19.出会いの物語
鈴木[あれは僕たちが小学生のころだったかな]
彼は小学生の頃懐かしむような顔をしながら語り出した。
でもそれは、小学生の若々しい物語ではなかった。
===鈴木先生の物語===
今日もいつも通りの日常を何の意味もなく謳歌していた。
親しい友達と意味もなく遊ぶ毎日が楽しかったのを覚えている。
そんな僕の生活にも、ただ一人特異点というものが存在していた。
それが、クラスメイトの「佐々木 花鈴」という少女。
彼女は自分中心のような振る舞いばかりで、バカだった小学生たちでもあまりいい気はしなかった。
彼女が現れるたびに場の空気は重々しいものになっていた。
どれだけ楽しく遊んでいようと覆してしまうくらいには。
そんな少女に僕が抱いていた感情は何もない。
良くも悪くも何もない。毛嫌いしてたわけでもなく何もなかった。
というのも僕には、世間的な感性というものが欠けていたからだ。
当時はそんなことに気づける僕はいなかったけれどね。
かりん「貴方たち邪魔よ。そんなところで遊ばないでくれない?」
僕たちが無意識に通路へ飛び出して遊んでいると、彼女が見下すような声で話しかけてきた。
僕「……」
友達「…なんだよ」
「行こ」
足元を見て見ると、そこはたまに車が通る道の上だった。
こんなところを歩くことなんて、登下校ぐらいしかありえない。
今は昼休み。どうして邪魔なんて言ったのだろう……。
僕「……」
かりん「なにぃ?」
友達「もい、ぼさっとしてないで行くよ」
何も声に出せないまま、友達に引っ張られその場を離れた。
友達「お前、声出ないんだからあまりああいうのに突っかかるなよ」
僕「……」
僕は生まれつき、声が出ない。
正しくは母音ぐらいしか話せない。
友達はもう3年の付き合いだから慣れているみたいだけど、言葉が出ないのは不便。
医者曰く、声帯には問題ないため発音の問題だとか…?
あの日からも少女はあらゆるところに現れてケチをつけてくるところを見た。
道路脇で遊ぶ人や掃除中に箒で遊ぶ人たちなどに文句をたらたら流している。
言い草は毎回毎回、自己中物々しいけれどケチをつけている場所がいつも安全な場所ではない。
そこが気になった僕は、彼女を見かけるたびに観察するしたが
早くも気づかれて、10日目にして彼女は振り返って話しかけてきた。
かりん「私になんのようなの?」
その時、小さな板を同時に渡された。
かりん「貴方、喋れないんでしょ。用があるならそれに書いて」
「そうじゃないと私が困るわ」
僕「……」
渡された小さな板に付属していたチョークで文字を書き起こした。
僕[なんで君はそんなに無愛想なのに、そんなに優しいの?]
かりん「は?」
「私は、私の迷惑になるものを排除してるだけよ」
「それに、今のうちに年上からの評価あげてたほうがいいでしょ」
それは当時は何も思わなかったけれど、冷静に考えると小学生らしからぬ発言だった。
僕は何を思ったんだろうね、その時からずっと彼女と一緒にいる。
===私の物語===
鈴木[で、気づいたらこんな関係になってたんだ]
私「どゆこと?」
私には難しい話にしか聞こえなかった。
人の心を読み取るのが得意じゃないんだろう、きっと。
ももこ「ふーん、可愛いじゃんあいつも」
めめ「そ、そうなの…?」
ももこが妬ましそうに口を開いている。
幼馴染がそれだけ羨ましいのかそれとも、人間として悔しかったのか。
彼女の目には、佐々木先生を見直すのと同時に何か別の感情がある気がする。
部長「人と人の繋がりはふっとした時にやってくるね」
ことみ「行動すら起こさない人が何をいう」
部長「安定してこそ行動ができるじゃろ、?」
===かりんの物語===
山を数時間かけて登り切り、お寺の前で少女が一人。
かりん「こんな私でも、友達が欲しいです。お願いします」
これは、彼女が彼に出会う1ヶ月前のお話。




