↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡い恋は弾けて消えた  作者: maruko
デトリス領

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/55

47 助っ人

すくすくと育つ小さな緑を、毎朝並んで眺める。会話は殆ど無く時間は毎回5分ほど。それでも、ユーリスとのその時間があるだけで、私は毎日幸せな気持ちで1日を過ごせていた。

薬師の魔力は概ね水の魔力が主流だ。

中には緑の人もいたけど、ユーリスは水と光を持っていた。


光の魔力も珍しいけれど、土よりは持っている人が圧倒的に多い。光と闇は治癒の魔法が使えるのだが、魔力量によっては教会から聖女の称号を与えられる人もいる。

光の魔力で聖女が誕生、その事からも分かるように、男性で光を持つ人は珍しいのだ。

ユーリスはどうやら自分に与えられた区画で、光と水と薬草に与える魔力を分けているようだった。


朝のユーリスとの短い時間。私の毎朝の楽しみの時間に今日はお邪魔虫が居た。


それは伯父様だった。

薬師達は、その日の業務報告を必ず行っているのだが、その日誌を見た伯父様が、ユーリスの光魔法に興味を持ったのだ。

土や闇ほどではなくても、光の魔力も充分に珍しい。しかも、ユーリスは他の人よりも魔力量が多い上に、複数の魔力の性質も持ち合わせている。

そんなユーリスが育てている薬草は、他の薬師達の区画よりも成長が早いのだ。

それに、通常植物に与える魔力は一種類だ。掛け合わせると、場合によっては枯れてしまったりもする。それなのにユーリスは、光と水の両方を掛け合わせて育てたりもしている。今の所枯れる兆候は全くない。


「君がユーリスか」

「はい、ウェスガル小伯爵様」

「カーセルでよい。ほうっ!なかなか良い育ちだな」


私の幸せな時間に、伯父様は何の兆しもなく突然介入してきた。今私の表情はどうなっているのか⋯。鏡がないから見えないけれど、あまり良いとは自分でも思えない。

ユーリスと会話ができる伯父様に、嫉妬して醜くなっているに違いない。

私はそっと伯父様から視線を外した。


伯父様から話しかけられたユーリスは、興味のある質問を投げかけられたのか、いつも私と二人でいる時とはまるで違う、饒舌なユーリスになっていた。


無口で無表情。

それが大人のユーリスの印象だった私は、それを見て唖然とした。無表情は変わらないけれど、その口から溢れる言葉が多すぎて、私は益々悔しくなってしまった。


(ずるい伯父様⋯)


貴重なユーリスとの時間を邪魔しただけでは飽き足らず、ユーリスの饒舌な話まで⋯。

それを彼から導けなかった私は、グッと拳を握りその場を後にした。


その日の夕食時、伯父様から帝国に一時帰国することを報告された。この国の薬草園に協力してもらう為に、ロイドを迎えに行くのだそうだ。

今朝の事があった私はホッとした。

(明日は邪魔されない)

なんとも浅慮な私は、今朝の事で伯父様を邪魔者認定してしまっていたから、明日はそんな事がないのだと単純に喜んだ。


「何だ、マリベル嬉しそうに。とりあえず会話の幅を広げたから、少しは話しなさい。薬草園の為に、なるたけ急いでロイドを連れてくるから、あまりゆっくりは出来ないぞ。話したいことや聞きたいことは、早めに聞いて彼との憂いを取り除いておけよ」


嬉しいとしっかり顔に出ていたようで、伯父様は私を揶揄うようにそう言った。でも後半の言葉に私は目を丸くする。


どうやら伯父様は、私とユーリスに会話ができるきっかけを作ろうとしていたようだ。


(邪魔者にしてごめんなさい)


私は心の中で伯父様に謝って、その日謝罪の意味も込めて、神官の資格を持つヨリエール様と一緒に、伯父様の道中の無事を祈って帝国へと送り出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。