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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEネネ

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ユニークな薬

「みのりん、出来ましたっ! それも、ユニークアイテムです!」


「おお~!」


「おめでとうございます、ネネさん!」


ネネがトーシローと共に黄金虎の討伐を成し遂げた翌日。


再び訪れた【魔女の家】に、賑やかな歓声が響いていた。


ネネが調薬に成功したのは、アイテムショップで売っている既製品とは異なる効果を持つ、ユニークアイテムと呼ばれるもの。


入手方法は、主にプレイヤーメイドで、まれにモンスタードロップや、宝箱からもゲットできる。


ユニークといっても、一点モノではなく、あくまでもレアなアイテムという位置づけに過ぎない。


とはいえ、その効果は既製品より優れているものが多く、プレイヤー間では高値で取引されているのだ。


「それにしても、まさか本当に心の持ちようで調薬の結果が変わるとは思いませんでした」


「ねー。すごい仕様だよねー」


【ネバーランド】の非常識な技術力は今までにも片鱗を見せていたが、今回は特に顕著だ。


いったい、このゲームにどれだけの金と人材を注ぎ込んでいるのやら。


とはいえ、一介のプレイヤーに過ぎない二人には、あまり関係がない話だろう。


今は、それよりも気にすることがある。


「……ところで、トーシローさん。このアイテム。説明欄が【?】になってるんですけど」


「あぁ、自分の知識にないユニークアイテムは、効果が伏せられているんですよ。自分で使うか、他人に使うか、あるいは誰かが使っている場面を見るか、図書館の資料などで調べるか、それらの方法でロックが解除されます」


「面倒くさっ!? なんで、そんな手間を……。ていうか、図書館に、そんな資料あったっけ?」


ネネの質問に対する、トーシローの説明を聞いて、みのりんが顔をしかめた。


効果の分からない薬を飲むなど、現実的に考えれば絶対に遠慮したいところ。


スタッフの悪ふざけか、はたまた迷惑なサプライズなのか。


どちらにしろ、迷惑なこと、この上ない。


「あー、薬師の職業に就いてないと解放されない資料なので……。みのりんさんには公開されてないんでしょうね」


「なら、ネネちゃんなら読める?」


「それも難しいと思います。その手の資料は、上級の薬師にならないと閲覧許可が降りないので。見習いのネネさんでは、簡単に手に入る薬素材の情報くらいしか得られないかと」


「なら、師匠に聞いてみるとかは、ダメでしょうか?」


奥の部屋に籠っている老婆の方に視線を向け、ネネが意見を口にする。


「お婆ちゃんは厳しいので、その辺りは自分で調べるしかないと思います……」


「そうですか……」


しかし、呆気なく希望は絶たれ、ネネは思わず項垂れた。


こうなったら、毒の可能性も覚悟して自分で試すしか……。


そう、ネネが諦めたとき、みのりんが口を開いた。


「しょうがない。私が飲もう」


「み、みのりん!? そんなの駄目ですよ!」


「平気、平気! ネネちゃんの手作りなら、例え毒だろうが泥団子だろうが愛で乗り越えられる!」


「いやいや、愛は万能薬じゃないですから! その理屈だと薬師が必要なくなりますっ!」


「まぁまぁ。ここは街の中だし、滅多なことにはならないでしょ。最悪、広場に戻されるだけだよ」


「そ、それは、そうかもしれませんけど……」


「それに、ネネちゃんを危険な目に会わせたくないし」


「みのりん……」


みのりんのストレートな言葉に、ネネの顔が熱くなる。


そんな二人を、トーシローは微笑ましい眼差しで見つめていた。


「一応、ここには色んな解毒薬がありますから。万能薬とまではいかなくとも、大抵の毒には対処できますよ。それに、まだ毒と決まった訳でもないですから」


「そーそー! 単にHPが回復して、なーんだ、これで終わりかー、心配して損したっ、てなる可能性もあるんだし!」


「…………でも」 


「隙ありっ!」


「あっ!?」 


このままでは話が進まないと判断したのか、みのりんが薬の入った試験管をネネから引ったくる。


そして、みのりんは、すぐさま、その中身を飲み干した。


「っぷはぁ! うーん、この妙に甘ったるい味と、独特な香り、まさに薬って感じ」


「ち、ちょっと、みのりん!? 体は大丈夫ですか!?」


ネネが慌てて呼び掛けると、みのりんが、ゆっくりと、こちらに振り向く。


しかし、その目はどこか虚ろで、目線が定まっていなかった。


「あれ? ネネちゃん、なんで二人に分身してるの?」


「やっぱり、毒じゃないですかぁ! 幻覚が見えてるじゃないですかぁ!」


「えっ、なになに? …………うそ、こんな所で? もー、ネネちゃんったら大胆なんだから~!」 


「今度は幻聴ですか!? というか、幻の私は何を口走って……。って、みのりん、そっちは壁しかないですよっ!」


壁に向かって話しつつ、頬に手を当て、クネクネと体をよじる、みのりんに、ネネが忙しなくツッコミを入れる。


しかし、みのりんの意識には届いていないようで、まったく気にした様子がない。


「うーん、結局、毒でしたか……。さて、幻覚系の解毒薬は……っと」


「トーシローさん! ヘルプ! 早くヘルプですー!」


その後、トーシローが見つけた解毒薬により、なんとか事なきを得た、みのりんだが、それからも懲りずにネネの治験を続けた。


しかし、不思議なことに、何故か全てが毒系のユニークアイテムで、回復系の薬は一つも出来なかったのだ。


ちなみに、不幸中の幸いと言うべきか、この一件で新たな称号を獲得する事となる。


ただし、称号を得たのは被害に遭った、みのりんではなく、ネネの方だったが。


—————————————————————

獲得称号


☆【魔女】

効果:この称号を持つプレイヤーによる

   状態異常が、自然治癒しなくなる。


獲得条件:自作の状態異常系アイテムを、

     パーティーメンバーに使用×10種類。


—————————————————————


Name:ネネ

Job:治癒師・薬師

Level:12


☆獲得スキル

【ライト・ヒール】【ライト・ブレス】

【ライト・キュア】【ライト・リザレクション】

【ライト・ブースト】


☆獲得称号

【聖女】【魔女】

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