Σ(゜д゜lll) がんばろうね☆(キャピッ)
あらすじは、「巨大劇場を模した迷宮で、怪盗たちが財宝争奪戦を繰り広げる話」。
役のリストは、「怪盗」。これだけ。
ただし、それとは別に、奇妙な条件がついていた。
引退した役者を七人、《ゲキバン》には参加させずに、その日の舞台に上げること。
アヤトは思い出す。この部分を説明している時、海箱ユユは次のように言っていた。
「極めて異例ですが、過去にも引退公演などで、《ゲキバン》を免除される、そのような事例が存在しました」
引退した役者を指定してきているのも、「それを踏まえてでしょうね」と、彼女は語っていた。
なお、七人の人選は、海箱ユユが好きに決めていいらしい。
「私の推測ですが、《ゲキバン》もしくは《無無劇》の最中に、何か仕掛けてくるものと思われます」
黒幕の目的は、『あの日の続きを行う』こと。
あれが何を意味しているのかは、わからない。
残る七つの『海箱』を盗み出す気なのか。
ではなく、『奥館』を炎上させることが狙いなのか。
「どちらにせよ、絶対にやらせるわけにはいきません」
海箱ユユの口調には、強い覚悟がみなぎっていた。
「アヤトさん、メモリさん。『海箱座』の代表支配人として、お願いします。次の『赤曜日』には、《劇番衆》として、現場復帰してもらえませんか?」
アヤトに異存はなかった。今や自主的処分をしている状況ではない。
当日は、黒幕と共に先輩が動く、そんな可能性もある。その場合に備えて、自分たちは『奥館』の中にいた方がいいだろう。
黒幕が《ゲキバン》の最中に何かを仕掛けてくるのなら、その最前線に立つ《劇番衆》は、ちょうどいい。鎧状態のメモリなら、色々な面で頼りになりそうだ。
さらに、マユハの復帰も決まった。彼女は当日、『役者連館』に待機する。
アヤトが思うに、『役者連館』にも、先輩のことを知る者が、一人はいるべきだろう。マユハなら文句はない。不測の事態にも、冷静な判断を下せそうだ。
その他、モトナとデススちゃんは、海箱ユユと一緒に、『奥館』の代表支配人室に待機する。作戦本部所属だ。もしもの時の伝令役。
それが、次の『赤曜日』における、アヤトたちの配置だった。
他にも、こまごま語ったあとで、
「というわけです」
その言葉をもって、海箱ユユは長い話を締めくくった。
といった回想を終えて、アヤトは小さく息を吐く。少しは頭の整理ができた。
「でもさー」
メモリが海箱ユユに質問している。
「暗号文の解読、間違っていたりしませんよね? 特に、あとで届いた方」
アヤトは聞き耳を立てながら、「なるほど」と思った。たしかに、彼女の言う通りだ。挑戦状の解読が間違っていれば、大変なことになる。
しかし、そこは問題ないらしい。海箱ユユの説明によると、暗号の解読は、「複数」の専門家に依頼しており、その結果は「完璧に一致」したという。
「なら、大丈夫そうだね」
そう言ってから、メモリがこちらを向いてくる。
それまで着ていた彼女の鎧が、急速に気化を始めた。
そして、陽炎の中から現れたのは・・・・・・
銀色のビキニを着たメモリだった。
彼女は小柄なのに、なかなかのボディラインをしているので、アヤトは目のやり場に困ってしまう。こうして相手の方から、しっかり見つめられては、心のシャッターを切るのにも、ためらいが生まれる。
やむを得ず、視線を空中で放浪させていると、
「アヤト、当日はがんばろうね☆(キャピッ)」
メモリが笑いかけてきた。




