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‐PHANTOM‐  作者: 我来也
6/12

幸灯の残香

取り敢えず、家に急いで帰った。

何か手掛かりが欲しい。

突発的で行き当たりばったりな行動だが、幸灯が気になるんだ。

仕方が無い。

こんな衝動に駆られたのは初めてだ…幸灯の使った部屋を確認する。

朝にも軽く見回していたが、当然の如くその時と同じ風景が広がっていた。

見慣れた…主の居ない部屋…初めから幸灯が存在していなかったような…ベッドと生活に必要な家具一式はあるのだが、不思議と温かみの無い部屋…無性に寂しさが込み上げてきた。

居たたまれない。

俺は部屋を後にしようとした…が、何だか違和感を感じて、もう一度部屋を見回してみる。

よく見ると、ベッドの下の隙間から…

「布…?」

布の端が僅かに覗いていた。

そっと引っ張りだしてみる。

ズルズル…意外と重量を感じた。

とは言え、あまり重くはなかったのだが…全て引き出してみると、それは棒状の物に巻かれているようだ。

長さは1メートル強…この時点で中身の予想は出来た。

確かめようと、巻かれた厚めの布を解いていく。

やっぱり…全て解き、中身が露わになった。

予想した通り…中身は抜き身の剣だった…。

吸い込まれそうな輝きを帯びた…人殺しの凶器…幸灯が提げていた…血塗れの剣…

「……」

どれくらいだろう…数分か…数十分か…或いは数秒か…剣身に魅せられ、見つめていた。



一つ息をした後、そっと布を巻き直す。



そして、布に巻かれた剣を右手に提げ、家を飛び出した。



幸灯の行き場所の心当たりなんて、皆目見当も付かない。



だけど飛び出した。



この剣が…俺を幸灯に引き合わせてくれる。



そんな気がした……







「佐山 真希…もうすぐ死ぬわよ」




「はぁ?」




昼休みも半分が過ぎた頃だ。



真希を見送った直後、見覚えの無い女が話し掛けてきた。



その上、訳の解らない事を吐き出したんだから、たまったもんじゃない。

「アンタ…突然何を言い出すんだ?」


「……」

俺の問いには答えず、勝手に向かいの席に座る。

そして、何事も無いかのように、カレーうどんを啜り始めた…

「おい…」

呆れた…マイペース過ぎるだろ…学年を表すリボンは赤。

俺とは一学年上の上級生だ。

目が大きく、顔はわりかし可愛い。

だが、幾分無愛想な雰囲気を漂わせている。

真希の事を知ってるって事は、真希の知り合いか?

「一体、どう言う事だ?真希の奴がどうしたって?」

ズズッ…箸を止める気配が無い…

「聞こえてないのか?」

ズルズルッ…

「おーい…」

ズゥゥッ…いい加減腹が立ってきた…

「人の話を聞きやが

「聞こえてるわ」

こ…この女…怒りが込み上げてきた。絶対バカにされてる…


「ふう…」



女は、ようやく箸を止めて一息ついた。


そして…


「カレーうどん…汁が跳ねなきゃね?」



「確かに…って、オイッ!」


何なんだ…思わずツッコミを入れてしまった…


ズルズル…


またカレーうどん啜り出したし…


怒りが萎えた。

俺は俺でAランチを食べる事にする。



女は、丼を傾けて、汁の一滴も残さずに食べ終えた。


そして一言


「放課後…話したい事が在るわ。空けといてね」


その後、やっぱり何事も無かったかのように席を立ち…


去って行った…

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