122 福島雅先生
福島先生は日本酒好き!いまどきはお酒好きの若い女性って多いみたいですよ。
「うーん、今日はどんな日本酒飲もうかな?」
私、福島雅は桃花女子高校の教師で、演劇部の顧問。
28才独身。
もうすぐ29歳になっちゃう・・・。
ついに大台だー。
いやーん、生徒にからかわれるー。
うーん、恐怖だよー!
女子高生は思ったことを遠慮せず言うから怖いんだよなー。
特に女子校の生徒はその傾向が強いんだー。
ところで・・・
私の一番の趣味は日本酒を飲むこと。
それも、地方のいろんな地酒を探して飲むのが好き。
日本各地にはいろんな名酒があるんだよねー。
お酒の味の違いを楽しむのが好き。
で、今日は土曜日で、あしたが日曜日だから、思い切り家で日本酒を飲むつもりなんだ。
今、ターミナル駅の駅ビルに入っている日本酒専門店で、今日飲む日本酒を物色してる。
休みの日に若い?女性が日本酒を物色してるなんて色気ないかな?
え?彼氏がいないの?ですって?
ええ、いません!残念ながら。
大学時代までは、彼氏がいたし、すごくモテたのに、就職してからは、さっぱり縁がなくなっちゃった。
まあ、演劇部の顧問の仕事に夢中になっちゃって、生徒たちの指導にあけくれたから・・・って言い訳もあるけど、いい男が周りにいないんだよねー。
職場の女子校は男性がいても、おじさんばっかり。
関連する男子校と付き合いあるけど、やっぱりいい男がいないんだ。
親友の男子校の教師、山野秋葉と旦那さんの栄作さんに2回ほど、男性を紹介してもらったけど、
うまく行かなかった。何となく趣味とか価値観が合わなかったんだ。
申し訳ない事したなー。
余計に心配させちゃってるし。
それにしても、秋葉は元男性で、しかも、かなり貧乳なのにいい男つかまえてるんだよな。
いいよなー。
正直言って羨ましい。
えっ、面食いで贅沢なんじゃないの?って?
うーん、そうかもしれないけど、私、身長高いんだよねー。
170センチ近くあるんだ。
学生時代はモデルみたいッて言われたけど、今は単に大きい女って職場で思われてるかも。
私に合う男子となると180センチくらい欲しいんだけど、その身長で好みに合う男性ってなかなかいないんだ。
男子校の演劇部の生徒で、背が高くていい男がいると、良いなって思うけど、生徒に手を出すわけにいかないしねー。
おおっ、今日は新しいお酒が入ってる!
私は日本酒専門店の地方の地酒がいっぱい置いてあるコーナーでちょっと興奮した。
これって、青森で人気の酒だ。
めったに入らないやつ。ラッキー、これ欲しい!
今日はこれを買って飲もうかな?
うう、美味しそうっ!
でも、高い、どうしようかな?
ちょっと悩みながら、その4合瓶に手を伸ばそうとしたときに、後ろから手が伸びて、そのお酒を掴んだ。
しまった!先を越された。
私は、「えっ?」と声を上げてしまった。
「あ、すみません!先に狙ってました?ごめんなさい。
珍しいお酒があったので、思わず取ってしまいました。
お先に見つけたのなら、譲ります。どうぞ。」
振り返ると、長身の私でも見上げてしまう男性がニコニコ笑って、私にお酒を渡そうとしている。
イケメンだ。
どうしよう。恥ずかしい!酒好きのどうしようもない女って思われたかも。
「いやっ、その、そんなの悪いです。
申し訳ないです。さっさと買わない私が悪いんです。」
「いいですよ。僕もこのお酒は好きですけど、そんなに執着ありませんから。
どうぞどうぞ。」
「ええっ、どうしよう?そんなの悪いです。どうぞ、持って行ってください。」
「そんなこと言わずに。美味しいですよ。どうぞ。」
「うう、どうしよう?」
私がちょっと悩んでいた時でした。
男性の後ろから、若い女性の声が聞こえました。高校生?大学生?
