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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEカナ

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野生児

「カナさぁぁぁんッ!」


悲鳴と怒号が合わさったような絶叫を上げて、ラックが走る。


その足が向かう先は当然、カナの落下予測地点だ。


落ちてくるカナをなんとか受け止めようと全力で駆け、最後の数歩分を詰めるために頭から飛び込む。


――しかし、


「フンッ!」


「えっ、ちょ、へぶしっ!?」


カナのピンチを颯爽と救うはずだった英雄(ラック)は、間抜けな声を漏らしてロボットの足に突っ込んだ。


その際、顔面を強打してしまったため、鼻の頭が真っ赤に腫れている。


まるで童話に出てくるトナカイのようだ。


……ちなみに、現実のトナカイの鼻は、そこまで赤くない。


せいぜいピンク色である。


それはそうと、今回のラックの失態は、主にカナが原因だ。


カナが、あのまま何の抵抗もなく落ちていれば、ラックがキチンと受け止めていたはずだった。


にも拘わらず、カナが気合と根性を振り絞り、最後の意地でロボットの腰にしがみついてしまったため、ラックの狙いが外れたという訳だ。


しかも、カナは大きく口を開き、顎の力だけで、ロボットにぶら下がっている。


なので、“しがみつく”というよりは、“かじりつく”と言った方が正しいか。


どうやら先程の放電で麻痺してしまい、手足が動かせなくなっているらしい。


そして、唯一、動かせるのが口だったようだ。


だからといって普通は噛み付いたりしないだろうが。


まぁ、カナに“普通”を求める方が間違っているのかもしれない。


「ちょっと、カナさん! 何してるんですか!? ちゃんとキャッチしますから大人しく降りてきて下さい!」


「ううへぇ! おえはわおこほはほっほへ!(うるせぇ! 俺様の事は放っとけ!)」


「何を言ってるか分かりません!」


「ふはー!(うがー!)」


なんとも馬鹿馬鹿しい、やり取りだが、こんな会話を交わしている間も、ラックに向かってレーザーが飛び交い、カナには雷撃が浴びせられている。


それでも何とか凌げているのは、カナに気を取られてレーザーの照準が杜撰(ずさん)になっている事と、カナの称号のお陰だ。


―――――――――――――――――――


【野生児】


効果:敵に噛みつくことで、

   HPとMPを吸収できる。

   吸収量は1秒ごとに最大値の1%。


獲得条件:魔物系食材を調理せずに、

     そのまま食べる。

     ×10種類。


―――――――――――――――――――


かつてラックの夢について聞いていた時に、カナは魔物の肉を生で食べていた。


それによって得た称号だが、発動条件が限定されているため、これまで使う機会が無かったのだ。


しかし、ここに来て偶然、活躍の場に恵まれたのである。

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