第十八話:演習:夜兎の無双
はい、祓戸です。
投稿が遅くなりました…リアルでテストが近くてなかなか時間が取れません…
お詫び(?)も込めて今回は長めです。
Side柳葉
このレイに来て早三ヶ月ほど経った。
国をあげて歓迎されているため、衣食住に困ったことはない。
しかし、このレイはあまり文化が発達していない。
ああ、確かに衣食住に困ったことはない。とても嬉しいことだし
感謝しなければいけない。
しかし、しかしだ!
お世辞にも柔らかいとはいえない白パン。
ただ塩を入れて野菜を放り込んだだけのスープ。
このレイに来て心の底からおいしいと思った食事はない。
しかしもうそんな問題は解決した!!
「魔物うめえええええええ!!」
側から見ればただの野生児に見える食事をしているのは訳がある。
ちょっと前、具体的には朝まで遡る。
『魔物討伐?』
見事にクラス全員の声が重なる。
「そうだ。前回の模擬戦で勇者様方の実力は把握した。
そこからパーティーを作った。先日、ようやくすべて
決まったのでそのチームで魔物を討伐し、同時に連携力を
鍛えてもらう。まあつまらない前置きはこのくらいにしよう。
早速パーティーを発表する!」
「第一パーティー!藤原光史、米口豪、小野結花、飛鳥実桜」
「何だかいつもどおりのメンバーだね」
「いいじゃない。変に気を使わないで済むわ」
「そーですよぉ。私はぁ一緒になれて嬉しいですよぉ」
「よろしくな!光史!」
「うん、みんなよろしく!」
「続いて第二パーティー!桜沢陽児、若尾和也、安本裕二
大阪千尋、水越愛莉」
「よ、よろしくお願いしましゅ!」
「あはは、緊張しすぎやで〜」
「そうだぜ!これから同じパーティーだ!よろしくな!」
「俺は前衛で頑張るよ、よろしく」
「続いて第三パーティー!……………」
その後もパーティー発表が続いていった。
どうやら前衛、後衛をバランス良く組ませたようだ。
実力は近い者同士で固めている。
それはいいのだ。問題は僕。
「あの…僕はどのパーティーなんですか?」
「ん?ああ、君か。ちょうどよかった。これから説明しようと思っていたのだ」
「説明…と言うことは僕が一人だけなのも意図があるんですか?」
「もちろんだ。前の模擬戦で君は勇者様である藤原光史を倒した。
つまり君たちの中で一番強いわけだ。なので実力の合う者がいないのだ。
それに魔法も回復も一人でできる。近接は少し怪しいが、魔法でカバーできるだろう。
それなら無理にパーティーを組まなくてもいいということになったんだ」
「し、しかし一人だと死ぬ可能性があるのではありませんか?」
「いやいや、この辺りにいる魔物は騎士団が訓練で使うくらいの強さなのだぞ?
それに勇者に勝てる君が負けることはあり得ないよ」
そ、それなら大丈夫なのかな?
なんか上手く言い包められている気がするけど…
「わかりました。でもできるだけパーティーメンバーは見つけてくださいね」
「ああ、分かった」
そんな会話をした後、僕たちは移動し、森の中にいた。
「よし!各々散開して魔物を討伐してくれ!森で迷うなよ!」
みんなはパーティーメンバーと会話しながら森に入っていく。
あ、あれ?目から塩水が…
いいもん…僕にはノーチェがいるもん…
ー「いや夜兎サマ、その口調は気持ち悪いぞ」
ー「うるさいノーチェ」
……虚しいな。やめよう。
ー「それにしても魔物討伐かー。少し緊張するな」
ー「何故じゃ?今の夜兎サマなら余裕だろう?」
ー「まあノーチェがいうならそうなんだろうけどさ、今までの魔物討伐って全部夢の中だった訳じゃん?
