今度は必ず
「どこに……どこに居るんですかっ」
「ネネちゃん、先行しすぎ! 離れると危ないよ!」
「す、すみませんっ」
子龍を逃がして黄金虎と対峙したネネだが、その後、あっという間にやられてしまい、街へと戻された。
そして、同じく黄金虎にやられ、街へと戻されて、慌てて森に向かっていたらしい、みのりんからメッセージで連絡を受けて合流。
今は、二人で森を駆け回り、子龍の行方を探している最中だ。
ちなみに、みのりんは黄金虎の戦闘力を警戒して、機動力特化から耐久力特化にステータスを振り直している。
そのため、現在の移動速度はネネの方が上である。
「気持ちは分かるよ。ネネちゃんが、あの子と別れてから、もう1時間も経つし……」
あの子龍の活動エリアは、恐らく、この森の中だけ。
とはいえ、その森の規模は半径5キロにも及ぶ。
耐久力特化の、みのりんと、レベルの低いネネの足では、なかなか探索が進まなかった。
探索自体は機動力特化のステータスで行い、見つけたら耐久力特化に変更、という案もネネから出たが、ステータスの変更には、それなりに時間がかかるため、手間取っている間に襲われる、あるいは、また見失うという事態になりかねないのだ。
「あの、みのりん。もし……もしも、あの子がやられちゃったら、どうなると思いますか?」
ひどく躊躇うような口調から、想像もしたくないというネネの気持ちが伝わってくる。
その眼差しは、不安に揺れており、今にも泣き出しそうだった。
「……最悪の場合、クエストは失敗扱い。それで、もう一回受けることも出来なくなって、二度と会えなくなるかも。ただ、運良く、もう一度受けられたとしても、その時に会える子龍は、あの子じゃない……と思う」
「そう……ですね。私も、そう思います」
みのりんは素直に言うべきか迷ったものの、楽観的な考えで励ましても、効果ないと考えた。
しかし、実際に気落ちするネネを見るのは、胸が痛む。
けれど、自分の判断が間違っていたとは思わない。
だからこそ——、
「だからこそっ! 絶対、助けるよっ!」
「みのりん……。はいっ! 今度は必ず!」
今の自分に出来る精一杯の笑顔で、覚悟を告げる。
そして、ネネもまた、決意を秘めた瞳で、みのりんを見返した。
先程までの不安定さは、もう感じない。
「それで、ネネちゃん。子龍の行きそうな場所に心当たりはない? 私と別れた後とか、どこに行ったの?」
慌てて探し始めたせいで、その話を完全に忘れていた。
本来なら、最初に確認すべき内容だ。
「それは……小さな洞窟があって、そこに隠れて。でも、行き止まりで追い詰められたんです。あの子は、吹き抜けから外へ出られましたけど。ただ、襲われた場所に、わざわざ戻るでしょうか?」
「他に当ても無いし。それに、もしかしたら……」
「もしかしたら?」
「置いていったネネちゃんが心配で戻ってるかも」
「そう、かもしれませんね。……とにかく、行ってみましょう!」
「うん!」
ネネの記憶を頼りに、森を駆け巡り、例の洞窟を目指す。
しかし、見覚えのある穴の入り口が見えた所で、不穏な雄叫びが耳に届いた。
「みのりんっ。今のって!?」
「急ごう!」
奥から漏れる僅かな光源を頼りに、足早に通路を駆ける。
やがて、最奥に辿り着いた時、そこには傷ついた子龍がいた。
そして、今まさに子龍に止めを差さんと爪を振り上げる黄金虎の姿も。




