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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEネネ

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ネネの願い

「もっと、皆の役に立ちたいから……ですか?」


「はい! 私は治癒師としても半人前で、まだまだ出来ることが少ないので、何か一つでも多く、皆の役に立つ技術を身に付けたいんです」


黄金虎を求めて森を探索する道すがら、【何のために調薬するか】をトーシローに問われ、ネネはそう答えた。


調薬に対するモチベーションの話をトーシローに聞かされてから、何度も考えた結果、やはり、それしか浮かばなかったのだ。


ちなみに、アオバはネネの二の腕辺りに巻き付き、お休み中である。


「ネネさんは、いつも本当に友達のために一生懸命ですね。何か特別な理由でもあるんですか?」


「……そうですね。実は私、昔は体が弱くて、あまり、お友達が居なかったんです。なにせ、せっかく仲良くなっても遊べる時間が少ないですから。なかなか親密な関係に成れませんでした」 


昔というか、現実の体に関しては、今も似たようなものだ。


しかし、いくら高性能なNPCと言えど、現実と仮想現実の区別は理解できないだろうし、ここでは説明を省略する。


ネネの話を聞いたトーシローは、少しの同情と、納得を秘めた表情を見せた。


「それで、今は友人にも恵まれていて、その大切さを分かっているから恩返しがしたい……と?」


「そんな感じです」


本当は、もう少し複雑な事情があるのだが、あまりペラペラと人に話したい内容ではない。


それに、お世話になっている仲間たちに恩を返したいのも本当だ。


とはいえ、正直なところ、ネネは今の段階でも返しきれない恩があると考えている。


その上で更に皆から優しくされるので、一向に返せている気がしなかった。


だからこそ、ネネは自分が役に立てるステージを常に求め、模索しているのである。


「やっぱり、ネネは優しい人ですね」


「そう、なんでしょうか?」


やりたい事をやっているだけなので、自分では良くわからなかった。


「そう思います。僕なんかは常に自分の事ばかり考えてるので。どうやったら、お婆ちゃんを越える薬師になれるか、とか。どうやったら、もっと強いモンスターの素材を集められるか、とか。そんなことばかり考えてます。それで、素材集めと調薬漬けの毎日なので、実は僕も友達はいないんですよねー」


頬を掻きつつ、『あはは……』と渇いた笑みを浮かべるトーシロー。


そんなトーシローを見て、ふとネネは疑問を抱く。


「じゃあ、なんで、今こうして私の修行には付き合ってくれるんですか?」


NPCであり、設定されたクエストだから。


冷静に考えればそうなるが、つい、どんな答えが返ってくるか気になって質問してしまう。


「あー、それは単純な話です。自分の調薬研究が行き詰まってるので、他の人の調薬に関わって、なにかヒントを得られないかと。ついでに、初めて出来た妹弟子に先輩風を吹かせたいなーなんて」


どことなく、冗談めかした態度を見せるトーシローに、ネネは自然と笑みを浮かべる。


「うふふっ。確かに、自分の事ばかりですね。でも、トーシローさんみたいに、真っ直ぐ前だけを見つめて、自分の道を行く人も私は好きです」 


他には例えば、みのりんとか、みのりんとか……みのりんとか。


『って、私、みのりんの事ばっかり考えてるじゃないですかっ! そ、それに良く考えたら、あの二人も、そんな感じですよね!』


少し別行動を取っているだけなのに、もう寂しくなってしまったのか。


そんな恥ずかしい疑問が頭をよぎり、それを振り払うように他二人の友人を頭に浮かべる。 


『そうです! カナちゃんは、まさに我が道を行くって感じですし、シオンちゃんは自分の事が大好きですし。べ、別に、みのりんが特別という訳では……』


「あ、あのう。ネネさん? さっきから真っ赤な顔で百面相してますけど、どうかしました?」 


「な、なんでもないです!」 


まさか、友達の女の子の事で頭が一杯になっていた、なんて、恥ずかしくて言えるわけもない。


不審な態度を取ってしまったことを、どう誤魔化すか。


そこに悩む必要性は、突然の乱入者によって破棄された。


「グルァァァ!」


「クーッ!」


過去にも聞いたことがある黄金虎の雄叫び。


それに反応して、アオバがネネの腕から離れ、警戒を示す。


目覚めたばかりの筈だが、寝惚けた様子もなく、一瞬で戦闘モードだ。


「トーシローさん! それでは、打ち合わせ通りに!」


「はい! 任せて下さい!」


みのりんという強力な切り札がいない、初めてのボス戦。


ネネは緊張で体が固くなるのを自覚しつつも、余計な力を抜けきれずにいた。

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