⭕ 恋文に呪いを込めて♥ 5
──*──*──*── 第2皇子の自室
孳の元へ辿り着く迄に、何度も怪異に足止めされて、時間を無駄にしてしまった。
とは言え、キノコン(B)の分身体と幻夢さんの特級呪靈が引き受けてくれたから、戦わずに到着する事が出来た訳だけど──。
それでも僅かな時間も積もれば──って考えると気が焦ってしまう。
オレは土足のまま孳の自室に駆け込んだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 孳──無事か?! 」
???
「 おや?
態々足止めをさせて筈なのに──もう来たのかぇ? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ──っ、お前は誰だ!?
孳を離せっ!! 」
見た事の無い人型の怪異に魔法を纏わせた魔具刀を向ける。
???
「 妖術使いかぇ?
けったいな妖術を使う奴が来たわねぇ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、単独行動をしない様に── 」
???
「 ──お前は、玄武っ!!
敵に寝返った式妖魔の裏切り者っ!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 式妖魔──って、玄武さんを知ってるのか? 」
獅聖幻夢
「 貴女も式妖魔ですか? 」
式妖魔(?)
「 しらばっくれるかっ!!
挧氤は居ない様だねぇ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 挧氤さんの事も知ってるんだ?
じゃあ、美丈鬼人──呪覘導孳の育ての親だったシュンシュンの事も知ってるのか? 」
式妖魔(?)
「 春舂霄囹?
あの放任主義の腐れ外道の事かしらねぇ? 」
シュンシュン──、美丈鬼人の一部から生まれた式妖魔から作られた式妖魔から “ 放任主義の腐れ外道 ” って言われてるんだ!?
意外にもシュンシュンの評判は式妖魔達に悪かったって事なのかな??
マオ:厳蒔磨絽
「 ──でも、式妖魔って確か、呪覘導孳のアジトでキノコン達に捕獲されて、セロの玩具にされてた筈──。
何で無事な式妖魔が居るんだ? 」
式妖魔(?)
「 式妖魔の全てがアジトに居た訳じゃないさね!
アタイ等はねぇ、玄武!
裏切り者のお前が[ 内裏 ]に出入りしてるのを突き止めたのさ!
それでこうして[ 内裏 ]に攻め込んだのさ。
お前は馬鹿みたいにやって来た!
此処をお前の墓場にしてやるよ!! 」
獅聖幻夢
「 残念でしたね、式妖魔さん。
確かに私は玄武殿に似ています。
ですが、他人の空似です。
是非、特級呪靈の相手をしてください 」
幻夢さんは、特級呪靈を召喚する。
大量の特級呪靈が地面に現れた陰陽陣から出現する。
獅聖幻夢
「 私の特級呪靈達──。
主人であるマオ殿に仇なす式妖魔を廃せよ! 」
幻夢さんの言葉で特級呪靈達は、けたたましい砲口を上げると散り散りに去って行く。
これから恐ろしい事が起こりそうな予感がするぅ~~。
獅聖幻夢
「 第2皇子を解放してください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだよ!
孳は人間なんだ!
孳を体調が悪いんだぞ!! 」
式妖魔(?)
「 コイツが人間?
アッハッハッハッハッ!!
コイツはアタイと同じ式妖魔──重蕊の息子さね! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ!?
どゆことぉ?? 」
獅聖幻夢
「 重蕊様は帝の後妻です。
まさか、後妻が式妖魔だったとは──、完全に外野扱いしていましたから考えも及びませんでした 」
マオ:厳蒔磨絽
「 孳の母親が式妖魔──。
式妖魔って、子供を産めちゃうのかよ!? 」
「 完全に外野扱いしていました 」なんてぶっちゃけ過ぎてるよ、幻夢さんっ!!
式妖魔(?)
「 式妖魔も色々なのよ。
孕んで子供を産める式妖魔は珍しいけどね!
