夕陽の教室
約二時間後
無事全時間割を消化!
HRも終わり!
帰宅部の俺は、普段なら真っ直ぐ帰宅だ。
だけど、今日は違う。
クラスには、既に俺しか残っていない。
宿題でもしてるか
こうやって見ると、誰も居ない教室って、予想以上に寂しいんだなぁ。
なんて、柄にも無く感傷的になったりもする。
て言うか、あの女、場所の指定してねぇじゃん!
ここで待ってて、本当に現れるんだろうな?
「良かった。ちゃんと居た」
イライラが頂点に達する処で、あの女の声がした。
「遅ぇよ。で?話って何なんだ?」
早速訊ねる。
「あ、生物の課題?大変だね」
女は俺の前の席に横向きに座り、俺が広げていた教科書とノートを見て言った。
「半分アンタのせいだ。で?真希がどうしたって?」
真っ直ぐ顔を見て返す。
「……」
女が俯いた。
泣いてるとかじゃなく、悩んでるような?
何となく気が引けるが、ここで黙ったら意味が無い。
「最初に話し掛けたのはアンタだろ。今更何を躊躇ってるんだ?」
追求した。
「やっぱり、話さなきゃね。人の命が掛かってるんだから…」
女がようやく口を開く。
「何から話して良いのか…。初めから聞きたい?要点だけ?」
そんなもん
「アンタが話しやすいようにしてくれ」
「解った」
女は承諾すると口を開いた。
「この街には昔から、魔物が棲んでいるの」
「はぁ?」
思わず声を上げてしまった。
だって…魔物って…ねぇ?
爆笑しなかった自分を誉めてやりたい。
「まぁ、当然の反応よね。信じろとは言わないけど、一つの事実として受け止めて」
「りょ…了解」
睨まれた。
ノーとは言わせない迫力だった。
満足したのか、フッと笑うと、再び口を開く。
「ひっそりと、迷惑をかけずに暮らしてた。見た目は、人間とほとんど同じ。ただ、食べ物が生命力ってだけ」
「ぶっ…物騒な好物だな」
「そうね…確かにそう。でも、大勢の人から少しずつ、命に支障が無いくらい貰って生きていたの」
まるで、夢を見るような顔で語っていた。
そっと、もの悲しい茜色が教室に溢れる。
冬の日暮れは早い。
少し、ほんの少しだけ魅入ってしまった
「人間ってね、自分達が理解出来ないモノは排除したがるのよ。例え無害でも」
夕陽の教室で、俯き加減で話し続ける。
「当然のように魔物狩りが始まったわ。魔物達も抵抗したんだけどね。結局ほぼ全滅」
「それが、真希の命とどう関わりがあるんだ?」
確かに、一つの事実かも知れないが、俺が聞きたい事と大分違う。
全面的に信じる気にはなれないが…
「魔物達はね、反抗なんてする気は無かった。命を食べるからこそ、命の大切さを知っていたのよ」
「……」
話しを聞かないのは、この女の特長だろうか?
「それでも、人間は、完全に排除しないと気が済まないのかしら?今でも、魔物狩りは続いてる」
「今でも?」
仕方無い。とことん付き合おう。急がば回れの精神だ。
「それは良い。魔物達も受け入れ、諦めてる。でも…」
スッと、女は立ち上がり、窓の方へ歩いていった。
「魔物の一人が怒り狂ってる。佐山 真希は巻き込まれるわ。退魔士の匂いが付いていたから」
信じる気は無い。
話が突拍子も無さ過ぎる。
ただ、危うく信じてしまいそうになるほど、妙な説得力があった。
「佐山 真希を救ってあげて」
女が振り返り、夕陽を背にして言った。
黄昏を背負った女の輪郭は、黄金色に縁取られていた
「あー…」
何を言って良いか判らなかった。
なるべく冷静に言葉を選んでみる。
「救うとか、よく解んないんだけどさ。真希の様子も変だったしな?具合も悪そうだったから。見舞いぐらいは行こうかな」
信じてない
信じてはいないが
「俺は何すりゃ良いんだか」
俺は肩を竦めて、出されているノートやらを鞄にしまい、帰る準備をする。
「何もしなくて良い。ただ、傍に居てあげて」
逆光で見えないが、女が笑った気がした
「解った」
と頷く代わりに、鞄を持って教室を後にした。
「あの子を助けてあげてね」
女は俺の背中に呟いた…
評価して下さった方、ありがとう御座いました。御指摘の点、見直させていただきますm(__)mそして、出ました説明屋!ここが一番大事!と言うより、今まで不必要な処が多すぎました。反省(∋_∈)




