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エデンの庭先へ ー俺の人生は異世界行っても破茶滅茶だった件ー  作者: 白湯の窓辺


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6/8

第五話 終わりと始まり

 あれからそんなに日にちは経っていなかった。


 自分の腕の怪我はようやく痛みは無くなり、傷口は塞いだが、爪跡だけは綺麗に残った。

 その間、アルトとの稽古は出来ず、ただ横でレナと共にアルトの稽古を見ていた。


「おい、お前らちょっと早いけど。もう明日ここを出ることになるよ」


 アルトもちょっと悲しそうな顔をした。


「そうか。もうそんなに早く出るのか」


「え〜行っちゃやだ」


 レナはまだ理解できていないようだった。俺も心の中では整理がついていなかった。

 この世界ではレガリアに目覚めてからの国の対処は早い。

 すぐさま能力者を王都へと招集する。

 能力者は特別であり、国の宝なのだ。


「まぁ〜お前らもいつかこの村出るんだろ。俺、待ってるからさ」


「ちょっと先に行ってるだけだからな」


「そう...だな...」


 俺は言った。


「嫌だー。アルト行っちゃ嫌だー。嫌だよ〜」


 レナは大声で泣き始めた。これが普通の5歳児だろう。事態が分かるわけがない。

 大人の俺ですら理解が追いついていないのだから。

 生まれてからずっと一緒にいたレナにとっては、大切な存在がいなくなることを受け入れることは容易ではないはずだ。


「レナ、俺も悲しいけどさ。だけどさ、また会えるから、永遠じゃないからさ」


「嫌だぁー。アルト、行っちゃ嫌だよぉー」


 アルトは今にも泣きそうな声を殺して、言葉を出していた。

 あのアルトでもやはり別れはきついのだろう。


「俺はさ。もっと強くなる。もっとも〜っと強くなる」


「ここの村はさぁ〜臭いし、汚いし。ほんとそこに関してはいい思い出はなかったけど」


「お前らと会えて本当によかった」


 アルトは少し空を見上げた。


「俺はさ〜強くなってこんな村であっても、みんなが幸せになる世界をいつか作りたい」


「だからさ。俺も頑張るからさ...」


「お前らも立派になっていつかさ。いつか。もっと大きな世界だ会おう」


「これは絶対だ。約束だぞ」


「だからさ...。だから....。これはお別れなんかじゃないからな....」


 アルトは最後までアルトだ。


「え〜ん、嫌だよぉおお〜。アルト行くの嫌ぁああだぁああよぉおお〜」


 レナの泣き声は増した。


「そうだな。俺も頑張る」


「お前はまず自分に負けないようにしないとな」


「そうだな」


「明日はそんなに話せないからな」


「レナはお前に任せたぞ。また会える時までお前が守ってくれよ」


「....うん。わかった....」


「え〜ん、嫌だぁあああ〜。アルト行っちゃ嫌だぁあああ〜」


 その日、レナは泣きやまなかった。

 アルトが横に座ってなだめていろいろと話していた。

 俺にはどうすることもできなかった。


 翌日、アルトの招集に対して村中みんなが歓喜して送り出していた。


 その時、アルトの祖父母を初めて見た。

 綺麗な服装で、身なりの整った老夫婦だった。


「君たちだね。いつもアルトをありがとう」


「いえいえ、そんなことないです」


「いえいえ、こっちがお世話になりっぱなしだったんで」


「アルト....」


 レナは今日もすぐにでも泣きそうである。


「本当はアルトはこの村にずっと居させてあげたかったんだけどね...」


 アルトの祖父母は何故か遠くの方を見て話した。

 自分にはその言葉の意味がよくわからなかった。


「二人の話はいつも聞いてたからね。アルトにとっても大切な思い出になったと思うからね」


 アルトも横で聞いていた。


「じいちゃん、ばあちゃん、こいつらに会えて本当によかったよ。俺の自慢の友達だよ」


「そうか。よかったね」


「じゃあ、いつまでも話してても別れが悲しくなるから俺行くな」


「じいちゃん、ばあちゃん、行こう」


 アルトは上を向いた。


「アルト行っちゃ嫌だぁあああ〜嫌だよぉおお〜」


 レナがまた大声で泣き始めた。


「レナありがとうな。また会える」


「じゃあ、エミル、レナを頼んだな!剣の練習サボるなよ!」


「うん、わかった」


「じゃあな、また会おう」


 3人は王都から来た豪華な馬車に乗り込んだ。

 レナの泣き声はより一層大きくなった。


 馬車は走り出した。


 レナは大きく手を振った。泣きながら。

「いっちゃ嫌だ〜」

 と何度も叫んでいた。


 俺も大きく手を振った。

「じゃあなー」

 と大きい声で何度も何度も叫んでいた。


 村中の人がいってこーいと歓喜していた。


 アルトは一度も馬車から顔も出さなかった。

 もしかしたら、馬車の中でアルトもまた泣いていたのかもしれない。

 どうだったのかはわからない。


 またいつか会える日を楽しみにしようと決意を固めた。


 それからはいつも通り剣の練習に明け暮れた。

 と言ってもアルトがいない今。練習相手もいないので素振りやアルトを想定して剣を使うような練習ばかりしていた。

 レナも数日は悲しんでいたがいつものレナに戻っていた。


 あれからもう半年経った。俺は6歳になっていた。


 そんな時、事件が起きた。



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