最強の二人
「来るぜ」
ヨシタカが緊張したように呟いた。
その呟きが終わると同時に、魔物が突っ込んでくる。
速い!
あっと言う間に距離を詰め、ヨシタカに腕を振り降ろした。
腕を交差させ、魔物の攻撃に耐える。
「グッ…」
重すぎる攻撃に思わず声が出た。
間髪入れず、魔物がもう一発入れようとする。
ガードは無視しているようだ。
「俺を忘れるなよ!」
ヨシタカに気を取られている魔物のこめかみを、正拳で殴り付ける。相変わらず岩を殴ってるような手応えだ。
魔物はヨシタカへの攻撃を中断して、俺に振り向き、拳を振り上げた。
振り降ろす前に、覚悟を決め、ガードのため構える。
俺に激突する寸前に、魔物の動きが止まった。
ヨシタカが、魔物の片足を持ち上げたからだ。
「ドラァッ!」
そのまま魔物の膝を中心に体を回転させる。
その回転は、魔物の膝を外側に捻り、勢いで投げた。
ドラゴン・スクリュー
「少し離れるぞ」
「ああ」
それを見た後、ヨシタカと二人で再び魔物との距離をとる。
作戦を練っておきたい。
ヨシタカが居れば、百人力だ。喧嘩馴れはしている。
スタイルがプロレスって言うのが少しばかり謎だが…
「あいつ、魔物なんだ。本来の力は、人間と大差無いらしい」
魔物に警戒をしながら、ヨシタカに告げる。作戦を練る上で、ヨシタカに酷な事実を伝えなければならない。
「魔物ってのは知ってる。けど、人間と大差無い割に、随分と重かったぜ?」
「普段の力に、人間5人分の力を吸い取ったんだとよ」
ヨシタカが魔物の存在を知ってるのが不思議ではあったが、其処には触れなかった。
今一番大事なのは魔物をどうにかする事だ。
まぁ、蝙蝠の翼なんか生えてたら、どう見ても人間じゃないしな。
「マジかよ!?通りで…」
魔物が立ち上がり、ニヤリと嗤う。
「効かない訳だ」
魔物を見ながら、ヨシタカが苦笑した。
魔物が走り出した。時間が無い。大まかな作戦を立てる。
とは言え、魔物は只の力馬鹿だ。正攻法で十分いける。
「相手は一人、こっちは二人」
「そんな場合は…」
魔物が俺とヨシタカの間に突っ込んできた。
「この手だなっ」
ヨシタカの言葉が終わると同時に、二人で左右に分かれて避けた。挟み撃ちだ。
一瞬魔物が、どっちを追うか迷ったらしい。動きが止まった。
チャンスだ。
ヨシタカも当然それに気付く。
「(攻撃が)効かないならっ!!」
「頭ぁっ!」
ヨシタカが魔物の頭を正面から脇に抱え、自ら後ろに倒れ込む。
俺はそれに合わせて、下段蹴りで魔物の足を刈った。
魔物が堪まらずヨシタカの体重に持って行かれ、雪の積もった地面に、頭頂部を激突させる。
DDT
俺とヨシタカは、魔物から三歩分距離をとった。俺が後ろ、ヨシタカが前。
魔物はスピードもある。間合いを空けるのは、どんな対応も出来るようにだ。
「グゥゥッ」
魔物がゆっくりと身を起こす。
片膝立ちで頭を抱え、苦しそうに唸った。
効いてる!
「ヨシタカ!“アレ”やるぞっ!」
「オッケー!」
俺の呼び掛けに、ヨシタカは直ぐ様応えた。
それを合図にし、二人で魔物に走り寄る。
そして、其々の技を出した。
ヨシタカは、魔物の立てた膝に片足で飛び乗り、もう片足で顔面に膝蹴りをする。
俺は走った勢いのまま、魔物の後頭部に膝蹴りを放った。
ヨシタカのシャイニング・ウィザードと俺の膝蹴りのタイミングは完璧に一致し、魔物の頭をサンドイッチにした。
グシャッ
普段なら不快であろう頭蓋を砕く感覚が、ズボン越しに伝わる。
だが、この時ばかりは、其れ程不快感は無かった。
読んでいただき、ありがとう御座います。
バトル!闘い!
やっちゃいました…趣味に走りました…。
激しい動きって、文字にするの難しいですね。
ただの高校生がここまで強いとは、自分でもビックリ…。
まぁ、ファンタジーと言うことで(^o^;)




