12.地方旅物語・起点
なにもしていない部活で突如始まった中心町の散策。
些細なもめごとを終え一息つこうとする束の間、部長は少しだけ深刻そうに声をあげた。
部長「端的に言うならばそろそろ、部活目標を決めなきゃいけないんだ」
部長曰く、総合文化部は自由に活動できる反面
その活動で何を得たかを3月に発表しないといけない。
そのための事前調査として、今の活動内容を報告する必要があると。
ことみ「まだ、決めてなかったの?」
部長「えへ...へ」
ももこ「それじゃ、前年は何やってたんだよ」
ことみ「去年は歴史勉強。一昨年は楽器演奏。その前は、、料理だっけ?」
「部活記録を見る感じ、いろいろとやってることだけは…わかる」
ことみはそのあとも百人一首や将棋、米作りなどをあげていった。
私「思った以上に自由なんだね...」
部長「今年はなにもしないが部活内容でもいいかもね」
ことみ「それ、先生に却下される落ちしか見えないよ?」
部活記録を見てみると春に1年生の入部なし、3年生は夏から退部。
そして暇を持て余した2年生が残ったってわけか...。
春夏は、、一体何をしてたんだろうかと探ってみるが一切記載がない。
私「あの...1学期何してたんですか?」
部長「唯一の3年生が都会の高校は居るからって勉強しかしなくなって、
私たち二人は取り残されたままゴロゴロかな?」
ことみ「私は去年買った本読んでたからね..」
私「そのまま何も考えてなかったんですか」
不本意とはいえ入部してしまっている以上、部活の問題は私の問題か...。
入社早々にして変な部門にいれかつ問題解決を押し付けられているような感覚。
どうしようかと私は悩んでいると一人の少女が声を出した。
めめ「なら、県内を旅してみませんか...?」
ももこ「ん?」
めめ「私思ったんです。
この町だけでわかったつもりになって都会の憧れるのはよくないと」
「だから、もう少し地元というのを広く知りたいなって...」
この地元町を知り尽くしためめは都会に憧れていたはずだ。
それでも、なにもないなにかを探したいと彼女は思って仕舞ったのだろうか。
ももこ「ふーん。いいじゃん」
部長「県内旅行...か。ふむ~」
私「いいんじゃない、私は暇だしいいよ」
私はいいと思った。
何故って言われたら断言できないけれど、めめが少し楽しそうに話していたからだと思う。
ことみ「それはいいとしても、費用はどうするの」
ことみは水を差すようにそう言葉を挟んできた。
めめ「私、それなりに貯金あります」
ことみ「そういうことじゃないんだ。
部活動ってのは部活費用として準備したものしか使えないんだよ」
部長「んーじゃ。顧問の先生にお願いしてみればいいよ」
ことみ「それは迷惑になるって...」
確かに旅行そのものを部活にしてしまうと部費という壁があるのか。
今までは既存の楽器や施設、小物を買ったりしかしてなかったみたいだし
ここまでの大金が動く活動はよろしくないのか。
いい案なんだけどなと、私は昨日を思い出しながら考えている。
先生「誰か、顧問の先生呼びましたか?」
部長「あ、ちょうどいいところに」
私「顧問の先生、本当にいたんだ」
ことみ「そこ?」
あまりにも抜けている部分があるので、つい顧問の先生はいないもんだと思っていた。
いたとしても、顔を出すような先生ではないかと勝手に思い込んでいた..。
めめ「あ、鈴木先生じゃないですか!昨日、城跡公園にいましたよね」
ももこ「え?」
先生「バレてたか...佐々木先生と一緒にいたことはみんなに内緒にして...お願い」
ももこ「え?ええ?」
ももこが白目をむきそうなのはほっとくとして、私は先生にお願いしてみることにした。
私「部活動で、遠出をしようと思ってるんですけど...部費ってどうにかできませんか」
先生「文化部が...合宿でもするのですか?」
分かってはいたが、不思議そうな顔をされた。
どう説明用か悩んでいると部長が詳細を話してくれている。
私が転校生なことからすみずみまで...。そこまでいらないと思うけれど。
先生「なるほど、今年もギリギリまで部活活動決めてなかったのですか」
部長「えへへへ」
先生「えへへじゃないですよ。まったく、私が顧問してなかったらどうなってたやら」
「でもいいですよ。お金なら、私のデートついでに出してあげます」
めめ「おぉー」
デートついでなんかでいいの?お互い様さ...。
と思いつつも他の人たちは当たり前のように受け入れている。
ということは、あとは鈴木先生のお相手の佐々木先生次第。
当人がいいなら問題ないかと思った私は、ゆっくり歩きながらその輪に入っていた。
私「まぁ、いっか」
図書室の端っこ。
ももこ「....地獄かな?」
部長「下調べしなかったももこの敗北」




