第12話 絶望の始まり
こんにちは、市九郎です!
ちょっとショッキングな第12話、どうぞ!ではっ!
第12話
暗い。足元も見えない程の暗闇。
「どこだ……ここは……」
モゾモゾと手足を動かす。が、少し身をよじっただけで、何故か手足が動かない。
「……縛られているのか……?」
そうだ。ソニアは、老婆は、どこに行ったのだろう。そもそも、何があったのだろう。乾ききった喉を鳴らす。飲み込んだ唾液で喉がキリキリと痛む。
「ソニア……どこだ……」
ギギギッ、少し前方の床から、まっすぐに白い光が伸びてくる。扉があったのか。誰かが入ってくる。
「やっと目を覚ましたか」
「……誰だ……ソニアは……どこだ……」
無感情な女の声。機械的で、淡々としている。
「おい、もう一度始めるぞ」
女の一声で、大きな台車が運ばれてきた。何やら沢山器具が積まれている。
「準備しろ。コイツで最後だ。しっかり観察して、報告書を届けろ」
作業員らしき数名を置いて、女は部屋から出て行った。何だ、何が起きてるんだ。
「よし、始めるぞ。電源を入れろ」
ガチャンッ、と、大きな音が響き、視界が真っ白になる。ジワジワと目を慣らしていくと、そこは広い真四角の部屋だった。
「おい! 何してるんだ! ここはどこだ!!」
無理やり仰向けに寝かされながら、叫んで抵抗するが、こちらに見向きもしない。
その時。視界の端に何かが映った。
「な、何だ……今のって……まさか……」
脇が汗で冷たくなり、動悸も激しくなる。
人間の臓器。恐らくは、胃。
人間の胃が、真横の台に載せてある。
仰向け、天井の光、ここはどこなんだ。
「おい、メスとペンチを」
「おい……っ! おい……っ、何するつもりなんだ……やめろ……やめろぉっ!」
「始めるぞ、押さえておけ」
腹に、冷たい金属の感触。次の瞬間。
「アガァアッ……ッッ!!!」
腹が、裂かれた。感触がした。
初めての経験だから、正確には分からない。でも、多分間違ってはいない。燃えるような熱さ。それと同時に、氷のような冷たさ。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
「おい、意識レベルが低下しているぞ。気絶させるな。輸血と興奮剤を投与しろ」
飛びかけた意識が戻ってくる。嫌だ、感じたくない。
「よし、切開完了。喰蟲を入れろ、一瓶全部だ」
喰虫……? 何だそれは。思考は回らないが、目を見開いて、作業員の手を見る。
その手には、真っ白な瓶が抱えられていた。いや、瓶が白いのではない。瓶の中身が白いのだ。
「何だ……グッッ!……それは…………」
息も絶え絶えに、声を絞り出す。
「根性のある奴だな。教えても問題なかろう。これは喰蟲だ。とある蛾の幼虫で、魂を喰らう蟲だ」
クイムシ……?
作業員が蓋を開けると、無数の白い幼虫が這い出してきた。ウネウネと胴体をよじり、作業員の手を登ろうとする。
と、作業員が瓶をひっくり返した。腹の中。身体の芯に、どっと重い感触。その重い塊からジワジワと何かが這い出てくる感触。
「嫌だッッ! 嫌だ嫌だイヤだイヤだッッ!」
ヌチャヌチャと音がする。
と、不意に痛みが引いていく。モゾモゾと幼虫が蠢く感覚だけが続く。
「痛みが引いたろう。喰蟲は魂、ソウルを喰らい、成長する。お前の腹に流れていたソウルが喰われ、神経が麻痺したんだ。後はソウルが蓄積される胃を残して、全身は跡形なく喰われる」
全身を喰われる? 胃を残して? 虫に?
涙と鼻水で顔を濡らしながら、俺は抵抗する。
「俺が……俺が何をしたんだ! 何で……何でこんな事に……ッ!」
「まぁ死ぬ前に説明してもいいだろう。しっかり観察記録に記しておけ」
作業員は手術台の横に座り、記録用紙とペンを手に、言い放った。
「お前が、喰者だからだ」
つづく
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
気持ち悪いですねぇ、喰蟲。僕は虫の中では蜘蛛が一番嫌いです。ほんとに無理です。
ご意見、ご感想、ご指摘等、お待ちしております!
ではっ!




