Σ(゜д゜lll) 海箱ユユの「宝探し」
海箱ユユは考えた。
このタイミングで、奇妙な封筒・・・・・・。
そういえば、前に届いた怪文章も、水色の封筒に入っていた。
となると、その封筒、黒幕と無関係ではないのかもしれない。
「それを今すぐ、『奥館』まで持ってきてください」
ただし、次のように言うのを忘れなかった。
「今度やろうと思っている、宝探しイベントのテストだったんですよ。あの場所は、どうでした? 見つけやすかったですか?」
もしも、この封筒が、あの怪文章と同種のものだとしたら、余計な詮索をされたくない。
だから、もっともらしい内容を、でっち上げておく。
「私が一番に見つけたわけではないので、参考になるかわかりませんが、取るのに梯子が必要なくらい、高い場所ですので、そこは配慮した方が良いかと」
ベテラン大道芸人が答える。
「なるほど。本番での隠し場所は、もう少し考えることにします。ええと、発見した方と、回収に参加した方には、金貨を五枚ずつ贈りますね」
海箱ユユが口で「ぱちぱちぱち」と告げると、電話の向こうからは、十人前後の歓声が聞こえてきた。
「あの・・・・・・」
海箱ユユは聞いてみる。
「何人で回収したんですか?」
「少し待ってください。おーい、みんな動くな。いいと言うまで、ストップ!」
電話の向こうから、「一人、二人・・・・・・」と数える声が聞こえてくる。
「えーと、十人ですね。なにぶん、高い場所だったので。あ、この十人には、自分と発見者も含んでいます」
「・・・・・・わかりました」
先に人数を確認しておくべきだった。
なんでも、発見者は封筒の回収にも参加したそうだし、また、電話をしてきたベテラン大道芸人の功績も大きい。二人には、金貨を十枚ずつ贈ることにした。
そして、それ以外の八人には、金貨を五枚ずつ渡そう。
合計すると、金貨六十枚。ポケットマネーからの、予定外の出費としては、なかなかの金額だ。
とはいえ、この時間に封筒を発見できたのは、良いことかも。
本来なら、もっと明るくなってから、封筒は見つかっていただろう。おそらくは、モノレールの始発が動き出して以降に。
つまり、数時間早く回収できたことになる。この封筒が黒幕の仕業なら、これは想定外のはず。
至急、警備チームの隊長に連絡して、モノレールの支柱周辺を捜査するために、部下を何人か派遣してもらおう。
封筒を置いた者が油断して、まだ近くに留まっているようなら、逮捕できるかもしれない。
またしても、黒幕を一歩一歩着実に、追い詰めている手ごたえがあった。
さっき言った内容を、海箱ユユは繰り返す。
「その封筒を今すぐ、『奥館』まで持ってきてください。約束の金貨を用意して待っているので、大急ぎでよろしく!」




