124 日本酒好き
やはり共通の趣味があれば、仲良くなれるものですよね。
「まあまあ、福島先生、どうぞどうぞ!おおっ、良い飲みっぷりですね!
子供たちから、お噂は聴いています。
美人だって聴いてましたよ。」
「いや、とんでもございません。
まだ、全然半人前の教師です。
子供たちに育ててもらっているようなものです。」
「でも、ホントにおキレイですね。
娘たちも、福島先生みたいにキレイな女性になれるといいんですけど。」
「いや、奥様、お上手です。奥様こそ、おきれいじゃないですか?」
小出柚です。小出家の長女です。
我が家では、小出家4人と、従兄の将司君、そして、将司君と同い年の福島先生で食事をしているところ。
食事といっても、ご飯を食べているのは私と妹の葵だけで、両親と、将司君、福島先生(私はみやびちゃんって呼んでます。)は日本酒を飲むことに夢中になっています。
私と妹はみやびちゃんと将司君のお見合いみたいだな?って興味津々です。
私たちの両親が、二人をくっつけようとしているのが露骨です。
そして、二人もまんざらでもありません。
でも、みやびちゃんはちょっとこじらせてしまっているようで、ちょっと素直ではありません。
みやびちゃんは私が高校生の時の担任です。
若くてきれいで、背が高くて私たち生徒にとっては実に素敵なお姉さんでした。
演劇部の顧問ではすごく張り切っていて、熱血指導で有名でした。
美人だから、当然学生時代は彼氏がいたみたいでしたが、私の担任時期に別れちゃったみたいです。
彼氏は就職したあと大阪勤務になっちゃって、会う頻度が減った結果、別れを選んだようです。
そんな話は高校卒業したあと本人から聴いたんですけどね。
その後は、全然男っ気ない生活みたい。
高校時代の友達からの情報で分かっています。
まあ、女子校には若くてかっこいい先生いないんですよねー。
関連の男子校には若い男性教師いるんですけど、みやびちゃんのお眼鏡にかなう先生はいなかったかな?
みやびちゃん、背が高いからなー。
そう考えると、今、一緒にお酒を飲んでいる将司君は長身で、みやびちゃんにピッタリ!
それなのに、みやびちゃん、素直じゃないな。
私の両親が何気なく進めるんですが、乗ってきません。
「福島先生、もし、お付き合いしてる男性がいなかったら、ここにいるウチの甥はいかがですか?
仕事人間で、ここんところ、女性と出会う機会はなかったみたいなんです。」
「私もおススメしたいな。将司君、性格もいいんですよ。」
「ありがとうございます。でも、私・・・ちょっと自分に自信がなくて。
私にはちょっともったいない男性だと思います。
将司さんなら、もっと素敵な女性がいると思います。」
あれあれ?何で遠慮するんだろ?
びびってるのかな?
それとも、好みじゃないのかな?
「まあまあ、叔父さん、叔母さん、いいじゃないですか?
今日、会ったばかりで、そんなこと言われたら困りますよ。
好きな男性もいるかもしれないし。
僕は日本酒好きの仲間になってもらえば十分です。
ね、福島先生、お酒飲んで楽しくおしゃべりしましょう。」
「はい、そう言ってくれると気が楽になります。」
「そっか、まずはお友達ってことかな?」
「そうね。これを機会に友達になればいいわね。」
そこからは、二人の関係の進展を迫る会話はなくなり、単純にお酒を楽しんで、
酔っぱらう大人4人の飲み会となりました。
でも、福島先生、楽しそう!
将司君も楽しそうだ。私も成人してるから飲めるんだけど、お酒は苦手なんだ・・・。
そのうち飲めるようになるのかな?両親が酒豪だから、才能は有るはずだけど・・・。
そして、楽しかった夕食会も終わります。
将司君は、福島先生を駅まで送っていくことになります。
二人きりになって、いい雰囲気になるといいなー。
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福島雅です。
今、小出家を出て、近くの駅まで、小出将司さんに送ってもらっています。
横を見ると、長身の私が見上げるほどの身長の将司さん。
うーん、素敵。
さっきは、何で、素直に小出さんのご両親の誘いに乗らなかったんだろう?
