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なにもないけど、それでいい  作者: YOI&ここね
1.地元町と少女物語
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8/22

08.交差点物語

私「お城の外壁...だ」

めめ「ただの城壁の一部に過ぎないけど、ここの再現だけ成功してるんだよね」

部長「過去の募集で集まった資料を参考に再現した外壁...」

ことね「わかってはいたが...ちゃんと嘘だったんだな」

ももこ「ほ、他の資料はすべて私の手の中にぃ......アハハ」

私たちの目の前にあるのは、馬にまたがる将軍の像とその背後に立つ外壁。

見渡してみるとそこにしかないけれど、だからこそ目立ってしまう。

例えるなら、山々の中にそびえ立った一際目立つ富士山のよう。

めめ「外壁の門とこいくとね、橋があって~...」

ももこ「にしても、相変わらずだな。ここも」

めめ「ももこもね~」

ももこ「おぉ。僕は変わらないよぉ~」

ももことめめを先頭に門をくぐり、

大きな木造の橋と交差するように堀があり、堀沿いには小道のような陸地があった。

横を見てみると、途切れた外壁の端から顔出す桜の木々が歓迎するかのように植えられている。

ことみ「せめて、大人になってほしいけどなぁ...」

部長「子供のうちに子供でいなさい。ことみもね」

ことみ「ナンデ私..?」


私を置いて、4人は盛り上がっている。

細々と一人で後ろをついて行っていると、緩やかな空気の流れを感じた。

それはあまりのも穏やかで、風とは思えないほど優しかった。

めめ「どうしたの、あるく」

私が立ち止まっていると、心配したのかめめが話しかけてきた。

私「なんか、変な風を感じない?」

大丈夫だよという意味も込めて、私はちょっとした違和感を言葉にした。

すると、めめが「そうかな?」と口を開こうとしたが

言葉を遮るように小道から線路を走る音と共に藍色に染められた車両が現れた。

めめ「....おぉ」

私「線路だったんだ」

私とめめが上から見下ろす形で、真下を走り去っていく様子を眺めている。

ももこ「おぉぉ!!!新幹線じゃねぇか。ラッキーだなっ」

ことみ「珍しい。なぜか、電車はよく見るんだけどね」

線路を走る音に釣られて戻ってきたのか、いつの間にか百々子たちも横に並んでいた。

ももこ「めめ、私。藍色の新幹線初めて見たわ!!」

めめ「そ、それはよかったね...」

なぜかぎこちないめめを隣にした私は、人工的に生まれた和らな風を堪能している。

部長「私も、銀じゃないのは初めてだ...」

ことみ「もう5年以上前の話、、よ?」

速度を落とした列車の走行音と隣から聞こえるよくわからない会話が今を模っている。

私は、少しだけその時間が好きだった。

それでも時間は待ってくれるはずもなく過ぎ去っていく。

ももこ「あぁ。もう行っちゃった」

私「なんだか、クライマックスみたいだ」

ももこ「最初はつまらないから、尚更ね」

めめ「ももこ..結局満足してるし」

めめがももこを生暖かい目で見つめている。

その間に挟まれてしまった私は、とてつもなく気まずいのだった。


あれから、意味もなく園外を歩き回り偶然見つけた蕎麦屋で昼ご飯を食べることにした。

私「そばなんて食べるの久しぶりだ」

ももこ「蕎麦屋で蕎麦食べる人の方が珍しいけどね」

めめ「いいや、蕎麦屋だからこそ蕎麦を食べなくては」

私がざるそばを前にして懐かしんでいると隣では、

ラーメンとなぜか冷たそうな肉そばが並んでいる。

私「ラーメンと肉なのに冷たい...そば?」

部長「県民性が出てるねぇ」

と言いながら白米だけを食す部長にも、目が行ってしまうのは別のお話だ。

ももこ「蕎麦屋と言ったらラーメンって全国各地で言うじゃろ?」

私「聞いたことないんだけど..」

めめ「熱くなりやすい夏や秋と言ったら肉そばーっ」

私「それも初耳...」

なぜか二人でレスバが始まりそうな中、私たちは身を潜めてそばをすするしかなかった。

そしてそばのおいしさはゆっくり楽しむことだと、今をもって再確認するのだった。


お店を出てすぐのこと、道路沿いで二人はやっぱり言い争っていた。

ももこ「肉そばよりも先に世間に広まったのは、蕎麦屋のラーメンだ」

めめ「肉そばがなきゃ今の蕎麦屋にしかないラーメンは生まれなかったんだぞぉ!」

部長「白米しか勝たん」

引っ越してきた私には、どんな言い争いなのか見当もつかないが店中でしなかったことだけは関心した。

ことみも隣で「百々子のクセに関心した」と呟いている。

ことみ「あ、ちなみに私は炒飯派」

部長「それ、最大の地雷」

ことみ「え?」

非文化民めと言わんばかりの目で二人はこちらを睨んでいる。

私は、どうにかしようと声を掛けたり話題を変えたりしたが効果はないようだ。

部長「ほっとこう。あれは味噌と醤油ぐらい根が深い」

私「あ、うん。ドユコト...」

遠くから見守っていたら、話が終わったのかめめがこっちに歩み寄ってきた。

ももこは少し立ち止まった後、反対側に駆け出していた。

私「めめ、ももことなにがあったの..」

めめとももこを気にかけて私は声をかけたが、素通りされてしまう。

ももこの方に目をやるととすでに姿はなかった。

再びめめのいる方へ振り返ったがめめも姿を消していた。

状況はつかめないわ、どうしてやればよかったのかと私が困惑していると。

案内してくれていためめも、賑やかしのももこも、

いなくてはどうしようもないと判断した部長が声をかけてきた。

部長「二人がいなければこの部活動が破綻してしまう...。とりあえず、手分けして探そう」

私「部活動だと本気で思ってたんでですか...?」

ことみ「みゆきなら無理はない」

私「そうなんですね...」


あれから手分けして二人を探し続け、公園に戻ったり駅前を見渡したりしていると。

気が付いたら見知らぬ交差点で立ち往生していた。

そんなこんなで、土地勘のない私ですが二人を探しているうちに迷子になるのでした。


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