39 王家との話し合い
マリベル視点
通された部屋には、窓がなかった。
置かれている物は、全て豪奢で、王城の部屋に相応しい物だけど、窓が無い為に部屋の中に日が差さない為、ライトの光が殊更重く感じる。
予め人払いを希望していた事で、この部屋を王国は選んだのかと考えたら、部屋の雰囲気の重さに、少し圧を掛けすぎたかと思った。
7年ぶりに降り立った祖国の地は、降りた場所では正直何の感情も沸かなかった。
これがハスビス子爵領やデトリス侯爵領であるなら、また違った気持ちにもなったのかもしれないと、少し感傷気味になる。
私は、エルンスト皇帝の力を借りて、オルデイック王国に、今回始めから圧力をかけてもらった。
表向きは、帝国から視察を兼ねたアメルースについて教授する為に来訪した事になっているけれど、本来の目的は私の身分の回復の為にオルデイック王国に行くつもりでいた。
残念だったのは、全てを調べ終えても、ギカンと現ハスビス子爵が、お父様達を害した証拠は上がらなかった。だから、私を“死んだ事”にした罪で、彼等をこちらが裁くつもりでいる。
そしてあの薬草園を私に返してもらったあと、それを王家に爵位毎返上しようと思っている。お父様が授かった物は、娘の私が責任を持って返上しなければならないと思ったからだ。私はあの薬草園の一握りの土だけ頂ければいい。決して、アメルースが育たない為の、返上などはさせない。
私はアメルースは、新たにデトリス領で繁殖しようと考えている。
今回私とともに来城したのは、伯父様にマーガレット様とアーサー様、それから証人としてヨリエール様、帝国の視察団の代表として、魔法省の大臣であるユセフ様も同行してもらっている。帝国では薬師は魔法省に登録されるのだ。
薄暗い部屋の円卓に着いているのは、オルデイック王国からは国王陛下と王太子様、宰相様の3名だけだった。
先ずは帝国のユセフ様が、今回の目的を私の代わりに説明してくれた。
全てを聞いた国王陛下達の顔色は、部屋が暗くてよく分からなかったけれど、息を呑むのは分かった。
「宰相、記録を確認しろ」
ユセフ様の話を聞いて、直ぐに動いたのは王太子様だった。命じられた宰相も直ぐに立ち上がった。
それから部屋の外に出たけれど、帰ってくるのも早かった。側近の誰かに命じたのだろうと思われる。
「大臣の話は分かった。さて、其方が亡き前ノーラ男爵の嫡女というのは間違いないのか?それをどうやって証明するのだ」
私に質問したのはまたもや王太子様だった。
私は先ず、自分の戸籍は死亡届けの出た後の複写しか見たことがないという事を説明した。
そして、何故私の両親が籍を入れていなかったのか、その点についての話から始めなければならなかったため、その後の話はヨリエール様と伯父様に任せる事にした。
何故なら、この国の法律では、両親に婚姻の意志がなかった場合、私の出生が嫡女として認めてもらえないかもしれないからだった。
だから、お母様が何故この国に来ることになったのか、という所からの説明になる。
伯父様とヨリエール様の話と、両親が教会で式を行って、サインした結婚誓約書や私の出生に立ち会った産婆の証明書、教会に届けた私が5歳のときの魔力鑑定書など、数枚の書類を証拠として提出した。
それから、私が事故後生きていたという証明の為に、あの日ハスビス子爵領の寄合馬車で旅を共にした、ルーベンス様とゼスの証言とルーベンス様が私に付けてくれた護衛騎士ルルカの証言を纏めて署名してもらった物を、マーガレット様がデトリス侯爵として提出してくれた。
私達が提出した書類の束を、3人は全て目を通してくれた。
「ノーラ男爵家を軽んじた事、心より詫びる」
それはその日、オルデイック王国の国王陛下から私に向けられた初めての言葉だった。
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本日いつもの時間に更新出来なくて申し訳ありませんでした。
私事で遅れましたが、本日分はこちらの1話のみにさせて頂きます。
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