照れ?プライド?うーん、わからないや。
でも、今日会ったばかりだし。
「福島先生、今日は楽しかったです。僕、日本酒が好きなんで、一緒に飲んでくれる同世代の女性がいるといいなーって思ってたんですよ。
もし、よろしければ、また一緒に飲んでいただけますか?」
うっ、今の呼び方、抵抗ある。
同世代の女性で、同僚でもないのに、「福島先生」なんて言い方されたくない。
よし、抗議しよ!
「あの、お誘いに乗ってもいいんですけど、条件があります!」
「えっ、何ですか?難しい条件かなあ?」
「私のこと、先生って呼ばないでください。私は将司さんの先生ではないんです。
抵抗あります!」
「うわっ、ごめんなさい。そうです・・・よね。
では、何と呼ぼうかな?
福島さん?」
「えっと・・・名前で呼んでほしいかな?私も将司さんって言ってるじゃないですか?」
「わかりました。じゃ、雅さん?」
「はい、合格です。
・・・そう呼んでくれるなら、ガンガン誘っていいですよ。
実は私・・・まだ、飲みたりないです!
あ、あそこに居酒屋があります。飲みに行きましょう!」
私の中で、何かが弾けました。
まだ、帰りたくない。この人と一緒にいたい。
そう強く思ったのです。
「了解です。飲みましょうか?」
「はい!」
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福島雅です。
うーん、目が覚めた。
わーっ、もう11時だ。
寝坊したよ。頭がガンガンする!
あれっ?私どうやって帰ってきたんだろう?
そうだ、酔っぱらって、かなりふらついてたから自宅まで将司さんに送ってもらったんだ。
恥ずかしい!
電車に一緒にのって、降りた駅から、タクシーで自宅まで送ってもらって、家まで入れてもらった!
うわーっ、最悪!超恥ずかしいっ!
ヨッパライ女と思われたかも。
もしかして、嫌われちゃったかも!
ん、携帯に着信だ。あ、昨日登録したばかりの将司さんからだ。
「おはようございます。小出将司です。体調はいかがですか?
昨夜はちょっと飲み過ぎましたね。
僕も頭がガンガンします。ちょっと雅さんが心配になって。」
「あ、大丈夫です。
あの・・・すみません。
昨晩は送っていただいて・・・。
帰り、かなり遅くなりましたよね!
申し訳ありません!」
「いや、僕にも責任あったから当然です。
気にしないでください。
若くてきれいな女性を一人で帰すわけにはいきませんから。」
「あの、そ、そうは言っても、その私の気が収まりません。
あの、お礼をしたいので、私の手料理を食べていただけませんか?
料理は少し自信があるんです。」
「えっ?
雅さん、料理得意なんですか?
ぜひ、ごちろうになりたいものです。」
「もしよろしければ、来週の土曜とかどうでしょうか?
私の家に来てください。」
「来週?あ、たぶん大丈夫です。いいんですか?お邪魔しちゃっても。」
「全然、大丈夫です。私、フリーですから。
将司さんもフリーですよね?」
「フリーです。問題ありません。
じゃあ、伺います。」
電話を切って、私はあわてた。
男性を自宅に呼ぶことを後先考えず、決めてしまった。
我ながら、何というノリのよさ!
でも、いいよね。こういう流れはめったにないもん!
でも、問題は山積み。
まず部屋を掃除しなきゃ!汚いよ!
髪も美容室できれいにしよう。ちょっとヘアスタイル乱れてるし。
そうだ、お料理の献立も考えなきゃ。何作ろう?
うわーっ、めちゃくちゃ忙しい。
もう、ぼんやり何かしてられない。
恋人ができるかどうか瀬戸際だもん。
私はあわてて親友に電話をする。
「あ、秋葉?今、大丈夫?
知り合ったばかりの男性に、手料理ごちそうすることにしたの。
一緒に献立考えて!」
元男性で、男性の気持ちもわかる山野秋葉はこういう時、強い味方だ。
うん、彼の胃袋つかむぞ!
二人の仲が急接近?雅ちゃん、がんばれ!




