21.川辺料理物語
今日はももこの誘いで河原に集まっている。
そしてなぜかコンロを持ってくるよう言われたが何に使うんだろうか。
ももこ「秋は、ショベルカーで鍋を作るのがだいご味なんだよ」
私「何を言っているの?」
日本はともかく海外でも聞いたことない用語が耳を横切った気がした。
重機で食事を作るとか、ショベルカーの発明者がびっくりするわ。
めめ「だからっておもちゃのショベルカー持ってこなくても...」
ももこ「いいじゃないか!小規模でも本場再現は大事」
部長「小規模が本場なのか、大規模が本場なのか」
どうやら、この辺ではショベルカーで料理するのが当たり前のようだ。
豆の木を植える前から雲の上にいるかと錯覚してしまうスケールで思考が追いつかない。
しかし、何をどうやったらショベルカーが出てくるのだろう。
ことみ「本場を言い出したら味で喧嘩するんだよなぁ~」
私「味で喧嘩....?」
「......。」
「あぁ」
なんとなく納得してしまった。
そういえば、北東の地域ではとある鍋料理で言い争いが絶えないとか...。
醤油だの味噌だの、豚だの牛だの....言い争っていると聞いたことがあった。
ももこ「あるく。安心して、みんな内陸育ちだから」
めめ「そうそう、わざわざ喧嘩することなんてないよ」
「どうせ都会育ちに通じないんだし」
私「私に、何か恨みでも...?」
ちなみに私は、関東生まれ田舎2割都会3割よくわからない5割育ちだ。
なので引っ越しが多いと言えど、めめが思っているより都会っ子ではないはず。
と、とりあえずみんなで持参したテーブルや椅子を組み立てて料理の準備を始めた。
味付けは、、、醤油らしい。
私「私、作り方わからないんだけど何すればいいかな?」
ことみ「とりあえず野菜切ってくれれば」
私「わかった」
本当は今日も遠くにお出かけしたかったけれど、中間テストを前にそんな余裕はない。
ということで、勉強を頑張った息抜きとしてももこが河原にみんなを集めたのだ。
2週間も勉強続きだったので少しありがたい。
すこし湿気のある川の空気を吸いながら気分転換するはとても心地いい。
部長「そういえば、豚汁に里芋使う輩がいるんだって」
ももこ「なにそれ...芋煮じゃん」
めめ「ぬめりを取っている奴を芋煮と呼んではいけない」
ことみ「人によるだろ...」
豚汁に里芋...?そもそも芋いれるっけ?
地域差ってこんなにも違うものなのだろうか。
あ....、芋煮の前でそれを言っても意味のないことだった。
私「豚汁は..。芋がないほうが豚汁だと思うけどなぁ」
部長「それを言ったら豚汁は具がメインなのがおかしい」
ももこ「汁物はすべて飲み物だと思っている奴の発言だ....!?」
特に大事な目的もないまま、今日はよくわからない会話をしている。
こんなに余計なことを考えていたとしても、私の手は勝手に動くしみんなの手も勝手に動く。
これが日常ってやつなのかもしれない。
野菜を切り終わり、味付けを2年生の二人に任せ休むことになった。
もう二度とぬめぬめした里芋を切らないと心に誓ったのを思い返しながら、川の流れを眺めている。
器用万能な家庭に生まれた私でも、あの滑りやすさで指を怪我してしまったぐらいだ。
なんでもできても、家族がすべてこなして実績があまりないのは否定ができないけれど....。
めめ「指大丈夫?」
私「あ、うん。大丈夫」
めめ「やっぱり初心者に里芋は早かったか」
ももこ「というめめの指にも絆創膏ついているけどな」
めめ「別に言でしょこんぐらい」
ももこ「僕にはついてないもんね」
アウトドア用の包丁と言えど切れ味は確かにある。
あのぬめりけで皮がむけないほうが無理がある。
めめ「ももこは野菜切ってないでしょ」
ももこ「あれ?そうだっけ?」
そもそも包丁を手に取ってなかったようだ...。
私「私たちの苦労を知らないのか...」
ももこ「ぼくだって大金はたいて素材買ったんだぞ!?」
「貯金箱壊したんだぞ!?大事な大事な貯金箱を」
めめ「やる気がすごいね...」
ももこ「僕はだって馬鹿じゃないからね」
いいや、多分バカだ。バカはバカでも親バカなどの部類でバカだ。
そうでなければ、自腹で全ての食材を買うことなんてしないからだ。
例えるなら、友達が遊びに来ると必ずおもてなしする親ぐらいバカだ。
とにかくバカだ!!
私「....なぜかゲシュタルト崩壊が起きそう」
ももこ「ん?」
ことみ「よし、こんなもんかな」
「そこの三人とも~完成したぞぉ」
ももこ「はぁい!!」
めめ「思ったより早かったね」
「行こ?」
私「うん」
鍋に近づけは近づくほど、
少し肌寒い空気に暖かい醤油の匂いが漂っていた。