夢から覚めれば傷もなかったことになってたけど、今回は現実だから」
ノーチェとの夢の中特訓は血魔法の使い方を学んだ後、いきなり魔物との戦いになった。
ノーチェ曰く、実践が一番早く成長するとのことで始まった。
最初は油断して致命傷を負った。そのせいで完全にトラウマだったのだが最近ではもう克服している。
だがそれも“夢の中“だったからだ。今回は現実。油断すると呆気なく死ぬ。最初のように。
ー「お、夜兎サマ。早速いたぞ」
ー「本当だね。あれは…角ウサギかな?」
僕は草むらから出てきた角ウサギと対峙する。ちなみに致命傷を受けたのはこの魔物だ。
血液鑑定を使いたいところだが少し難しい。なので
「先手必勝!血の小刀!」
血の小刀は血で作ったナイフだ。
魔力を使っているのでそこらのナイフとは比べ物にならないくらい硬い。
あと少しくらいなら軌道修正もできる。
僕の放った血の小刀はウサギの眉間に刺さった。
次の攻撃!!と思い、すぐに飛び退くが…
パタッ
………
「え?終わり?」
ー「思いっきりオーバーキルしていたの」
「嘘だろ?ノーチェが出した角ウサギって
血の小刀何十回食らってもケロッてしてたじゃん!」
ー「そりゃ、ワタシが強化しておったからな」
おい、何勝手に強化してんだコラ
ー「…ノーチェ。夢の中の角ウサギは
こっちだとどれくらい強いんだ?」
ー「ん?そうじゃな…下位の亜竜くらいかの」
どう強化すれば角ウサギが下位のは言え竜に勝てるんだよ…
ー「どうしたのじゃ?夜兎サマ?」
ー「…いや、なんでもない」
てことは?今まで戦った魔物も同様に強化されるわけで?
じゃあ?最近戦ってる馬鹿でかい鳥は?
……いや考えないようにしよう。そのほうが幸せだ。
ー「ん?夜兎サマ。団体様がきたぞ15体じゃ」
ー「了解。ささっと終わらそう」
出てきた魔物はグリーンウルフだ。簡単な風魔法が使えてその魔法で自身を加速させながら
連携して襲ってくる。冒険者の死因で一番多いのはグリーンウルフによる。
油断していたら血と体力を削られて死んでしまう。が、
「正直、この手の相手はもう飽きるくらい相手してるんだよね」
同じような相手は夢の中で何回も相手してる。
最初はなす術なく殺されていた。ちなみに一番多かった死に方はさっきあげたやつだ。
あれは怖かった…
最初は常に一対一を意識して戦っていた。ノーチェもそれでいいと言っていたが、
余裕があるなら一気に倒した方がいいとのアドバイスをもらった。
この付近にグリーンウルフ以外の魔物の気配は感じないので一気に殲滅することにする。
「血の雨!」
血の雨は術者を中心に硬化した血を周りに降らす魔法だ。
今回はちょうど囲まれていたのでこの魔法を使った。
ー「おお!だいぶ威力が上がっているの!」
ー「そうだね。まさかちょっとした足止程度の魔法がこんなに殲滅力を持ってるとは思わなかったよ」
魔法が終わるとそこには体中を貫かれたグリーンウルフの死体が転がっていた。
ー「そうじゃな。しかし今回は低級の魔物だったからよかったが、次は加減してくれよ?
じゃないと素材がダメになる」
ー「だよねー。次からは少し考えないと」
この魔物討伐訓練は素材を持ち帰らなくてもいい。
けど僕はノーチェから聞いたある魔法のために魔物の素材が欲しいのだ。
ー「夜兎サマ?早くしまわないと魔物が寄ってくるぞ」
ー「おっと、そうだね。早くしまおう」
僕はスキルの吸血の派生スキル“ブラッドボックス“を使う。
さっき言ったある魔法の関係で
吸血のスキルを使っていたら使えるようになったのだ。
ブラッドボックスは自分の血の中にものを収納できるスキルだ。いわゆるストーレージみたいなスキル。
性質も同じ感じで生きた生物は入れられない。ただし眷属指定した生物は収納できる。
まだ眷属を持ったことがないのでわからないが自分の中に生物がいる感覚はどんなのなんだろうか?
