18.麓物語
山を下りて最初の門の前までやってきた。
めめ「疲れたねー」
私「どこかで休憩したいね」
往復2、3時間ほどたっただろうか。
しかっりとした場所でゆっくりと休憩出来てなかったためかなり疲れている。
部長「それならいい場所があるよ」
私「いい場所?」
ことみ「...?」
部長はこの辺について詳しいのか意気揚々に案内を始めた。
そういえば、あの崖っぷちの建物も部長が教えてくれたんだった。
よくわからないいざこざで堪能はできなかったけれどもね....。
部長「山登りの後はこんにゃく、これに限るんだね」
部長はとある売店の前で立ち止まり、言葉を発した。
ことみ「こんにゃくかい」
ももこ「玉コンかぁ~」
私「こんにゃく...?」
ももこ「説明しよう!!玉こんにゃく略して玉コン。」
「誰もが知る日本人のソールフードだ!!」
ことみ「拡大解釈しすぎでは...?」
ソウルフードと言い張るももこにしれっと会計をしながらことみはツッコミを入れている。
一見すると鍋に入ったおでんのこんにゃくにしか見えないが、ソウルフードという程なのだろうか。
部長「日本全国で食べれてらいいのにね」
めめ「ただのこんにゃくなのにね~」
ただのこんにゃくなら日本中にありふれている。
私にはめめの発言も、部長の発言も全く意図が読めなかった。
鍋のこんにゃくであるなら尚更だ。
ことみ「あるくもどうぞ」
私「あ、ありがとう」
見た目はおでんというよりもみたらし団子?
みたらしチョコが一瞬頭に過ったが、これは煮物だ...よね?
丸くて茶色のこんにゃくが串に4個ほど刺さってる。
3色団子の緑オンリーバージョンみたいな印象かな。
私「いただきます」
おでんと違い、醤油の染みたこんにゃくだった。
その割には水っぽくもあまり感じない。むしろ、こんにゃくにしては水分が少なめ。
部長「おいしいし癒しで一石二鳥でしょ?」
ことみ「一石二鳥かはともかく、おいしいよね」
私「こんにゃくなのにおいしい...」
こんにゃくに失礼だと思うけれど、味のあるこんにゃくがそもそも斬新な。
こんにゃくは触感を楽しむ食べ物だと思っていたいのに。
部長「全国展開するべきだよね?」
私「東日本では流行ってもよさそう..」
ももこ「西じゃ火力不足なんだ?」
私「沖縄とか広島辺りにも住んでたけど、なんというか属性が違う気がする」
引っ越すことが多いのは前からみんな知っていると思う。
西側も東側もあちこち回って極端なところは北海道ぐらいしか残っていない。
そのぐらい、頻繁に引っ越してしまう....。
ももこ「沖縄行ったことあるの!?」
私「あるよ。1ヶ月もいなかったけどね」
部長「沖縄いいな。私ハワイしか行ったことしかない」
ことみ「ハワイも十分すごいよ...?」
めめ「東京...(小声)」
どこ行ってもここにしかないご当地グルメとやらがある。
動かないそこにしかないもの。何もないとは言わせないもの...。
動けるのに何もない私よりも、何かある地方はそういうものな気がする。
ももこ「あ、先生だ!!」
食べ終わったのか串をごみ箱に捨てに行ったももこの声が聞こえてきた。
声の方向に顔を向けてみるとそこには飲み物を買いに行った鈴木先生がいた。
鈴木[また会ったね]
ももこ「なんで先生こんなところにるんです?」
鈴木[飲み物上になかったから下まで探しに来ちゃって...ね]
携帯している黒板を巧みに使いももこと会話をしている様子がわかる。
黒板で会話しているのもすごいけど、それを難なく受け取れるももこもすごい。
昔からの縁があるらしいけど納得できてしまう。私にはあの即興性の文字は読めないから...。
ももこ「せっかくなんで、先生も玉こんにゃく食べません?」
鈴木[上でまだ待ってるかもしれないし、そんなこと....]
めめ「心優しいね」
部長「それがこの人の唯一のいいところ」
ことみ「そういうことは、本人の前で言うなよ」
ことみの一言のせいで本当に唯一の良さなのかもしれない?
絡みが薄い私には冗談なのか本音なのかわからない。
それでも、黒板を持ち歩いて会話するだけあって人柄はわかってしまいそう。
私「鈴木先生は、なぜ佐々木先生と?」
ももこ話も込みで気になっていたので、本人に直接聞くことにした。
こんなところでは場違いだったかもしれないけれど、、。
鈴木[気になる?いいよ、話してあげる]
何故かOKがでた。
佐々木先生と言い部活員といい、この辺の人たちはどこか軽い....。
それでも、ももこの為にももこの目の前で聞くべきだと思う。




