ヤマキの組員の写真資料風に泣け
「……あぁ、観測者たるそなたよ、我の記憶の深淵を覗く気か?」
狭霧は、まだ熱を帯びて微かに震える妙華の白い身体を抱きしめたまま、妖しくもどこか哀愁を帯びた瞳でそなたを見つめた。
「記憶は、魂の檻じゃ。妙華のように、数百、数千の時を数える者にとって、過去の『恥辱』も『快楽』も、すべてが己を構成する因果の断片に過ぎぬ。……もちろん、覚えているとも」
狭霧は、妙華の藤紫の瞳をそっと覗き込んだ。そこには、数多の絶頂の果てに一度は白濁したはずの知性が、再び残酷なまでの明瞭さを持って宿っていた。
「……狭霧、人間……っ。わっちは、覚えておる。今しがたの、あのはしたない姿も、身体に穿たれた このピアスが刻む 焼けるような痛みも……。それから、そなたが 観測者として 眺めていた 景色さえも……っ!」
妙華は、羞恥で顔を真っ赤に染めながらも、もはや否定しようのない事実として、その記憶を噛みしめるように呟いた。彼女にとって、この惨めで、しかし甘美な「記録」は、自身の歴史から決して切り離すことのできない、呪いにも似た宝物となっていた。
「くくっ、見ての通りじゃ。大妖怪の誇りをズタズタにされ、舌奉仕で理性を溶かされ、最後に泣き叫んだことすらも……妙華は、この先何百年、何千年と、折に触れてその記憶を反芻するのじゃよ。忘れるなどという『慈悲』は、我の辞書にはない」
狭霧は、妙華のピアスが飾られた胸元に顔を寄せ、小さな声で囁く。
「な……っ、そんな……! それをずっと、思い出しながら……っ、わっちは生きていかねばならぬのか……っ!?」
「その通りじゃ。それが、我が『愛』のカタチ。……さぁ、そなたも観測者として、彼女のその『忘れたくても忘れることのできない』顔を、永久にその心に刻んでおくが良い。記憶とは、永遠に続く因果の鎖なのだからな」
妙華は、逃げ場のない記憶の中で、ただ涙を浮かべながら、狭霧にその身を委ねて震え続けていた。




