Σ(゜д゜lll) 面白そうな作戦
さて、どうしたものか。
電話を切ったあとで、海箱ユユは考える。
もしも『お茶わん、堂』の店主が協力してくれるのなら、面白そうな作戦がある。
海王丸邸の遺留品からして、黒幕はかなりのコレクターだ。「女の子シリーズ」のお茶わんを、全種類集めるくらいの。
だったら、その収集欲をくすぐってやれば、向こうから墓穴を掘ってくれるかもしれない。
こちらの作戦に乗ってこない場合でも、それはそれで構わなかった。
一種の精神攻撃にはなる。黒幕がやきもきして、冷静な判断を狂わせるようなら、こちらのチャンスが拡大する。
この作戦、試してみる価値はあった。
具体的に何をするのかというと、あの「女の子シリーズ」に、新商品を追加するのだ。
ただし、百個の限定販売とする。
しかも、問題のお茶わんを持っている人だけが、店頭で先着順に買えるようにするのだ。
しかしながら、この作戦、実行できるかどうかは、『お茶わん、堂』の店主次第。
未だに口を割らないことを考えると、協力してくれる見込みは薄い。
そのあとも、良い案はないかと頭を働かせてみたが、店主を説得できそうな糸口は見出せなかった。
残念ながら、このアイデアは「保留」にするしかなさそうだ。
そこでまたもや、代表支配人室の電話が鳴る。
海中に不法投棄しようとしていた連中、彼らへの聞き取り調査で、さらに進展があったのだろうか。
吉報を期待しながら電話に出ると、かけてきた相手は、警備チームの隊長ではなかった。
ベテランの大道芸人だ。『海箱座』と契約を結んでおり、大道芸人たちの特殊情報網を束ねてもらっている。
海箱ユユも面識があるので、声と名前を聞いただけで、相手の顔が浮かんできた。
「変な物を見つけました」
ベテランの大道芸人が言う。
十五分前、若い大道芸人が、モノレールの線路を眺めていて、ふと気づいたのだとか。線路を支える柱の一つに、水色の封筒が挟まっていたらしい。
知らせを受けて、ベテランの大道芸人は動いた。
柱に梯子をかけて、封筒を回収したのだ。
「その封筒に、変なことが書いてありまして」
――この封筒を未開封の状態で、『海箱座』代表支配人に届けると・・・・・・。
書いてある文章は、そこまでらしい。
届けたら、どうなるのか。肝心な部分が抜けている。
「手で触った感じだと、中に入っているのは、紙だけのようですが、どうします?」




