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第27回

この物語は、フィクションです。登場する団体や個人は、実在しません。

   また、登場する団体や個人は、実在の物と関係ありません。

この作品の著作権は、相良 凌が保有しており、このサイトの利用者に、何らの権利も与えるものでは、ありません。(要するに、読むだけにして!ということです)


第1回から、お読みになりたい方は、後書きより下にある〔闇探偵西園寺美園 第2シリーズ第1集【小説家になろうサイト内】〕と書いてあるリンクからアクセスできます(無料(通信費等除く)で、ご覧いただけます)。


  闇探偵 西園寺 美園2(27)  相良 凌      


   3 解けゆく謎(5)


 小夜子が受話器越しに訊く。

「湯月さまのお宅でしょうか?」

「はい、そうですが・・・どちらさまでしょうか?」

「申し遅れました・・・わたくし、油壺の有栖川家当主、有栖川只仁の妻、有栖川小夜子ですが・・・湯月陽次様は、ご在宅でしょうか?」

「御用件を伺えますか?」

「発見された遺言書について、法的不備がないか見て頂きたいのと、遺産の分配方法について、契約書の締結の仲立ちをして頂きたいのですが・・・」

「湯月陽次は、すでに亡くなりました・・・」

 ☆

 その頃、有栖川邸の豪華な調度に囲まれた応接室では、

「あの泥棒猫に掠め取られるのは、しゃくだけど、全部持っていかれるよりは、いい!」

 佳代が負け惜しみを言っていた。

 応接室の高級そうなソファーには、今、東山と富士田奈々子が隣り合って座り、低いテーブルを挟んで、それに正対する形で、佳代と幸太郎が隣り合って座っている。西園寺は、東山と、佳代の斜め前に座っている。

 幸太郎が聞く

「本当に東山さんの作戦なんですか?」

「私の依頼人は、佳代様です。その方が遺産を受け取れなくては、私に成功報酬が入りません・・・」

 東山は、汗を滲ませ、返答した。

 佳代が詰問する。

「遺言書の内容は、知っているという事ですか?」

「ええ、まぁ・・・」

 口を濁した東山。

 佳代は、怪訝な表情を浮かべながら東山を質す。

「依頼人に言えないような内容ということですか?」

「今は、ご勘弁を・・・」

 東山は、耐えかねて頭を下げた。

 富士田奈々子は、表情を変えずに無言である。

 彼女に、佳代は、冷静に質す。

「富士田さん。あなた、有栖川家の遺産を、狙っていたんですか?」

「御当主から、たまたま、遺言書を預かったものですから・・・」

「どんな、手を使ったんだか・・・」

 佳代は、天井を見上げ、つぶやくように言った。


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