「さて次に行こうか」
ー「じゃな!もっと高いランクの魔物の素材が欲しいしの!」
そんな会話(?)をしながら森の奥に入る。奥に行くほど魔物の強さが強くなる。
けど僕からすれば最初の魔物と大差ない。夢の特訓がどれだけスパルタかよくわかる。
がノーチェに言わせればまだ優しい魔物しか出していないらしい。
一回ノーチェが言う強い魔物を出してもらったが、威圧されて文字通り何もできず気絶した
すぐにノーチェが起こしてくれたがお小言をもらった。
「威圧だけで気絶するとは思わんかったの。夜兎サマはあれに勝ってもらうくらい
強くなって欲しいのじゃ」
正直あれに勝てるようになったいたらいよいよ人間をやめてると思う。
そんなことを考えていると中心部にきた。
「さすが中心部だね。外縁部とは雰囲気が違うよ」
ー「油断するなよ夜兎サマ。ここの魔物はワタシが出す魔物と同じくらい強い」
すると木の向こう側から大きな熊が現れた。爪が大きく発達しており鋭く光っている。
確か名前は緋熊。名前の由来はその発達した爪で獲物を切り裂き、爪が緋色に染まっていたからだ。
じゃあ緋熊じゃなくて緋爪熊なんじゃないの?っていうツッコミは野暮だ。
「っ!嘘だろ?もう一匹いる…」
先に出てきた緋熊の背後からもう一頭出てくる。おそらく番で食料調達ってところだろう。
「けど食べられるつもりはない」
僕はそう言いながらバックステップで距離をとる。すると緋熊たちも僕の戦意を感じとったのか構える。
「血の小刀!」
僕はとりあえず牽制で魔法を撃つ。が簡単に弾かれる。
簡単に弾かれることがわかっていた僕は緋熊の背後にいた。
なんで効果がないのがわかっていて撃ったかって?目に向けて撃ったから
あわよくば目潰しできないかなーって思ったんです。え?狡い?
うるさいよ!こんなことしていかないと勝てないんだよ!
まあでも腕を使って弾いているので一瞬のうちは視界から外れることはできる。
その一瞬のうちに移動したのはステータスが大幅アップしたおかげ。
ちなみに今のステータスはこんな感じだ
名前:柳葉夜兎
種族:人族(80%)魔族(20%)
ステータス:HP 7000/7000
MP 13500/15000
SP 8500/8500
平均攻撃値6000 平均速度値12000
平均魔法値13000 平均防御値5500
平均魔防値13000
称号なし
スキル:<ブラッドシリーズ>血魔法 血の契約 血液再生 血液鑑定 吸血
????
<一般シリーズ>言語理解 数学 隠密 並列思考 魔力操作
凄まじいステータスである。少し前まで最大ステータスが7500だったのにいきなり一万の領域に入った。
もちろんこれには理由がある。それは吸血だ。
このスキルは吸血をした際、相手のステータスの一部を得ると言う効果だ。一部は10%だったり30%だったりとその度によって違う。ノーチェ曰く吸血について深く理解すると100%にもできるらしい。
しかも毎回。ノーチェから説明を受けて最近は安定して50%を取り込んでいる。
もちろんさっきまで倒してきた魔物も吸血している。がそれだけだとたいして上がらない。
ではなぜこんなにステータスが上がっているのか。それは夢の魔物も吸血しているからだ。
いや、できたんだよ。しかも割とあっさり。そのことに気づいてからは絶対吸血するようになった。
その結果がこれというわけだ。僕は背後に回って魔法を唱える。
「血刀」
武器を作り、緋熊の首を狩る。
血刀は斬ることに特化した刀を作る魔法。これは夢の中の魔物にも通じる魔法だ。
しかも少し特殊な効果を持っていて、血を浴びる度により鋭利になっていく。
しかし一度解除すれば効果はなくなる。この魔法を覚えた時思った。
“チートや“
夢の魔物に通じる時点でとても鋭いと思っていたが思った以上だった。
さっき斬った時、全然抵抗を感じなかったくらいだ。知ってるか?
これ血を浴びてないんだぜ?最低火力でこれなんだぜ?
