↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/89

第41話 MPゼロ

「マスター!おかえりなさいませ!」


五日の帰路を経てダンジョンにつくと、ぽんこが出迎えてくれた。


「ああ。ただいま」


この世界に来てはじめて言った言葉。

ここが俺の帰る場所なのだと、実感が沸いてくる。


さて。

三つ同時に落とす。


そう決めたのはいいが、決意だけで戦争は進まない。


まずは現状確認だ。

最後にステータスを開いたのがいつだったか、正直覚えていない。

戦争が始まってからというもの、数字を眺めている暇があったら壁を一枚でも増やしたい、という生活が続いていた。


「ぽんこ。早速だが、ステータスを出してくれ」

「はい!久しぶりですね、ステータス画面!」


目の前にウィンドウが展開される。


【ステータス】

・HP:220/220

・MP:0/0

・DP:512,041

・管理権限Lv:5(+2)

・総支配指数:1420.7(+890.0)

・迷宮数:1


()内は前回表示からの変動値


数字が並ぶ。


DPは50万を超えた。


「……50万か」

「初期の頃は数千で大喜びしてたのに。出世しましたね」

「出世というか、殺した数が増えただけだが」


ぽんこはにこにこしたまま何も言わなかった。

こういう時だけスルーが上手い。


50万DP。

今までで一番の金持ちだ。

だが同時に、今までで一番やりたいことが多い。

三方面同時攻略をやるなら、投資先は山ほどある。


まあ順番にいこう。


「ぽんこ。俺のステータス強化メニュー、出せるか」

「マスター自身の?珍しいですね。今まで一回も開いたことないのに」

「一回もってことはないだろ」

「正確には四回です。」

「四回あるじゃないか。相変わらず適当だな」

「違いますよ!四回はそれぞれマスター起動直後、レベル2、3、4上昇時の確認だけです、実質的ゼロ回です!」


ゼロ回か。まあ、そうだろうな。


今まで自分の強化に手をつけなかったのには特に理由はない。

単純に、優先順位が低かっただけだ。


俺が強くなっても前線に立つわけじゃない。


管理職は後ろにいるものだ。

疲弊したプレイングマネージャーにはなりたくないからな。


「マスター、強化するならダンジョンマスターが一番コスパいいですよ?」


ぽんこが何か言っているが、よく聞こえない。

この方針は、今も変わらない。


変わらないが、前回の遠征で少し考えが変わった。

現場に出て、自分の目で戦場を見て、自分の足で歩いた。

あの時、雑魚モンスターの一匹に迫られただけで心臓が止まりそうになったのは、正直に言うと結構こたえた。


前線に出る気はない。

でも、現場に行くことはある。

その時に通常モンスター程度で死ぬのは、管理者として論外だ。


「10万使う」

「はい。何に振りますか?」

「HP、耐久、あと走力。今は殺されなければいい」

「魔法は?」


ぽんこが促すように聞く。


「ああ、そうだ」


そこで思い出す。


「ぽんこ。こないだのダンジョンの時のスキル」

「はいはい」

「敵がダンジョンにいる時に構造変更するスキル、MPが必要って言ってたな」

「その通りです」

「もしかして、MPが必要なスキルって結構あるのか?」


そう、俺はMPが0。

この世界の住人は、差はあれど基本的には皆魔法に適性があるらしい。

だが俺はこの世界の住人ではないので当然魔法なんて使ったことはない。


だからMP0、それはわかる。


「ご明察です!スキルにはMPを使用するものが多くあります!優秀なスキルはほとんどがそうですね!」

「マジか」

「そして気付いたからには教えてあげましょう!マスターはMPがゼロなので取得可能スキルにMPが必要なスキルが出ていません!」


「……なるほど、知ってて黙ってたか」

「はい、そろそろマスターも気付いてますよね?」

「ああ、お前が俺のことを大嫌いなのでなければな」

「大好きですよ。言わせないでください、恥ずかしい」


前からなんとなくは思っていた。

ぽんこは意図的に俺に情報を隠している。

でも、ぽんこから悪意は感じない。


多分……


「情報制限」

「ですです」


「システムか?」

「秘密です」


「言えることは?」

「マスターが予想できること、仮説でも思い当たれば答え合わせはできます。あとは一般常識や基礎知識、データもある程度は」


「お前の上司は誰だ?」

「マスターです、本当ですよ」


「情報を制限しているのは誰だ?」

「秘密です」


「世界そのものか?」

「似たようなものです」


「神?」

「いい線行ってますね」


「ノード様?」

「秘密です」


「教会?」

「秘密です、その辺のことは合ってても間違ってても答えられませんよ」


なるほど、わかったようなわからないような、だな


「はじめはやきもきしましたけどね、今は平気です。マスターならぽんこの情報が無くても真実にたどり着きます」


ぽんこがのんきな顔で言う。


「わかった、そのうち尋問するから覚悟しとけ」

「はいな、マスターとのお話しは好きですよ」


この話はお終い、とばかりにぽんこが強化メニューを展開する。

身体系のパラメータが並ぶ。


HP上昇、物理耐性、移動速度。

その中に一際目を引く項目がある。

【MP上昇:1MP】

【必要DP:100】


「MP、どれくらい必要だ?」

「この世界の一般人でMP100くらい、うちにくる魔法使いで1000くらいですね」


「1万DPで一般人か、とりあえずそこだな」


【DM強化:MP上昇DP10,000消費】


DPが引かれる感覚。

じわっと体が温かくなる。

身体の底に水が溜まっているような不思議な感覚、地味だが確かな変化。


魔法が使えるようになった訳じゃない。

ただ、MPが増えただけだ。


【残DP:502,041】


「身体強化に振るつもりだったが、こうなったらスキルを確認しない訳にはいかないよな」


そう言ってスキル取得UIを展開する。


取得可能スキルが数倍に増えていた。


「おい……これ全部MP使用スキルか?」

「そうですよ!よくこんな縛りプレイでこれだけ活躍しますよね、尊敬します」

「……罰だ、全部のスキルを説明しろ」

「えぇ!1万はありますよ!」

「ない。100くらいだ」


そうして、ぽんこのスキル説明会が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。