Σ(゜д゜lll) 立ててる指は何本か
同時刻、『志歌島』南側にある病院に、海箱ユユは担ぎ込まれていた。
車輪つきのベッドに寝たまま、廊下を運ばれていく。
「ユユさん、しっかりしてください」
ベッドの横では、モトナが並走しながら声をかけてくる。
「え、えっと、こういう時は・・・・・・! ユユさん、立ててる指が何本あるか、わかりますか?」
海箱ユユは答えに詰まった。
モトナが立てている指は一本だ。
ところが、彼女の背後には、何人もの看護師たちがいた。
それぞれ変なポーズで並走しながら、両手の指を何本か立てている。その本数は、ばらばらだ。
あれも合計するとなると・・・・・・。
無理。答えるのをあきらめる。
「ユユさん、しっかりー!」
モトナが叫んでいる。
答えてあげたいけれど、今は体力もなければ、気力もない。
いや、これだけは伝えておかないと。
最後の力を振り絞って、口を開く。
「モトナちゃん・・・・・・午後三時・・・・・・になったら・・・・・・絶対に・・・・・・起こして・・・・・・」
それは、《ゲキバン》が始まる二時間前だ。代表支配人として、色々とやらなきゃいけない仕事がある。その時までには、『奥館』に戻らないと。
言い終わるなり、精も根も尽き果てた。
「わかりました。午後三時ですね。任せてください!」
これでいい。彼女はしっかりしているから、時間になったら、ちゃんと起こしてくれるだろう。
とりあえず今は、少しでいいから眠ろう。
起きる頃には、《アンゴール会》が暗号解読を済ませているかもしれないし、さっき電話で、アノン監督にも解読を頼むことができたし・・・・・・。
さすがに体力も気力も限界だったようで、海箱ユユは意識を失った。




