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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEネネ

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魔女の後継?

「恐らく、ネネさんが調薬に込めた願い、そこに毒ばかり出来上がる要因があると、僕は考えます」


「私の願い……皆の役に立ちたいっていう願いが?」


「それが、なんで毒に繋がるのさ?」


一通りの素材を使い、調薬を終えた所で、トーシローが気付いたことがあると、二人に話を持ちかけた。


その内容に、二人は首を傾げる。


「皆のために調薬を学ぶ。調薬で皆を助ける。では具体的に、どんな薬を、どんな場面で、どんな風に使って、助けるのか。ネネさんに明確なイメージはありましたか?」


「えっと……そういえば。具体的な事は何も……」


「やっぱり……。これは推測ですけど、ネネさんは皆の役に立ちたいという純粋な想いだけで調薬した。けれど、それだけだと薬の方向性が定まらなかった。そこで、それとは、別の願いが混じったのではないでしょうか。自分の手でモンスターが倒せたら……という願いが」


「それは……」


図星だった。


初めて、あの洞窟で黄金虎に追い詰められた時も、そして、昨日の戦闘でも、支援する力ではなく、倒す力が自分にあればと、何度も思った。


そうであれば、皆の負担を、もっと減らせたのに……と。


その願いが調薬に影響を及ぼした、と言われれば、確かに納得だ。


「つまり、モンスターを倒すための力として、毒が生まれたってこと?」

.

「多分……ですけどね。僕は昨日の戦闘しか経験してませんけど、それでも、ネネさんの歯がゆそうな気配は何度も感じましたから。もっと、もっと自分に出来ることがあればって」


「そ、そんなに漏れてましたか?」


「あははっ、そうですね。そのうち、我慢できなくなって、突撃するんじゃないかと、内心ヒヤヒヤしてました」


「そ、そんな無茶はしません!」


「えー、でも最後の場面では、実際に自分で黄金虎に向かって行きましたし」


「あ、あれは、もう他に手段が無かったからで……」


とは言うものの、自分も前に出たかった、という気持ちは否定できない。


「ふーん、ネネちゃんが、そんな事をねぇ。まぁ、でも確かに、たとえ支援魔法で貢献してても、皆が前で戦ってるのを安全な後ろから見てるってのは、ネネちゃん的に、ヤキモキしそう」


「そ、それは、まぁ、そうですね」


「あと、気付いた事が、もう一つ。調薬中のネネさんの様子について」


「あー、それは私も思った。どっちかって言うと、あっちの方が毒に影響してそうだよねっ!」


「えっ、えっ?」


ネネには、何のことだか分からなかった。


調薬中の様子?


毒に影響してそう?


そんな特別なことは何もしていないはず。


ただ、皆のためにと、心を込めて調薬しているだけ……少なくとも自分は、そのつもりだった。


「まっ、実際に見てみるのが早いかなっ。ネネちゃん、もう一回、調薬してみてくれる? その間、私はキャプチャー機能で撮影しとくから」


「わ、分かりました」


自分は、ただ調薬するだけとは言え、撮影されるのは気恥ずかしいし、緊張もする。


しかし、それ以上に、二人の意味深な発言が気になって、ネネは大人しく従った。


そして、出来る限り、いつも通りを心がけて、丁寧に調薬を進めていく。


「ウフ、ウフフフフフッ。これをこうして……次は、こっちの素材を……」


「…………」


「…………」


なにやら、呆れたような気配の視線を感じたネネだが、今は調薬中。


余計なことには気を取られず、作業に集中する。


「皆のために……皆のために……皆のために……。ウフフッ、アハハハハハッ。良い色になってきました。完成は近いですよぉ」


「…………(ビクビク)」


「…………(ビクビク)」


なんとなく、視線に混じる気配が、呆れから恐怖に変わっている気がするが、多分、気のせいだろう。


これは、恐らく雑念が多くて、集中しきれていないせいだ。


もっと、もっと、深く調薬の深淵に迫らねば。


「これを使って、あんなことや、こんなことを。アァ、イマカラ、マチドオシイ……」


「ストーップ!」


「ひゃう!? も、もう何ですか、みのりん。調薬の邪魔しないでください!」


「なんか、さっき見たときよりも悪化してるんだけど!? 魔女っていうか、もはや魔物とか魔神みたいなんだけど!? これじゃあ調薬っていうより呪いの儀式だよっ!」


「あはは……。もしかしたら僕よりも、お婆ちゃんの後継者っぽいかも。お婆ちゃんも、調子が良い時は、あんな感じですから」


「えっ? な、なんのことですか?」


何が何だか見当が付かないネネに、みのりんがメニュー画面を開いて見せる。


そこには、調薬中のネネの奇怪な振る舞いが、バッチリと記録されていて……。


「こ、こんなの……。こんなの私じゃありません~!」


いつかの逆パターンで、今度はネネが、みのりんの胸に飛び込み、羞恥に悶えることに。


なお、みのりんの、ある部分が薄く硬かったせいで、少し、おでこを痛めたが、なんとか本人には悟られずに済んだのだった。

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