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R.I.P.末期ギャン ―死んで借金が消えた俺は、異世界でも賭け続ける―  作者: 黒瀬雷牙
第二章 王都バルミナム 編

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第七十一話 仲間達だけ釈放されたのだが、監視役が最悪すぎる

 私の名前はイベルタ。


 現在、王都バルミナム地下牢に収監中である。


「はぁ……」


 私は小さくため息を吐いた。


 地下牢と言っても、王都の牢は妙に綺麗だ。

 湿気こそあるが、不衛生というほどではない。


 ……だからといって快適ではないが。


「納得いかないんだけど!!」


 隣でコルディが鉄格子を蹴飛ばした。


 ガァン!!


「うるさいわよ」


「だっておかしいでしょ!?なんでギャン達だけ釈放なのよ!!」


 数分前。


 クラウド=ローキンスがここへ来た。

 そして淡々と告げたのだ。


 ギャンとユッキーの釈放。

 そして、王国への協力要請。


「まぁ……二人が解放されたのは良かったわ」


 私は壁にもたれながら呟く。


 少なくとも、処刑や拷問の類ではなかった。


 それだけで十分安心できる。


「良くないよ!!私達まだ牢屋なんだけど!?」


「コルディは危険人物認定されてるから仕方ないわね」


「納得いかない!!」


 再び鉄格子を揺らす。

 元気ね、本当に。


「イベルタ姉ちゃんだってローキンス家の問題児とか言われてたじゃない!」


「まぁ、実際問題だもの」


 私は苦笑した。クラウド兄さんの立場も分からなくはない。


 私は元々、ローキンス家の人間。しかも今は半ば出奔状態。


 王国側からすれば、簡単に野放しに出来る存在ではない。


「……でも」


 コルディが少しだけ真面目な顔になる。


「ギャン達だけ外って、ちょっと心配じゃない?」


「心配よ」


 私は即答した。


 ギャンさんは妙なところで無茶をする。

 ユッキーも止める側に見えて、割と一緒に突っ込む。


 しかも今の王都は危険だ。


 ユラ。


 そしてケンジ。


 あの二人が動けば、王都そのものが戦場になる。


「まぁでも、クラウド兄さんの話聞く限り監視付きみたいだよ……アリシアの」


 その瞬間、コルディの顔が引き攣った。


「……うわぁ」


 アリシア=ローキンス。


 私の妹にして、私の知る人の中で一番の天才。


 あの子は強い。

 本当に強い。


 アリシアは利き腕を潰された状態だったのに、それでも私は正面から完封された。


 あれはもう、才能とか努力とか、そういう次元の騎士じゃない。


「……ギャン、絶対イラつかせてるわね」


「間違いないわ」


「ユッキーも巻き込まれてる」


「でしょうね」


 少しだけ笑ってしまった。


 容易に想像できる。


 ギャンさんが軽口を叩き、アリシアが冷たい目で睨み、ユッキーが巻き添えで疲弊する光景。


 そしてコルディは、ふと真顔になった。


「……あれ? もしかして牢屋の方がマシじゃない?」


 私は少し考えた。


「……否定できないわね」


 地下牢は静かだった。


 遠くで騎士達の足音が響く。

 王都全体が張り詰めている。


 嵐の前。


 そんな空気だった。


 私は目を閉じ、小さく息を吐いた。


「無茶しないでよ、ギャンさん」


 あの人は、こういう時ほど危険な方へ歩いていくのだから。

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