15.止まらない物語
ーーーことみの物語ーーー
階段を上っている途中、思わぬ形で先生たちに追い越されたものだから
その勢いでみゆきと先生の話題を持ち上げていた。
部長「足早いね~。あの二人」
ことみ「あんな、ハイペースで疲れないのかな...」
私たちが3段登ってる頃には、8段登っている勢いで追い越されていく。
文化部の私たちがあんな速度出したら心拍数の上下で酔って失速するのが落ちだろう。
部長「きっと、先生たちは若いんだろうね~」
ことみ「みゆきもまだ中学生よ...」
部長「中学生と言えば、あの二人も中学生のクラスメイトだったって噂されてるよね」
あの二人もの「も」はきっと私たち二人を差しているのだろう。
小学生のころから家が近くて仲は良かったが、同じクラスになったのは中学からだったりする。
ことみ「でも、中学からの縁で同じ学校担当の先生にまでなるかな...?」
部長「確かに...。金を積ん得るのかもね~」
ことみ「先生という職業でそれするメリット薄い気がする...」
学校内で留めるなら、アニメでお坊ちゃまが恋人の学校に転校するレベルの話になる。
すると子供っぽさが出るものだから、大人になってまでそんなことするとは思えない。
部長「じゃぁ、偶然かぁ」
ことみ「私はそうであってほしいな…」
部長「にしても」
「なにか裏があるんだと思うんだよね」
ことみ「なにが?」
部長「先生の謎の潔さの話だよ」
潔さといえば、確かに恋人を同行させることが条件なのは少し気がかりである。
ただ、深雪の発言がとても曖昧なため間をとって少し奇妙な部分を取り上げることにした。
ことみ「あー、去年は歴史を読ませながら数学させられていたね...」
部長「そこじゃなくてね」
「私の予想では、佐々木先生のご機嫌取りを私たちにやらせる気なんだと思う」
変な予想を私に押し付けてきた。
みゆきが常に思想強めなのは身をもって知っているため、他愛のない返しをするのが得策。
過去には本気で返答して、警察沙汰になりかけたことがあるからね...。
ことみ「気難しい人ではあるけど、そんな怒る人でもないような...」
部長「あの人は誰にも、彼の空気は読めないと言われるぐらいには難しい人だ」
ことみ「いったいどの層が言ってんやら...」
階段を上がっていると、険しい野道と合流地点だったのか。
休憩しているあるくたちの横を通り過ぎていく。
声を掛けようかとも思ったけれど、
邪魔するのも申し訳ないしみゆきとの会話を遮りたくないため無視をした。
あれから、200段ほども登りながらみゆきの言葉を待っていた。
待っていたけど、あのおしゃべりの声は聞こえてくることがなかった。
どうやら、みゆきはあるく立に混ざってしまったのだろう。
みゆき「今から戻るの嫌だなぁ...」
この会談は1015段もあるそれなりに長い場所だ。
200段をもの段数を後でもう一度登るのは骨が折れてしまう。
ということで、私は足を止めるわけもなく一人で先に行くことにした。
さらに200段登った頃だろうか、後ろから急ぎ足で登ってくる足音が聞こえてきた。
なんとなく振り返ると、そこには無表情のももこがどんどん近づいてきている。
ことみ「どうしたのももこ」
ももこ「.....」
私と同じ高さになるやいなや、速度を落として並走する形で歩いている。
ももこ「ちょっと、気分転換に一人で登ってきちゃった」
ことみ「ももこは、気分転換に縁がなさそうなほど無鉄砲じゃないっけ?」
ももこ「そうだけど、そうじゃないというか...?」
歯切れの悪い言葉を発するももこに私は違和感を感じてしまう。
きっとみゆきが何かちょっかいを掛けたんだろう。
ことみ「みゆきのことなら、ああいうやつだけど根はいいやつなんだよ」
ももこ「...そういうじゃ、ないんだけども....ね」
ももこが私に下で起きた出来事を鮮明に語り出した。
私とみゆきの会話を盗み聞きして、そこから発展した恋バナとのことだ。
それでただの強がりでここまで逃げてきたと。
元から繊細な子なんだろうと感じていたが、思った以上なのだろうか。
ことみ「恥ずかしぐらいなら、堂々としてた方がももこらしいよ」
ももこ「それができたら....同調圧力なんかに屈しないよ...」
ことみ「それとも。私ぐらいしか本音で話せる人いないとか?」
あの日のまとまりのない会話でも、彼女に刺さったものがあった。
何がどう刺さったのかあの時の私には見当もつかないが、信用は勝ち取れたのかな...?
ももこ「親友のめめとは躊躇しちゃうからな。僕にはことみぐらい適当な奴がちょどいいよ」
ことみ「それ誉めてると受け止めていいんだよね...?」
ももこ「いいよ」
「代わりに落ち着くまで隣にいさせて...」
そう言って、また100段200段と二人で登っていく。
あるくたちが追いつけるようになどとは考えず、ただ登っていくのだった。




