第6話 突然の始まり
こんにちは、市九郎です!
激動の第6話、お楽しみに!ではっ!
第6話
ソニアの言う通り、その村にはやけに人が多かった。
「やけに人が多いな……それに、この辺りには住んでいないはずの種族も多い。変だな……」
オーズ王国とリンガー王国の国境の間には、国として独立はしていないが、周辺の小国や旅人が集まり、様々な種族で溢れる地域が存在する。
しかし、今二人がいる地域では普段、ほぼエルフ族と人族しか見られないはずだった。
「村の雰囲気もいつもよりピリピリしてるし……何かあったのか?」
先行しようとするソニアを引き留めつつ、周囲を観察しつつ、俺は歩いた。
「ねぇディア、これ何?」
急に立ち止まったかと思うと、手にカエルの黒焼きを持ったソニアが振り返った。
「ああ、それはカエルの黒焼きだよ。この辺りには質の良いカエルが多いんだ」
ソニアは感心したように頷いている。
「へぇ〜、カエルって、焼いたらもっと美味しくなるんだね!」
「ん?」
焼かずに食べるものではない、と言いそうになったが、以前のソニアの生活を思い出し、言葉を呑み込んだ。
「それより、服を買いに行こう。今の服じゃ、怪しまれるよ」
「うん!」
人の良さそうな店主が構える、旅人用の衣服店を物色し、ソニアに合いそうな服を選んだ。
「ディア、私お金持ってないよ?」
「分かってるよ。これから一緒に旅をするんだ。そのお祝いさ」
「ホント? ありがとう!」
ボロ布を脱ぎ捨て、新しい服に着替えたソニアは、見違えるほど清潔感の溢れる、立派なエルフになった。
「よく似合ってるよ。名前に負けない、立派な女性になったよ」
ソニアも自分の変わり様に驚いているらしく、ずっとニヤニヤしている。
「ところで店主さん、少しいいかな。普段よりやけに人が多いようだけど、何かあったのかい?」
すると店主は驚いた顔になって俺に近寄り、小声で信じられない事を言った。
「お客さん知らないのかい? 昨日の夜、オーズ王国とリンガー王国が急に戦争を始めたんだよ。それで逃げてきた小国の種族が多いのさ」
突然の言葉に面食らった俺は、つい叫んでしまった。
「何だって!? それは本当なのか? オーズとリンガーは貿易協定を結んでいるじゃないか!!」
俺が急にあげた大声に、ソニアの身体が強張るのが感じられた。
「興奮しなさんな、お客さん。見たところ人族のようだけど、2ヶ月前の事を知らないのかい?」
あまりの衝撃に、店主の声が鼓膜の前でストライキを起こしているようだった。頭が上手く回らない。
「ディア、大丈夫? 何かあったの?」
突然真横から飛んできたソニアの声に、ハッと我に帰った。
「あ、ああ……ちょっと混乱して……ありがとう、大丈夫だ」
改めて店主に聞き直す。
「2ヶ月前の事って何です? 教えてくれませんか」
元々話好きらしい店主は、ここぞとばかりに話力を発揮した。
「うん、それがねお客さん。急に人族がリンガー王国に対して貿易拒否、その後すぐに周辺の小国と軍事協定を結び始めたんだよ」
何もかもが不自然過ぎる。両国は18年前に貿易協定を結び、争いの絶えない世界の中で、お互いを助け合いながら成長してきた。
それなのになぜ急に。
「オーズ王国は何か理由を発表していないんですか、不自然過ぎるでしょう」
「それがね、本当に突然で皆驚いてるのさ。何が何やら」
店主も首を傾げ、困惑した様子だった。
その後も話を聞くと、昨晩に宣戦布告が両国共になされ、本格的な戦闘はまだごく一部の地域に留まっているらしい。
「何が起きてるんだ……」
ただ立ち尽くす俺に、店主が奇妙な事を呟いた。
「全く……あの時の再来みたいで、気味が悪いよ」
あの時……再来……
頭の中に、千本の雷が落ちた様な閃光が轟き、俺はある事に思い至った。
「まさか…………」
俺は閃きを確かめるべく、店主に質問を始めた。
つづく
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
何が起こっているのか……ディアの動揺、そして閃きとは。次回もお楽しみに!
ご意見、ご感想、ご指摘等、お待ちしております!
ではっ!




