第13話 世界の始まり
こんにちは、市九郎です!
ソニアと老祈祷師の13話、どうぞ!ではっ!
第13話
「はふぅ、どうなる事かと思ったわい」
エルフの老祈祷師スーペは、深くため息をついた。エルフの祈祷術、魂術でこんなに体力を消費したのは、遥か昔の現役時代以来だった。
「大丈夫!? おばあちゃん!」
ソニアと名乗る少女が心配そうに見ている。この子からは純粋な、清いソウルの匂いがする。
「ああ、すまないね。しかし、この子はいったい……?」
ディアと名乗る、人族の青年。透視を始めるまでは、特に変わった雰囲気はなかった。
しかし……先程の雰囲気、まるで鬼の様な気迫。
「まるで、喰者のオーラじゃった……」
机に突っ伏し、スヤスヤと眠る青年。その深層には、何かが潜んでいる。
「おばあちゃん、前から気になってたんだけど、イーターって何ですか?」
この少女は、何か知っているのだろうか。
「ソニアや、今までディアと一緒にいて、何か変わった事はなかったかい?」
ソニアには、思い当たる事があるようだった。
「話しにくい事なのかい? 無理はしなくてもいいからねぇ」
「いえ、私は大丈夫なんです。あの……ディアには、内緒にしてもらえますか?」
ソニアからは、純粋な思いやりのオーラが感じられた。悪い隠し事ではないようだ。
「ああ、内緒にするよ」
ソニアは、宿場村での事を全て話した。
その話の中には、ディアには言っていない事が一つだけ含まれていた。
「そんな事があったのかい……それで、何をディアには内緒にしてほしいんだい?」
ソニアは躊躇いながらも、左手を差し出した。手には、指が四本しかなかった。
「!! まさか……ディアに?」
「……はい。木に齧り付いた後、ディアはまだ暴れたんです。それで、私に襲い掛かってきて……薬指を……でも、その後が不思議で、指を食べた後、急に大人しくなったんです」
何という思いやりだろうか。自らの指を喰いちぎられながらも、介抱するとは。
『自分の過去を初めて肯定してくれた』
と、ソニアは言った。
親を失ったディアだからこそ、家族を貶されるのは何よりも堪え難かったのだろう。口には出さずとも、この二人は心の深部に共通点を持ち、思い合っているのだ。
「そうかい……なら、ディアは本当に喰者なのかもしれないねぇ……」
祈祷師スーペは椅子に座り直し、話し始めた。
「喰者というのは、通常の者よりも魂の器が大きい者の事じゃ」
「ソウル……? 器……? ……って何ですか? その、私……学校に行っていないので……」
「心配せんでも大丈夫じゃ。一般人はこの世界の原理を知る事はないからねぇ。知っているのは軍人と、限られた種族くらいだからねぇ」
ソニアは小難しく顔をしかめ、必死に理解しようとしている。
「うーーん。あまりよく分かりません! でも、普通の人が知らない事を私に教えてもいいんですか?」
「まぁ、普通はいかんのじゃけどねぇ。じゃが、ディアは王立学園でそれらを学んでおる。ディアは恐らくあの男の息子じゃ。ソウルの器は遺伝するからねぇ。そんなディアとこれから一緒にいるんじゃろう? ならソニアや、あんたも知っておくべきじゃ」
本来、魂の仕組みを一般人に教える事は禁じられている。しかしスーペは予感していた。目の前の若者達には何かが起きると。常人には理解できない、祈祷師特有の予感。
「しっかり聞いて、ディアを支えてやるんだよ」
出会って間もない、怪しげな老人。しかし、その言葉には不思議な重みがあった。ディアがこの人を信じるなら、私も信じる。
「はい、ディアは私が支えます」
「よし。じゃあ、始めるからねぇ」
ソニアは、世界を知り始めた。
つづく
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
喰者、魂、色々と重要そうなワードが出てきましたね!これからどんどん世界観が明かされます!
そして、謎の手術を受けるディアはどうなったのか!次回に期待です!
ご意見、ご感想、ご指摘等、お待ちしております!
ではっ!




