第127話 棚卸し
コアが蟻の巣ダンジョンに戻ってきた。
セラとアニ隊が地下の道を運んできた、俺は転移でここまで来て台座に収めて、それで終わりだ。
一月ぶりに俺とコアが自分の家に揃う。
「マスター、記念すべき日ですね!」
「記念するようなことか」
「します!ただいま記念日です!」
ぽんこがコアに手を振っている。
コアは光っているだけだ。
とはいえ、これで全部が揃った。
ここ数ヶ月、落ち着くタイミングがなかった。
東のオルレアスのことは懸念だが、一旦ここらでやっておきたいことがある。
「ぽんこ。棚卸しだ」
「たなおろし?」
「今なにがあって、毎月いくら入ってくるのか。全部確認して書き出す」
DPは乱高下するし、収入は増えるし、社員も増えた。
整理しておかないと判断を誤る。
「よし、まずはステータスだ」
ウィンドウが開く。
【ステータス】
・HP:28,000/28,000
・MP:4,100/4,100
・DP:673,184
・管理権限Lv:6
・総支配指数:35,246
・迷宮数:17
「ランキング」
【総合ランキング】
【1位:キャステル 総支配指504,212 第1大陸】
【2位:ハディム 総支配指数131,914 第4大陸】
【3位:リシウス 総支配指数 85,255 第3大陸】
【4位:クロノ 総支配指数79,174 第5大陸】
【5位:フェネク 総支配指数53,429 第2大陸】
~
【7位:ユート 総支配指数35,246 第3大陸】
「おお、7位か」
「上から5位は各大陸の長でしょうね、リシウス、もといオルレアスは3位ですか」
「相変わらずキャステルがぶっ飛んでるな」
俺とオルレアスの差は倍以上。
負ける気はないが、簡単な道ではなさそうだ。
「さて、次は人材だな」
「はい!まずダンジョン所属の幹部モンスターが、7名と1万匹!」
「1万?」
「はい!チュウタさんです!」
「ああ、チュウタは全部同一人物だからな。8名でいいだろ」
うちの幹部はチュウタ、アニ、オト、イモ、シルヴァさん、セラ、シュリ、それからラセツだ。
「ラセツ、何してるかな」
「そろそろ忘れられてそうですよね、私たち」
「やめろ」
「構成員、ゴブリン系4万以上、蟻系2千、戦機系3百、その他4千!総勢5万です!」
5万の軍勢、でかくなったもんだ。
「次です!グループ所属のダンジョンマスターがマスター含まず14名!」
「レイゼル、レイゼルが切り取った6人、グランツの従属だった7人、だな」
実際に普段から親交があるのは、トトとゲルダくらいだ。
後はグランツの下で飼い殺されていた毒使い、カイエン。
宴で話したが、悪い感触じゃなかったのでグランツ組をまとめてくれることを期待している。
「先に入った6人と、後から入った7人の軋轢、絶対あるよな」
「そうですねぇ、ユート組は気に入らないでしょうし、グランツ組は肩身が狭いでしょうし」
「あとグランツ組との実力差が激しいんだよな、グランツ組が弱すぎる」
「搾取されてましたからねぇ」
グランツ組はDPも行動もグランツに制限されていた、税収を増やすためには強くなってもらいたい。
「税率下げるか」
「よく考えたら税率8割ってグランツもびっくりの搾取ですよね」
「元々が捕虜扱いだったからな」
とはいえ、うちの財政状況は余裕があるとは言えない。
これからのオルレアスとの戦いでもバンバン必要になってくるだろうしな。
「じゃあ次は、収入」
「はい!概算で月170万です」
「……170万か」
「170万です!」
いい加減インフレにも慣れてきたが、凄まじい収入だ。
年収2000万オーバー、しかも非課税だ。
「まぁ収入というか、売上ですけどね。固定費はかかりませんが、経費はかかってますし。幹部さんたちのおこづかいとか」
そう、うちの幹部モンスターと、ついでにレイゼルはおこづかい制だ。
自身の強化や、部下の強化、あとは食料や嗜好品、研究材料の生成など何に使ってもいいDPを毎月渡している。
「それにそもそも余ったお金は全て設備投資に回してますからね」
「そういや、イース北と蟻の巣ってどれくらいDP使ってたんだ?」
ぽんこが指を動かし計算する。
「えーっと、取り急ぎ支配域化だけで。イース北が100万、蟻の巣が40万ってとこです!」
思ったよりも少なかった。合わせても140万、ひと月で倍にできる。
距離は正義だ、オルレアス対策としても増えた収入でどんどん広げていくべきだろう。
「しかし、イース北の方がでかいんだな。規模はもう蟻の巣ダンジョンも同じくらいだろ」
とはいえ、原因はわかっている。
イース北は大きな箱型の支配域に、必要な通路や部屋を配置した構造だ。
それに対して、蟻の巣ダンジョンはそもそも必要な分しか支配域化していない。
道部分は通路状に支配域化し、隙間部分は支配域にはしていない。
「そう考えると、道は安いよな」
「安いですね!」
「ぽんこ。マーレンまでの道、いくらだったっけ」
「20万DPです!」
「何キロメートルだった」
「600キロです!」
俺は指を止めた。
20万DPで、歩いて1ヶ月の距離を掘れる。
箱型に作ったイース北がどんなに大きくても、歩いて二時間のアウル村にすら届かない。
その100万DPを道にしたら……3000キロメートル?
「ぽんこ、3000キロメートルってどれくらいだ」
「はい!3000キロメートルは300万メートルです」
「違う。どこまでいける?」
「大陸横断一回分、もしくは縦断二回分ですね」
「……安すぎる」
蟻の巣ダンジョンとイース北、そして従属のダンジョンを繋いだが、あれは便利だ。
転移が使えるようになるのがでかい、どんなに遠くても支配域であれば転移で一瞬でいける。
「伸ばすか」
「今からですか?」
「ああ、今からだ」




