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127 新入生から見た2年生。そして、これから何をやる?

1年生の友利豊です。


昼休み、演劇部の仲間二人と教室で3人で食事をしているところ。


同じクラスに演劇部が俺を含め3人いる。

3人とも中学の演劇部出身だ。出身中学は全員違うが、みんな、強豪である桃花高校に憧れて入学した経緯があり、話が合う。

演劇で全国を目指そうという夢をみんな持っている仲間だ。

幸いにもこの学校の演劇部は夏、全国大会に出場する。

まあ、その件は先輩たちの力で出場を勝ち取ったわけで、俺たち1年生は何もしていないわけだが、やはり興奮する。次の年は俺たちの力で全国大会に行こうなんて話している。


俺は、朝日中学出身。中学の県大会では準優勝。部長と主役の両方を担い、それなりに活躍できたと思う。

そして、演劇が好きでたまらない演劇バカだ。

恋愛に夢中になっているヤツがいるが、俺は部活が最優先。

とにかくいい演技いい劇を作りたいと常に思っている人間だ。

高校に入ってからは、一つ上の先輩の板谷さんに憧れている。

俺と同じで長身なので、親近感があるし、その天性としかいいいようがない強い存在感には憧れる。

舞台に立つと舞台の雰囲気が変わるくらいなんだ。

俺も、少しでも近い存在になりたい。


「うーん、やっぱりウチの部は3年生の大人びた演技もいいけど、板谷先輩と小出先輩のツートップの力が大きいよな。

板谷先輩の圧倒的存在感と小出先輩の女役としての独特の空気感はちょっと他の学校には出せない味だよ。」

そう言いだしたのは、山崎中学出身の児玉勝利(こだまかつとし)。

彼は、中学1年までは少林寺拳法に夢中になっていて、中学2年から演劇を始めたという変わった経歴の持ち主。舞台でアクション、殺陣をやりたいというのが夢で、演劇を始めたそうだ。

彼の廻し蹴りを見せてもらったが、すごい迫力で、切れがすごかった。


「そうだな。その二人は当然として、安藤先輩の演技もすごいと思う。どんな役でもこなせそうですごい。普段はおとなしそうで、全然目立たないのに役に入ると憑依されたみたいになって、鋭い演技をする。

それから、役者じゃないけど、尾崎先輩の八面六臂の活躍もすごいと思う。山野先生と一緒になって、演劇部の総合プロデューサーみたいなことやってるし、脚本、台本も手掛けてる。すごい。

俺も、趣味で小説書いているから、劇のストーリーを作るってすごく憧れる。」

そう言うのは落合友樹(おちあいともき)。冷静沈着な学者風な雰囲気を持つ男。俺と同じで中学の時に演劇部部長だ。俺がどちらかというと体育系のノリの部長であるのに対し、彼は、一歩下がって全体的な視野で物事を捉える部長だったようだ。なるほど視点が違うもんだ。


「確かに安藤先輩すごいよな。役に入った時の迫力は驚きのレベルだよ。それから尾崎先輩の多忙さには恐れ入る。」と俺。


「そういえば、尾崎先輩、俺の補佐になるやつ募集しようかな?って言ってたぞ。どうも、3年生の初めで引退したいみたいで、後継者を探しているみたいだ。落合どうだ?やってみる気ないか?」児玉が思い出したように言う。俺も落合も初耳で、ちょっと驚く。2年生なのに、もう引退時期を考えているんだ。


「まじか?そんな話知らなかった。事実とすれば、ちょっと気になるな。尾崎先輩の補佐をやれば、その技術や手法が身に着く。あのポストは超ハードだけど、やり遂げれば、すごい満足するし将来何かに役立つはず。よし、尾崎先輩に話を聴いてみよう。」

落合は、柄にもなく興奮する。そうか、尾崎先輩の片腕になるなら、すごいかも。演劇について真面目に考えている落合らしい発想だ。

すると、そんな真面目っぽい落合には似合わない話が出てきた。


「そういえば、板谷先輩と小出先輩って怪しいよな?二人は親友とか仲間って言ってるけど、夫婦みたいだぞ。阿吽の呼吸みたいな感じで、言葉を交わさなくても心が通じ合うって感じがする。本来は男同士だけど、ありゃ好き合っているよな?小出先輩、性転換手術をして、20才になったら戸籍を女性にするんだろ?結婚しちゃうんじゃないか?」


俺は、その話を聴いて飲んでたジュースを吹き出しそうになる。

「おいおい、そりゃ話が飛びすぎじゃないか?確かにお二人はお似合いだけど、元々は男同士だぞ。さすがに結婚までは考えないだろ。お互いの家族の理解の問題もあるし。」


「とはいえ、小出先輩は相当可愛いぞ。普通に街を歩いていたら、絶対普通の、いや可愛い女子高生に見えるよ。もし板谷先輩といい感じじゃなかったら、俺惚れてたかも。正体がわかっても、好きですって言っちゃうレベルだ!板谷先輩は噂されて、まんざらでもないんじゃないかな?」


そうコメントした児玉が続けて意外な事を口走る。


「あ、俺、昔、男子校の姫が性転換したあと結婚したという話を聞いた事あるぞ。

何十年前かわかんないけど・・・そもそも本当かどうか?

でも、事実は小説より奇なりっていうから、わかんないぞ。

あ、そうだ!それよりみんな彼女いるの?

俺は残念ながらいない。

演劇部は女子校の演劇部と仲がいいっていう話だから、夏の女子校との合同合宿に期待してる!」


「そっか、頑張れよ。俺は彼女いたけど別れた。

中学の時の同級生で、高校は違う学校になったからな。

やっぱり学校が違うと、何となく疎遠になるんだ。

まあ、しばらくは彼女いなくてもいいかな?」


意外だ!学者風の落合に彼女がいるとは!


俺は、いつも通り答える。


「俺は今のところ彼女を作る気はしない。今は恋愛に興味ない。演劇に夢中になりたい。」


「おお、もったいないな。友利はモテそうじゃないか?

そういえば、友利って、朝、板谷先輩たち2年生数人と一緒に電車に乗ってきてるよな?

その時に、女子校の新川さんっていう可愛い子と話をしてるのが一部で話題になってるぞ。

あの二人お似合いだって女子が言ってるのを聴いた。

どうなんだ?もし、新川さんと仲いいなら、彼女がいない俺のために女子校の女の子の情報を聴きだしてくれよ。」


「お、その話なら俺も聴いた。2年生数人の中に1年生が二人いて、そのうち一人が友利で、もう一人が新川さんって話だよな。けっこう噂になってるぞ。

新川さんって、中学の時に県大会で優勝した学校の部長だろ?美少女って評判だぞ。」


「うわっ、何だそれ?確かに朝、電車で新川と一緒になるけど、仲良くはないぞ。

あいつ、俺に会えば、喧嘩をふっかけてくるからな。

女子校の先輩と男子校の先輩が仲がいいから、偶然同じ空間になるけど、仲良く話なんかしてない。」


「おお、喧嘩友達か?それも恋の始まりのひとつかも!」


「うん、面白い関係だな。ちょっといろいろ探ってみたいな。」


「変に興味をもつな。俺と新川はそういう関係じゃない。」


俺は、いつも突っかかってくる新川の顔を思い出す。

あいつの演技はすごいと思うが・・・あの気の強さは苦手だ。

まあ、演劇部同士の連携があるから、事務的な付き合いはしなきゃいけないよな。

やれやれだ・・・俺はちょっとげんなりした。







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