どっちかと言えば孕ませる式妖魔の方が多いかしらねぇ。
挧氤だって、その中の1体なのよ。
美丈鬼人を裏切って、天女と宜しく暮らしてるみたいねぇ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 挧氤さんは天女の被害者だけどな……。
挧氤さんみたいに子作りの出来る式妖魔が他にも居るなんて── 」
これがセロに知られたりしたら──、セロは完全に式妖魔を玩具にして遊ぶだろうな。
あっ、チクり魔のキノコンが居るから、式妖魔はセロの玩具確定だな。
獅聖幻夢
「{ これはセロ殿が喜びそうな情報ですね、マオ殿 }」
幻夢さん、心無しか嬉しそうだ。
もしかしたら、キノコンよりも早くセロに垂れ込むかも知れない??
出逢った時の玄武さんは、碁盤に憑依していたんだよな。
玄武さんも珍しい式妖魔なのかな??
目の前で孳の胸ぐらを掴んでいる式妖魔に玄武さんの事を聞いたら、逆撫でしそうだな……。
マオ:厳蒔磨絽
「 兎に角、孳を離せ! 」
式妖魔(?)
「 それは出来ないさねぇ。
重蕊は既に[ 内裏 ]を出ている。
コイツは帝と第1皇子への置き土産さね! 」
そう言って、ニヤッと笑った式妖魔は、オレと幻夢さんの目の前で孳の胴体を貫いた。
孳の胴体と小さな口から赤黒い血が吹き出す。
体調の悪い孳の両目は虚ろだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 孳ぉ~~~~!! 」
式妖魔は孳の胴体を貫いた左手を引き抜くと、孳の身体を地面へポイっと捨てる。
式妖魔(?)
「 クフフフフ……。
さぁ!
存分に暴れ、喰らい尽くすんだよぉ!!
裏切り者──玄武諸ともねぇ!! 」
地面に捨てられた孳に駆け寄ろうとしたオレは、幻夢さんに止められる。
マオ:厳蒔磨絽
「 離してよ、幻夢さん!
孳を助けないと!! 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、第2皇子に近付いてはいけません。
彼は既に── 」
マオ:厳蒔磨絽
「 助けてよっ!
今なら未だ孳を助けれるよ!!
幻夢さん、孳を助けてよっ!! 」
特級呪靈は孳を殺した式妖魔の頭を潰していた。
首から上を無くした式妖魔の身体は、特級呪靈にバリボリと喰われている。
目の前で孳が殺されたってのに、オレの両目からは涙が一滴も流れない。
地面に転がっている孳の肉体が膨れて行く。
まるで体内で空気が作られて膨らんでいる風船みたいだ。
ブクブクと膨れた孳の肉体は、孳では無い “ 何か ” に変貌していた。
マオ:厳蒔磨絽
「 ………………孳ぉ…………連れて戻るって……姫様に約束したのに──。
式妖魔って何なんだよ…… 」
獅聖幻夢
「 式妖魔に関しては、霄囹にも聞いてみましょう。
怪異化した式妖魔はキノコン殿と特級呪靈に任せ、第1皇女の元へ戻りましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 姫様に何て言うつもりなのさ?
孳の実母は[ 内裏 ]を襲った式妖魔の仲間で、孳は怪異化して暴れてる──って言うつもりなの!? 」
獅聖幻夢
「 セロ殿ならば、嘘偽り無く話すでしょう。
誤魔化して話す事が相手の為にならない場合も有ります。
帝も居ますから、私が話しましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 幻夢さん……。
姫様……悲しむだろうな…… 」
孳を助ける為に此処まで来たのに、結局オレは孳を助け出す事は出来なかった。
どんな顔して姫様の元へ戻れば良いんだろう……。
この場にセロが居てくれてたら、孳は助かっていたのかな……。
オレは幻夢さんに促されて、キノコン(B)が開けてくれた笠の中へ入った。
◎ 訂正しました。
魔具,魔具刀を向ける。─→ 魔具刀を向ける。




