Σ(゜д゜lll) 子どもの頃は「お宝」でも、今となっては「黒歴史」
心の中で手を叩く海箱ユユ。
ところが、警備チームの隊長が、予想外のことを言い出した。
「その・・・・・・捕まえたのは、現時点で六人になります」
「六人?」
「はい。あ、今し方、七人になりました」
海箱ユユは頭に「?」が浮かびまくる。
「どういうことか、説明してもらえますか?」
「はぁ、その六人、いえ、七人は海中に不法投棄をしようとしていまして」
「何を不法投棄していたのですか? 危険な物ですか?」
「あの・・・・・・例のシリーズのお茶わんです」
隊長が言いにくそうに告げる。
なんでも、『お茶わん、堂』への聞き取り調査が原因で、変な噂が広まっているという。
海箱シティ内で、あのシリーズのお茶わんを所有していると、逮捕されるとか、家宅捜索されるとか、公開処刑されるとか。
それを本気で信じた連中が、こっそり海中に不法投棄しようとしたらしい。
お茶わんを海の中に隠しておけば、いつの日か再び回収できるかも。そんな風に考えた者が、現時点で七人もいた。
海箱ユユは頭痛がしてくる。自分も子ども時代に、似たような経験がある。大事な物を捨てられそうになって、海の中に隠したのだ。
未だ回収していないので、あれも不法投棄ということになる。
子どもの頃は「お宝」でも、今となっては「黒歴史」だ。ここ『志歌島』では古来より、「色んな物」が海中に沈んでいる。
ますます頭痛がしてきたので、電話を切ろうとする海箱ユユ。
「待ってください! 重要なのは、ここからです!」
「どうぞ、続けてください」
「逮捕した彼らに、例のシリーズについて、聞き取り調査を行った結果、ある事実が判明しました。海王丸監督のご自宅から持ち去られたお茶わんについての、重要な情報です」
一瞬で頭痛が吹き飛んだ。『お茶わん、堂』の店主は未だ、口を固く閉ざしている。そこからの情報収集は難しい。そう思っていたところでの、この知らせだ。
「どういう情報ですか?」
「そのお茶わんは、三百個だけ販売された限定品だそうです」
海箱ユユは興奮してきた。
(ということは、容疑者をかなり絞り込めるかも!)
一歩一歩着実に、黒幕を追い詰めている手ごたえがある。
「しかも、店頭による先着販売だそうです。先日、最後の一個が売れたらしいとか」




