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君と僕の空白を埋めるミッション。~幼馴染と宇宙で、二度目の初恋を~  作者: 舟津湊


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#side of Takuya


幼稚園のあと、ユイはいつものようにぼくの家に寄る。

うちのママとユイママは友だちで、幼稚園に入ったときからユイはいつも家に来ている。

ママは「あんたち、姉弟(きょうだい)みたいね」と言う。

「キョウダイ?」

「そう。ユイちゃんがお姉さんで、タクヤは弟」

「え、ぼくたち、同い年だよ?」

「だって、ユイちゃん、しっかりしてるし、あんたは甘えん坊だし」

そうかな、とぼくは思う。ユイだって泣き虫だったりワガママなとき、よくあるし。


ママは今日、お使いで家にいない。ちょっとさびしいような、でもユイと二人っきりなのがうれしいような。


いつも、だいたいソファの上で遊ぶ。

テレビを見るときも、おやつを食べるときも、ゲームをするときも。


今、夢中になっているのは、マリオカート。ずっとユイがハイスコアを出していて、ちょっと悔しい。

今日こそ勝ってやる……でも、なにかが邪魔して集中できない。

あ、失敗……よし、今度こそ。


「やった、ハイスコア! ユイに勝ったぜ!」

テレビをぼーっと見ていたユイがこっちを向いて口をポカンと開けた。


「え? 見せてよ、さてはズルしたでしょ?」

いや、ズルなんかしてない。だいたいどうやってズルを? 疑われてちょっと腹が立った。


「ズルなもんか」

よーし、いじわるしてやろう。

ぼくはゲーム機を持った両手を上げた。

「ちょっと! ズルしてないなら、ちゃんと見せてよ」

ユイは、ぼくの上に乗っかってゲーム機をつかんだ。


そのとき、気づいた。

女の子の脚、そしてお尻のやわらかさ。

ぼくの真上には、ちょっと怒ったユイの顔。それが、かわいいと思った。


なんだろう、この気持ち。

あれが……おちんちんが、なにかおかしい。ムズムズする。

このままじゃいけない。


「こら、そんなにふっつくな!」

無理やりユイをどかした。


少し離れて、ユイがじっと見ている。

……ぼくのズボンのあたりを。


「なに、これ? なんか隠してるの?」


隠してる?

……うん、隠してる。


「んなわけないだろ」

「じゃあ見せてよ」

「見せられるわけないだろ」

ほんとうは見て欲しいような……


「ちょ、ちょっと!」

ユイは強引にぼくのズボンを脱がす。

やめさせようとしたけど、力で負けた

 ……いや、負けた方がいいと思った。


「ふーん」


むちゃくちゃ見られた。

ふーんって、なにがわかったのかな?

こういうところがお姉さんっぽいのかもしれない。


もういいだろうとズボンをはこうとしたら……パンツまで脱がされた。


飛び出したそいつは、自分でもびっくりする大きさ、形になっていた。


こんなもの見たら、ユイ、ぼくのこと嫌いになっちゃうんじゃないだろうか?


「こ、これ、なーに?」


そんなに嫌いでもないみたい。

不思議そうに、面白そうに眺めている。

 ……知らないわけないだろ?


「おまえ、そんなのも知らないのかよ?」

「知っているよ……ちんちん……でも大きくて固そう」


「ちんちん」というユイのことばが、ぼくの頭の後ろを叩いた。そのショックと熱さが背中を伝わりおなかの方まで降りてくる。


ユイの頬っぺたが真っ赤になってる。ぼくの熱いのが伝わった?

これは、チャンスかもしれない……なんのチャンスだろう。


「見たな!」

「うん、見た」

「じゃあユイ、お前も見せろ」

「やだ、恥ずかしい……それにわたし、なにもないよ」

「不公平だ! もうゲームしてやんないぞ」


何でぼくは平気でこんなことを言っているんだろう?

ユイにいじわるしたいから?

ちがう。

ユイの方がお姉さんっぽいって言われて、くやしいから?

ちがう。


二人ぼっちのこの家で。

いけないことをしている……でもユイのこと、ユイとぼくのこと、もっと知りたい。


「……じゃあ、ちょっとだけ」

顔を真っ赤にしながら、目の前の女の子はあっさりとスカートを脱いだ。

そのしぐさから目がはなせない。

気づかれた。

「こら、じろじろ見ないで、あっち向いててよ!」

「わ、わかった」

テレビを見ているフリをした。

「……もう、いいよ」

どきどき。


ユイはソファの上に立ち、おなかのあたりがぼくの目の前にあった。

……ぼくにあるものがユイにはなかった。

でも、なんかありそうな……もっと見れば。

よくわからない。


「どうしたの?……もういいでしょ」

恥ずしかそうにユイが聞く。

そのことば、顔、からだ。ぜんぶ、かわいい。

だから、ぼくは調子に乗る。


「なにも見えない……だからもっとよく見せて」

「ちょっ、なにするのよ?」

ぼくがユイをソファに寝かせようとしたけど、逆に押さえつけられた。


「こ、こら、それじゃよく見えないだろ! 自分ばっか得してさ」

起き上がろうとしたぼくの体にユイは乗っかってきた。

ほんとは、ぼくの方が強いはず。でも力が入らなかった。

だって、ユイのおなかが、ぼくの……


「これ、なんなの?」

ユイも気づいていた。


「ち、ちんちん」

ぼくがそう言ったら、ゆいのほっぺたは、また赤くなった。

 ……と気づいてすぐ、それをつかまれた!


なんかまずい! 

なんか出そう!


「わ、やめ、やめろよ!」

その声にビックリしたように、ユイはいったん手をはなす。


でも、じっと見ている。

急にユイの体の重さが消えた。

と思ったら、またぼくのちんちんをつかまれた。

そして女の子はそれを両足のあいだに、はさんだ。


アツイ!

溶けそうだ……これはなに? なんだかわかんないけど……「なんだかわからないもの」をユイと分けあいたかった。


どうやって?

家のソファ。狭くてさみしい二人だけの乗りもの。それがぼくたちをどっかに連れて行こうとしている。どこに?

いつもお姉さんっぽいユイ。でも今はちがう。ぼくがどこかに連れてかなくちゃいけないんだ。


そしてぼくは、女の子になにかを届けた。


〇


……思えば、これが僕が人と愛し合う初体験だった。

……初体験にして、絶対に忘れてはいけないユイとの秘密。


それから間もなく、僕と彼女は離ればなれになった。ユイは両親と一緒にアメリカに移り住んでしまったからだ。連絡先もわからない……多分うちの母に聞いたらわかっただろうけど、なぜかそうしなかった。


こんなことがあったからだと思う。

僕は性にはかなり積極的だった。中学からいろんな子とつきあい、キスをし、その先を求めた。女の子とひと口に言っても、性格・胸のサイズを含めたスタイル、声、形状……それが多種多様であることがわかった。


でも。


そうやっているうちに、あの時間がまたやって来ると思っていたのに。

しかし、決してそれに巡り合うことはなかった。


なにが違うんだろう?

ユイだったからだ。でも、彼女だったら、なにが違うんだろう?


体を重ねれば重ねるほど、悲しくなる。空虚になる。

僕は、その遍歴を中止し、高校、大学と勉強・研究に打ち込んだ。


それでも、僕の中の「なんだかわからないもの」は、相変わらず存在している。その謎を解いてくれと言わんばかりに。


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