13.きみのほそ道物語
あれから、鈴木先生に事情を....話すことなく強引に連れてとある麓までやってきていた。
鈴木先生によると付き添いではなく偶然同じところに来たことにしているらしい。
まぁ私も、恋人に教え子もデートに連れってていいとはいけないと思う...。
先生「んじゃ、私たちは麓を一通り回ってから登るから先に行っててね」
私「わかりました。お気をつけて」
ももこ「私も一緒に言い?」
先生「ダメよ(強気)」
下心ありげなももこを脅して、佐々木先生は鈴木先生が待っている方へ歩いて行ってしまった。
私たちはというと、今から目の前にある山を登ることになっている。
めめ「秋と言ったら紅葉。紅葉の名所といいばこの山!」
ももこ「夏に小学生が社会科見学で登ることなおなじみの山か...」
みこと「1015段もあるし急な坂なもんだから疲れた記憶しかない...」
めめ「まったく、初心者のあるくの前でだらしない顔しないでよ」
私「この先に何があるんだよ...」
ちょっとした商店街を越えた先に、いい意味で古臭い門が見えてきた。
門の奥には影のかかった階段も見受けられる。
ことみが言っていた1015段というのはこのことだろか。
部長「おぉ、ちょうど暑かったから日陰助かる」
ももこ「最近の秋は夏だもんな~」
ことみ「木々が多すぎて風がないことを覗けばね..」
その後もこの山を語る話などが立て続いている。
私「当たり前のように会話してるけど、そんなに身近な場所だったりした...?」
実は今度どこ行くか話し合っているときに私が提案したのがこの場所。
紅葉がいいのはもちろん、有名人御用達の場所とサイトに記載があったからだ。
しかし、思った以上に地元じゃ当たり前のようで私は申し訳なく思ってしまった。
めめ「そんなことないよ。ただ小2年生のころを懐かしんでるだけ、みんな」
部長「私は、当時風で休んだから後日の家族で登ったんだけどね~」
「ま。みんな懐かしくて賛成してくれたんだし、それでいいよ」
私「そうなんだ。懐かしいっていいね」
懐かしいといえば、幼少期のころ家の近くにあった小さな公園を思い出している。
暑い日差しを遮る影の下をゆったりと登って、思い出を振り返るのも考え深いものだ。
そんな時、ふと家族のことを考えてしまった。
家事は全て母、仕事は父、勉学は兄、そして...。
私「私にしかないものかぁ...」
めめ「どうしたの?」
私「母も父もお兄ちゃんも、みんなできることあっていいなって」
「私、できることもできないこともないけど立ち位置がないから...」
ももこ「ふーん。じゃ、僕の隣にでも立ってろ」
めめ「えー、私の隣に立って?」
私「そういう意味じゃないんだけどなぁ」
立ち位置を掴んでいながらサポートできる手の長さが羨ましいのだ。
器用貧乏を得意分野と同時にこなしてしまう姿が羨ましい。
めめ「ま、静かだと変なこと考えちゃうよね」
部長「わかる。もし縄文時代に銃火器があったらなんて考えてる」
ももこ「あれ...。部長ってこんなキャラだっけ?」
ことみ「みゆきとももこは触れてみないと正体がわからないからな」
ももこ「ど、どういう意味?」
今は考える必要ないかと気を取りなおした私は。
舗装されたのであろう階段をのぼりながら、めめたちの話を聞いている。
本当ならうるさいと感じる声も、虫の声を聴いてるかと思わせる心地よさだった。
誰かが言ったか「静けさや岩にしみいる蝉の声」ってやつかもなのかもしれない。
私「分かれ..道だ」
目の前には、舗装された道と明らかに険しい道で分かれている。
目的は登山じゃないので、舗装された道でいいと言おうとした時だった。
ももこ「めめ、あるく。こっちだよ」
なぜかももこが険しい道のはるか先で私たちを呼んでいた。
めめ「まったく、ももこは険しい道が好きだけね」
ももこ「作ってもらった安全な道は、もう進まないって決めたからね」
私「何言ってるの...」
すたすた登るめめの後ろをゆっくりと、私はももこいる場所まで登った。
すると下の方から逃げるかのように叫び声が聞こえてきた。
部長「私たちは、安全な道行くね」
ことみ「安心安全、現代感謝(小声)」
私「...それが許されるなら、私もそっちが良かったな、、」
元気よく登っていくももこを遠めに、私とめめはゆっくり登っていく。
運動が苦手なはずのめめは辛そうながら顔は笑って見えた。
私「めめ、辛そうだけど大丈夫?」
めめ「大丈夫だよ。自分で選んだ道だから楽しいよ」
私「辛かったら行ってね。一緒に休むから」
めめ「ありがとう」
めめと会話している間にももこの姿は完全に見えなくなっていた。
ももこと底知れない幼稚園児を比べてしまうほど、清々しい程に登っていたの思い返した。
私たちは危ないことをしてないことを祈りながら、ゆっくり追いかけていく。




