123 将司と雅
将司君と福島先生、こういう出会いは予想外でしたでしょうね。でも、いい感じです。
小出将司です。
従妹の柚ちゃん、葵ちゃんと一緒に外出したら、二人と縁がある教師の福島雅さんと出会った。
今夜、叔父さん、叔母さんと日本酒を楽しもうと思って、全国の名酒を売っている酒屋さんに寄った時だ。
叔父さんは、新潟のお酒が自宅にあるって言ってたけど、酒豪の叔父さん、叔母さんと、やっぱり酒好きの俺が飲み始めたら他の銘柄のお酒も飲みたくなるに決まってる。量的にも不安。
だから、4合瓶を2種類くらい買っていこうと思ったんだ。
お店に入って、地方の地酒が置いてあるコーナーを目指す。
おっと、いつもはない日本酒がある。
青森の人気のブランド酒だ。よし、一本はあれにしよう!
俺は、その日本酒に手を伸ばし、瓶を掴んだ。
その時だ。「えっ?」と声が聞こえた。
気づくと、その日本酒を見ながら、残念そうにしている若い女性が、日本酒のそばにいた。
わっ、俺より先に来てた人だ。たぶん、狙ってたんだろうな。
うん、ここは先着順だ。
そしてレディ・ファースト。
この日本酒は譲ろう。
「あ、すみません!先に狙ってました?ごめんなさい。
珍しいお酒があったので、思わず取ってしまいました。
お先に見つけたのなら、譲ります。どうぞ。」
俺は、ニコニコ笑顔を振りまきながら、お酒を渡そうとした。
目が合う。
おおっ、かなりの美人だ。
けっこう長身で、出るところが出ている、グラマー美人である。
まるで、テレビに出てるグラビアアイドルのようだ。
年齢は・・・そんなに若くはない。俺と同じくらいのアラサーか。
でも、可愛らしい雰囲気がある。
「いやっ、その、そんなの悪いです。
申し訳ないです。さっさと買わない私が悪いんです。」
彼女は申し訳なさそうに答えた。
おお、謙虚な人だなあ。余計あげたくなる。
「いいですよ。僕もこのお酒は好きですけど、そんなに執着ありませんから。
どうぞどうぞ。」
「ええっ、どうしよう?そんなの悪いです。どうぞ、持って行ってください。」
「そんなこと言わずに。美味しいですよ。どうぞ。」
「うう、どうしよう?」
うーん、こりゃ、ぜひこのお酒をあげたいんだけど、変な押し問答になってしまった。
無理に押し付けるのも変だし。
その時、従妹の二人が後ろから声をかけてきた。
「将司君、日本酒好きだなー。ウチにもあるのに。」
「そういえば、お父さんもこの店によく寄ってる。」
二人は、ちょっと呆れたような感じで俺に声をかけてきた。
大人の趣味はわからないだろうなあ。
「あ、福島先生!」
「あ、みやびちゃんだー!!」
ん?先生?
このセクシーな女性は二人の学校の先生か?
意外な展開だ。
偶然ってあるもんだなー。
びっくりした。
「おお、先生、やっぱ酒豪ですね。評判通りだな。
高そうな日本酒のコーナーにいるなんて通ですね。
今夜の晩酌用のお酒選びに来たのかな?」
「先生、あれっ?将司君にそのお酒を勧められてるんですか?
どうしたんですか?」
こりゃ、挨拶しなきゃまずいな。
よし、きちんとしよう。
「そうか!二人の先生なんだ。
福島先生・・・ですか?いつも従妹がお世話になっています。
僕、小出将司っています。
奇遇ですね。僕も日本酒が大好きなんですよ。」と自己紹介をする。
福島先生は目をパチクリして、ちょっと戸惑った顔をしたが、挨拶を返してきた。
うん、社会人だから、そうだよな。
「あの、私、桃花女子高校職員の福島雅です。
私こそ、そちらの二人のお嬢さんのお陰で楽しく仕事をさせていただいてます。
二人ともいい子ですね。」
おお、感じがいい人だ。
従妹の二人と仲よさそうでよかった。
「将司君、みやびちゃんは独身だよ。きれいな先生でしょ?
確か一人暮らしで彼氏なしかな?」
「えっ?柚ちゃん、ここで個人情報を言わないで!きれいって褒められるのはうれしいけど。
うわっ、恥ずかしいっ!」
ええっ?こんなにキレイで独身なんだ。
嘘みたいだ。
彼氏がいないなんて、ちょっとこのまま挨拶だけで終わるのはもったいないぞ。
よし!
「へぇーっ、そうなんだ。
・・・・・・
あっ、そうだ!いいこと思いついた。
あの、福島先生。これから、今日、何か外せない用事ってあります?」
よーし、攻めるぞ。簡単には帰さない。
「いや、特にないですけど・・・。」
やった!よし、次は叔父さんのトコロだ。
俺はスマホで叔父さん、そう従妹の父親に電話をした。
「あ、叔父さんですか?
今、買い物してたら、柚ちゃん、葵ちゃんの高校の先生・・・福島先生と偶然に会ったんです。」
「うーん、福島先生?
おお、思い出した、柚の担任の美人の若い先生だ。
確か、女子校で、演劇部の顧問で、葵もお世話になっているはず。」
「ええ、・・・はい、女性の先生です・・・・・すっごく美人です。
二人ともお世話になってるみたいなので、今夜、お宅に連れて行きたいんですけど、
どうでしょうか?日本酒が好きな女性みたいなので、僕と叔父さんと気が合いますよ。」
「おっ、そりゃいいな。
先生はイケる口か?美人の酒好きと聴いたら、呼ばないわけにはいかないな。
よし、お連れしてくれ!
先生にはお世話になっているしな。」
「わかりました、了解です。」
よし、叔父さんの許可が出たから、堂々と誘えるぞ!
「福島先生、このお酒、今夜一緒に飲みましょう!
これから一緒に、柚ちゃん、葵ちゃんの家、小出家に行きませんか?
いや、行きましょう!
美味しいお酒はみんなで飲むと楽しいですよ。」
そう言ったとたん、姉妹も味方に付いてくれる。
「雅ちゃん、将司君に気に入られちゃったね。きょうは一緒に夕食食べよ!」
「先生、将司君も独身なんだよ!
友達になったら?
絶対、いいことあると思う。」
おっと、恥ずかしいけど、素敵な援軍だ。福島先生、ちょっと戸惑ってるけど、ここは
押し切ろう。
「まあまあ、お酒好きは友達です。
お酒を譲り合った仲じゃないですか。
今夜は小出家で楽しく飲みましょう!」
「ええっ?どうしよう?
うーん・・・
お酒で誘われると弱い・・・
わ、わかりました。お邪魔します。」
やった!美人教師と飲めるぞ。こりゃ、友達になれるチャンス!
将司君のぐいぐい行く感じ、男らしくていいですね。
酒好きの若い女性って、最近はけっこういます(笑)。
こういう出会いはめったにないもの。しっかり決めないとね。




