訓練と悪ノリ
「それでは、これより! 武器の扱いを学ぶための訓練を始める! 【みのりん】、準備はいいか!?」
「サー、イェッサー!」
全身、筋肉の塊と言える大男の問いかけに、元気よく答える、みのりん。
何故か軍隊式の返事だが、ここは別に軍事施設という訳ではないし、教官に強制された訳でもない。
ただ、みのりんが悪ノリしているだけである。
みのりんは現在、図書館で見つけた自分にぴったりの武器の扱いを覚えるべく、修練場にやって来ていた。
ここでは、各種武器の特性について学べる他、貸し出された武器を使って実際に稽古することも出来る。
そして、なんと言っても一番の魅力は、訓練を適切に終えれば、貸し出された武器を卒業の証として、自分のものにできる点だ。
それぞれの武器ごとに貰えるのは一度きり、かつ最底辺の性能とはいえ、タダで武器が手に入る貴重な機会である。
駆け出し冒険者にとって、なくてはならない施設と言えるだろう。
「【みのりん】よ! お前が選んだ武器は【魔導銃】だな! この武器は魔法を覚えることなく魔法属性の攻撃ができる! MPを消費し、そのエネルギーを弾丸として放つのだ! 魔法とは違って、消費するMPを細かく調節することができ、多くのMPを費やすほど威力は上がる! ただし、調子に乗ってバカスカ射ちまくっていると、あっという間にMPがなくなるぞ! MPの残量に注意しつつ、無駄弾を減らすために一瞬の隙を狙う冷静な判断力が必要となる! お前に、それが出来るか!?」
修練場を揺るがすほど覇気を纏った教官の声が、体の芯まで響いた。
その声に負けじと、みのりんも出来る限り声を張り上げ、対抗する。
「分かりません! まだ、やったことないので!」
「なるほど! 確かに、それもそうだ! ならば、【みのりん】よ! これを使って実際に訓練に励むがいい! 状況に応じて消費MPを切り替えつつ、10体の騎士人形をそれぞれ一撃で倒すことが出来れば、卒業の証として、この魔導銃をくれてやろう! なお、リタイアすれば全回復して、始めから、やり直すことができる! ただし、アイテムの使用は不可とする!」
「サー、イェッサー! よーし、負けないんだからっ!」
教官から魔導銃を受け取り、試し撃ちを済ませると、粗末な剣を持った1体の騎士人形が現れた。
騎士人形は木で出来ており、操り人形のような見た目をしているが、糸は見当たらない。
モンスターと同じく、自身の判断で動く仕掛けになっているのだろう。
人が相手でなかったことに、なんとなく安堵しつつ、みのりんは遠慮なく騎士人形に銃を向ける。
「さぁ、勝負だよ!」




