↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その【聖女】転生者につき。  作者: お餅憑き
序章:聖女と勇者と加護。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/127

頁:4 その【原因】自身につき。



 両親の涙の原因はとっても簡単で、且つどうしようにもない事柄でした。

 それは、お家柄に関係する問題らしくって、どうやら――


 自分の生家であるヴァイオレット男爵家は、とあるお家の分家筋。


 本家はヴィオラ伯爵家という名前の、由緒正しきお家なのだとか。

 ほんでもって、そのヴィオラ家とやらは代々【聖女】を輩出してきたと。


 ヴィオラ家の他に、デルフェニウム家、サルビア家。

 この御三家が、聖女の家系だとのことらしい。


 んでここで厄介なのが――この二十年~三十年で他の家は聖女を産んできた。

 がしかーし、本家のヴィオラ家では長らく【聖女】が誕生してなかったそうな。



 ――で、そんな状況ではい!ご当選おめでとうございまーす!



 なんということでしょう。こんな自分が聖女に選ばれたではありませんか!

 当選倍率何百倍の狭き門をくぐり抜け、重責を背負って――


 選ばれたのは綾……じゃなくて、自分でした!


 ――めでたし、めでたし……チャンチャン。



 ……納得、いくわけが……ないじゃないですか……。


 いや、確かに人々を救うことは望みました、そこは……確かですよ。


 この子(セラちゃん)の将来のためとか思って、頑張ってきたのは――

 そう……なのだけど。


 聖女が産まれなかった“本家”に対しての、嫌がらせですか?

 分家からのプレゼント的な?そういう神様方のサプライズですか??


 なんだろうね?加護を貰ったのって、一体誰なんだろうね。


 だって、こんなの……こんなのって、ないよ。

 本家の人もきっと嬉しくないし、両親も、それに自分だって……。


 そもそも自分は【聖女】絡みについて全く知らなかったのに、青天の霹靂。


 というのも、深い理由があって……それは両親やメイドさんたち。

 教育係さんに至るまで……事実をひた隠しにしてきたためだと言う話。


 隠していた理由は“自分が聖女になりたい”と、思わせないためだと。


 憧れてしまっても、聖女になんて、なれるはずないだろう。

 自分が落胆してはいけないと、そんな判断で。


 そのことを今更になって謝られたけれど、謝罪されたところでの話。


 だって――【加護】の“やり直し”なんて……できないのだから。



 しっかし、困りものだ……よりによってこんな自分がどうして?


 聖女という存在は、本来十数年に誕生するかしないかみたいな――

 稀な存在だという話らしいけれど……何の冗談ですか?


 おめでとうございます!というべきか……。

 はたまた、ご愁傷さまです……というべきか。


 こればかりは後者でしょうよ、自分自身に対してだったら、圧倒的に。


 まぁ要するに――あれですよ、あれ。

 自分は王都にある、本家に引き取られることが決定済みだそう。


 本来であれば、今の自分の年齢だと学術院的な?

 貴族とか平民が通う学校に行く予定だったのだけれど……。


 聖女認定されてしまっては、それも叶わないのだそうだ。



 本当に……なんてこった。



 異世界の学校、すごく楽しみにしていたのに。

 血筋の威光?家の誇り?そんなもんを理由に“聖女としての修行”――


 いかにもな、責任が重そうな運命へ放り込まれるのだそうです。

 男爵令嬢のセラフィーナとして生きてきた、当たり前の毎日。


 温かくって、優しくって……ようやく馴染んできた生活だったのに。


 学校に通って、両親とかメイドさんに囲まれて……。

 穏やかに成長して、いずれは人々の助けに――みたいな人生設計だった。


 もちろん、聖女という役職が人々の助けになることはわかっている。


 でも考えても見てほしい。

 温かい家庭で育つのと……厳しい修行とかでボロボロにされるのと。

 どっちが良いかって問われたら、圧倒的に前者でしょう?


 ああ……だめだ……。両親の笑顔が脳裏に貼り付いてて。

 瞳を閉じたら、すぐにでも両親たちの笑った顔が思い出されてよろしくない。


 日本で培った知識を活かして、喘息に対抗するため、努力してきたのに。

 それで咳も落ち着いて、身体も良くなっていって……やっとだったのに。


 もう、だめだ……思い出すたび、胸の奥が締め付けられて痛くて苦しいよ。


 締め付けられるどころじゃない。

 研ぎ澄まされた刃で抉られてるみたいな。そんな痛みといっても過言じゃない。


 いくら考えたって、結局進まなければどうしようにもなくって。

 それに、本家行きを拒めば両親がどうなるか分からない。


(セラちゃん。きみのために頑張るから、どうか……見守っていて……。)


 温かくって優しい日々を胸に刻んで、忘れないように抱きとめて。

 泣きながらでも、笑いながらでも、セラとして頑張っていくしかない。


 だってもう、頑張るしか今の自分には選択肢がないのだから。

 不安は確かにある。だけれど今更運命を変えることはできない。


 過去を振り返ることはできても、過去に戻ることなんてできないのだから。


 ならもう、進むしかない。ちっぽけだと思っていた自分を奮い立たせる。

 この先どんな困難が待ち受けていたって、乗り越えてやるんだから。





ここまで読んでくださって、とても嬉しく思います。

誤字脱字があればご報告いただければ幸いです。


お気に召していただけましたら、

ブクマなどいただけますと、励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。