっています。板谷舜です。どうも、家もそんなに遠く離れてないようですね。これを機会によろしくお願いします。」
さすが社会人の父親は挨拶が丁寧で堅い。でも、家長同士が仲良くなってくれたほうが、うれしいな。
「あ、私は小出柚です。長女で、大学生です。今日は妹の応援に来たんです。」
うわっ、やっぱり美人。葵さんとは違う大人っぽい魅力がある。お姉さんとも仲良くなりたいな。
それにしても、妹って葵さんだよね。葵さんって、違う県の高校に通ってるの?訳わかんない!
あ、いけない。私も挨拶しなきゃ。
「私、板谷佳織です。高校1年生で、今日は兄の翔の応援に来ました。兄はさっきの桃花高校の劇で主役をやってました。自慢の兄です。」
慌てて挨拶した私は、すぐ頭の中にある謎を解きたいと思いました。
ついに、葵の正体がばれる時がきちゃいました。
次回をお楽しみに。
明日5月4日も更新します!