もう一匹のは突然相方が死んだことに怒り、腕を振りかぶる。
「おっと危ない」
が僕は振り下ろされる前に範囲外に逃げた。そして魔法を発動する。
「血の小刀」
最初に使った魔法。今回はたっぷりと魔力を込めて撃つ。
「いっけ!」
最初と全く同じ軌道を描いて緋熊に迫る。緋熊は見え透いていると弾く。
しかし弾かれる直前で血の小刀が普通の血に戻る。
血は物理法則に従い、緋熊の顔にかかる。ここだ!
「血の牙!」
すると血が鋭い牙を形どり、緋熊にかじりついた。緋熊は脳を傷つけられ即死した。
僕はまだ虚穿を使えない。魔法の一部分だけ解除するのがとにかく難しい。
今は全て解除して新しい魔法を使うのがせいぜいだ。がそれでも敵の不意は打てるので気長に練習しようと思う。
ー「見事じゃな。訓練の成果が出ておる」
ー「まだまだだけどね。そろそろ休憩しようか」
地面に座って休憩。もいいがあまり安全ではない。なので僕は木の上に登る。
そして隠密のスキルを発動させ気配、匂い、音などを消す。
ー「夜兎サマは実に暗殺者に向いておるの」
ー「僕もそう思うよ」
苦笑いしながら答える。隠密のスキル持ちの上に武器はその場で作れる。凶器は血だから証拠を一切残さない。なんて優秀な暗殺者だろうか。
ー「今からでもそっち方面の知識を教えようか?」
暗殺者の知識か…まああっても困ることではない……かな?
ー「そうだね。軽くお願いするよ」
ー「おう!まかせろなのじゃ!」
そんな念話をしながら昼食を取り出す。今日のお昼は水、干し肉の以上です。
「はあ…」
ー「ん?どうしたのじゃ夜兎サマ?」
あれ?声に出てたか。
ー「いや、しょうがないことだけど食事がね……」
ちなみに吸血する時の血は結構美味しい。今まではそれで我慢してきた。
ー「ああ、そうじゃな。確かに夜兎サマからすれば辛いだろう」
ー「あれ?ノーチェってレイ以外の世界の食事見たことあるの?」
ー「直接はないがの。夜兎サマの記憶を覗いたのじゃ」
ー「ああ、なるほど」
ー「しかしなぜじゃろうな?」
ー「何がさ」
ー「ん?なぜ魔物を食べないのかと言うことじゃ」
え?魔物?
ー「え?魔物って食べられるの?」
ー「うむ!とても旨いらしいぞ」
ー「らしいって…どこで知ったの?」
ー「書物庫じゃ」
ー「そんな本あった?」
ー「うむ。夜に夜兎サマの体を借りてこっそり覗きに行ったのじゃ」
え?僕こいつに体乗っ取られてたの?
ー「……言いたいことはたくさんあるけどまあいい。どうやって食べるんだ?」
ー「それはじゃな……」
数分後、僕の目の前にはかの有名なマンガ肉があった。ちなみに使ったのは熊肉だ。
ボリュームたっぷりである
「それでは……いただきます」
僕は豪快に肉にかぶりつく。
「!!うまああああああああい!」
噛んだ瞬間洪水のように溢れ出る肉汁。しかし油っぽくなく全然胃もたれしない。
しかもめっちゃ柔らかい。熊だし魔物だし硬いと思っていたけどすげーやわかい。
これはA5ランクの黒毛和牛より美味しいかもしれない。食べたことないけど。
「いやあ美味しかった〜」
ー「じゃろう?これから料理を作るのはワタシに任せよ!」
「おお、たのむってそれって料理の時は体の主導権を譲れってこと?」
ー「その通りじゃ!いいではないか。ワタシも外に出てみたいのじゃ!」
「まあそれくらいいいけどさ」
ー「本当か!?二言はなしじゃぞ!」
「わかったわかった」
「ふふ、やったー!のじゃ!」
この時僕は気づかなかった。
中心部の魔物の一体があるパーティーに向かって行ったのを。
いかがでしたでしょうか?
夜兎くんチートだー。どうしてこうなった…まだ夜兎くんには勇者より弱いままでいてほしかった…
管理者とか龍はこれ以上にチートか…アイデア出るかな?
面白いと思った方は、『ブックマーク』や下記のポイント評価を押していただけたら幸いです。
またアドバイスも是非。




