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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEカナ

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不肖の弟子

「ッ!?」


「カナさん! もう限界です! 降りてください!」


人型兵器の腰にかじり付き、何とか踏ん張っていたカナだが、さすがに相手も痺れを切らしたらしい。


“振り落とせないなら押し潰してしまえ!”とばかりに、近くの柱へ突進し出したのだ。


このままでは、柱と人型兵器に挟まれてしまうだろう。


だから、そうなる前にと、ラックが大きく手を振って合図する。


何があっても自分が受け止めるという意思表示だ。


「……わかへはお!(任せたぞ!)」


ラックの覚悟を信じたカナは、全身の力を抜き、重力に身を任せる。


それに気付いていないのか、それとも勢いが付いて止まれないのか、人型兵器は、そのまま柱に向かっていく。


それを横目に見流して、カナの落下予測地点へと駆けるラック。


そして、今回は頭から飛び込む必要もなく、余裕を持ってカナを抱き止めたのだった。


「お帰りなさい。こうして抱えてみると、カナさんって思った以上に軽いんですね」


「ハッ、スライム相手にビビってた貧弱野郎が言うようになったな。……それはそうと、俺様は麻痺の影響で、まだ動けねぇ。取り敢えず適当な柱に避難すんぞ」


「まぁ、運ぶのは僕なんですけどね……」


そうして、最寄りの柱に身を潜める二人。


しかし、標的を見失ったことで人型兵器が再び柱を破壊して回る。


二人の隠れる柱が折られる度に避難場所を移していくものの、一本、また一本と柱が減っていき、ついに最後の一本となった。


「……やべぇな。まだ麻痺が残ってんぞ。かといって、ここに残ってたら突進を食らうし、表に出てもレーザーで穴を開けられるだけだ。……こりゃあ、詰んじまったか?」


「そんな!? ようやく、ここまで来たのに!」


(わり)ぃな、ラック。俺様がドジ踏んじまったせいでよ。さんざん偉そうな事を言っといて、このザマじゃ合わす顔がねぇ」


「そんなことありません! 僕が、ここまで来られたのは、どう考えてもカナさんのお陰じゃないですか! ……だから、僕が証明して見せます! カナさんは何も間違ってなかったって!」


そう言って、カナを残し、一人で人型兵器の元に向かうラック。


その背中には、今までにない程の闘志が宿っていた。


「ちょ、待てよ!」


「カナさんは、そこで見てて下さい! 不肖の弟子が強敵相手に一矢報いる姿を!」


「……馬鹿野郎がっ!」


辛うじて動かせる顔をラックの方に向け、吐き捨てるカナ。


それは無謀な挑戦に身を投じたラックに対する悪態か、それとも動けない己に対する自虐か。


口にしたカナ本人にも、それは分からなかった。

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