↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その【聖女】転生者につき。  作者: お餅憑き
五章:

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/127

頁:55 その【一行】金欠につき。



 市場の商店街を抜け、丘が見えるような場所へと歩き出した勇者たち。

 屋敷の場所を確認するまでもなく、遠方に見えるのは白亜の邸宅。


「あれがニヴェイシア子爵さんのお屋敷だよね?」


「他に近くに屋敷っぽいのねーし、あれじゃろ?」



 その後――

 屋敷の場所も確認し、勇者たちは一旦宿を探そうということに。


 ――……が、宿を探して早数件。


 どこも『本日は満室。』との回答で門前払いの勇者一行。


 どの宿も回答は同じで、理由は『お祭りが近いから。』という理由。

 門前払いの度、ノアの肩はどんどん下がり、心なしか表情も暗い。


「困ったねぇ……お祭りなら仕方がないんだけれど……。

 どこのお宿も満室って……僕たちどうすればいいんだろう……。」


「とりあえずよ、根気よく探せば一軒くらいは見つかんだろ。」


 そうして歩き回ること数時間。夕日が街を赤く染める頃合い。

 十数件目にしてようやっと空き部屋を見つけたのだが――


「――た、たた……た……たっかいよ……???」


 声を裏返し、嘆くように財布と全員の顔を見つめ項垂れる勇者。

 提示された料金は、一泊一人当たり白銀貨一枚、それと銀貨が二枚。


 財布をひっくり返し、残金の確認をしながら嘆く勇者。


「一泊一人当たり……えっと? この間までいた町での一泊が――

 たしか、銀貨一枚と銅貨数枚。 だから……ええーーっと……??」


 指折りで計算しているようだが、頭がこんがらがっているらしい。

 誰が見ても、彼の頭の上には疑問符が浮かんでいるのが見て取れる。


 困っている彼に対し、セラが彼の隣に向かい、小さな声で告げた。


「つまり一人当たり、一泊銀貨七枚です。 全員合わせると、そうですね。

 金貨一枚……それと銀貨三枚ってことですね。 少なくとも――

 前のお宿では四、五日ほど滞在出来るほどのお宿です……。」


 小さな声のつもりだったが、全員の耳に届けられていたようだ。

 パルテオンががっくりと項垂れ『かぁーッ……。』と天を仰ぐ。


「一流のお宿様ってこったなぁ……。 しっかしよ、全員分だろ?

 連泊できたとして……精々二日分が限界じゃねぇか?」


 いまいち貨幣価値を分かっていないルルだけは、平然としているが――

 勇者一行の由々しき事態――『金欠』という場面に直面していた。


 結構な大ピンチで、互いに顔を見合わせ困り果てる勇者一行。


「恐らく連泊は無理ですね、その前にパルテオンさんの食費で底をつきます。」


「ど、どうしよっ……!僕たちの旅が終わっちゃう……金欠だねぇ……。」


 今にも泣き出しそうな表情で財布の中を必死に覗き込む勇者。

 しかしそんなことで残金が増えるわけではない。


 哀愁すら漂う彼の姿はよもや【勇者】ではなく、まるで“憂者”の佇まい。


 暗い顔をする勇者に騎士から明るい言葉が投げられた。


「だったら、冒険者ギルドに顔を出してみねぇかっ!?」


「依頼を受けて達成すれば成功報酬をもらえて路銀を稼げるッ!

 それにだ、ああいう場所には情報が集まるってもんだ!どうだッ!」


「俺にしてはなかなかの良案じゃねぇかッ!?それに俺たちには――

 学術都市の迷宮で地道に拾ってきた戦利品があるッ!」


「ああー……あたしが拾っとったあの汚い布とか、スライムの玉とか?

 それ売って――金にするってことじゃろ?」


 騎士と小人族の言葉に『なるほど』と頷く勇者。


「冒険者ギルド――そういえば僕、行ったことがなかったよ……!」


「あの――冒険者組合(ギルド)って――私、冒険者登録をしておりませんが……?

 それに星律教導(オルディナストラ)の聖女って、冒険者登録、可能なのでしょうか?」


 不安そうな表情で騎士へと尋ねる聖女だったが、彼の返答はシンプル。


「んなもん、現場に行けばどうにかなんだろッ!」


 聖女以外の全員、興味津々といった様子。

 結局――それ以上は何も言い出すことが出来ず口を閉ざしてしまった。


「それじゃっ!冒険者ギルド、行ってみようー! しゅっぱつしんこーっ!」


 弾んだ声――進行方向を冒険者ギルドへと定め、歩き出した勇者一行。

 勇者の言葉に『しんこー!』と小人族が復唱し、実に楽しそうだった。


 西の空は茜色から群青色に溶けかけた時間帯。

 宿探しには敗北。彼らを襲う『金欠』というのっぴきならない事情――


 余裕がない彼らは、冒険者ギルドへ向かうしか選択肢が残されていない。


 こうして彼らは――


 吸い込まれるように冒険者ギルドの建物の中へ消えていった。






◇煌陽国(セレスタリア)の設定メモ◇

煌陽国の貨幣価値と貨幣レート


貨幣価値換算(最も価値が低い順番)


青銅貨(基本単位)

銅貨  青銅貨 5枚分

銀貨  銅貨  10枚分(=青銅貨 50枚)

白銀貨 銀貨  5枚分 (=青銅貨 250枚)

金貨  白銀貨 5枚分 (=青銅貨 1,250枚分)

白金貨 金貨  10枚分(=青銅貨 12,500枚分)

聖金貨 白金貨 10枚分(=青銅貨 125,000枚分)


※聖金貨は国家・宗教レベルの超高額貨幣であり、市場では流通しない。


各種硬貨の見た目の参考までに。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。