どこかで聴いたような声だけど・・・
「将司君、日本酒好きだなー。ウチにもあるのに。」
「そういえば、お父さんもこの店によく寄ってる。」
私は二人の若い女性と目が合います。
「あ、福島先生!」
「あ、みやびちゃんだー!!」
何と、男子校の姫、小出葵ちゃんと、その姉で女子校卒業生の小出柚ちゃんです。
柚ちゃんは演劇部ではなかったんですが、担任としてお世話したことがあります。
まずい、日本酒を買っているところを教え子たちに見られちゃった。
かっこ悪いよー。
「おお、先生、やっぱ酒豪ですね。評判通りだな。
高そうな日本酒のコーナーにいるなんて通ですね。
今夜の晩酌用のお酒選びに来たのかな?」
柚ちゃんがからかうように言います。
さらに
「先生、あれっ?将司君にそのお酒を勧められてるんですか?
どうしたんですか?」
状況がわからない葵ちゃんが、説明を求めてきます。
すると、イケメンの男性が、
「そうか!二人の先生なんだ。
福島先生・・・ですか?いつも従妹がお世話になっています。
僕、小出将司っています。
奇遇ですね。僕も日本酒が大好きなんですよ。」と自己紹介をしてきました。
うわっ、従兄なんだ。どう対応しよう?
ええい、とりあえず、こちらも自己紹介しないと。
「あの、私、桃花女子高校職員の福島雅です。
私こそ、そちらの二人のお嬢さんのお陰で楽しく仕事をさせていただいてます。
二人ともいい子ですね。」
ちょっとひきつった笑顔で答える私。
最悪な出会いですが、なんとかまともな会話ができたぞ。
うーん、でも、お酒を勧められているこの状況をどうまとめよう?
困ったなあ?
「将司君、みやびちゃんは独身だよ。きれいな先生でしょ?
確か一人暮らしで彼氏なしかな?」
「えっ?柚ちゃん、ここで個人情報を言わないで!
きれいって褒められるのはうれしいけど。
うわっ、恥ずかしいっ!」
ヤダ、独身の男っ気ないアラサー女で酒好きってバレちゃった!
変な女って思われたらどうしよう?
「へぇーっ、そうなんだ。
・・・・・・
あっ、そうだ!いいこと思いついた。
あの、福島先生。これから、今日、何か外せない用事ってあります?」
突然思い出したように質問してくる将司さん。
「いや、特にないですけど・・・。」
そこで、将司さんはいきなりスマホをタップして、どこかに電話します。
「あ、叔父さんですか?
今、買い物してたら、柚ちゃん、葵ちゃんの高校の先生・・・福島先生と偶然に会ったんです。
ええ、・・・はい、女性の先生です・・・・・すっごく美人です。
二人ともお世話になってるみたいなので、今夜、お宅に連れて行きたいんですけど、
どうでしょうか?日本酒が好きな女性みたいなので、僕と叔父さんと気が合いますよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
はい・・・はい・・・わかりました、了解です。」
えっ、この人、いきなり何言ってるの?
美人なんて言ってくれた。
恥ずかしいっ。
「福島先生、このお酒、今夜一緒に飲みましょう!
これから一緒に、柚ちゃん、葵ちゃんの家、小出家に行きませんか?
いや、行きましょう!
美味しいお酒はみんなで飲むと楽しいですよ。」
うわっ、教え子の従兄に酒飲みと認められちゃった。
うう、恥ずかしいけど・・・
でも・・・将司さん、かっこいいし、美人って言ってくれた・・・
「雅ちゃん、将司君に気に入られちゃったね。きょうは一緒に夕食食べよ!」
「先生、将司君も独身なんだよ!
友達になったら?
絶対、いいことあると思う。」
おお、大学生と高校生にからかわれている私って・・・
うう、なんか恥ずかしい。
「まあまあ、お酒好きは友達です。
お酒を譲り合った仲じゃないですか。
今夜は小出家で楽しく飲みましょう!」
「ええっ?どうしよう?
うーん・・・
お酒で誘われると弱い・・・
わ、わかりました。お邪魔します。」
私は、目まぐるしい展開についていけないと思いながらも、なんかドキドキとときめいてしまいます。
うう、でも若い二人の女の子に弱みを握られた感じがして、イヤだなー。
背が高い福島先生が見上げてしまうほどの身長のイケメン。恋の予感?大人の恋も動くかな?




