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その【聖女】転生者につき。  作者: お餅憑き
序章:聖女と勇者と加護。

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頁:外 【モノローグ】終わりは、不快感と共に。



 胸が苦しくって、ずっと咳が止まらない。

 ここのところ、毎日毎日、ずっとお父様とお母様はつきっきり。

 メイドさんもばたばたしてて、お屋敷はどこか慌てふためいてて。


 わたしの身体――どうなっちゃったんだろう?


 ずっと痛くて苦しいのが続いてて、神殿に担ぎ込まれたけど……。

 でも、わたしの身体は神官さんでも“治せない”って言ってた。


 ああそっか。わたしはもう長くないのね?


 心のなかで諦めがついていた。高熱にうなされて――ぼやける頭。

 そのまま、沈むように眠っていたのだけど……。


 ある日、目が醒めたらわたしの身体は完全に別の人になっていた。


 意識が戻ったと思ったら、別の舞台の観客席みたいなとこにいて。

 わたしの視界が、とっても遠くにあるみたいな、不思議な感覚。


 身体はわたしで動かすことはできなかった。だけど――きらいだった。

 こんな弱くて迷惑しかかけない身体、わたしは好きじゃなかった。


 だから、わたしの代わりにあの身体を動かしてる人が気の毒で……。


「ごめんなさい……わたしのからだを押し付けちゃって……。」


 そんな風に考えてたら、視界の先の人の記憶が、わたしにも流れ込んだ。

 いろんな記憶の欠片が次々に頭に浮かんでは消えていって――



 それで分かったのは、わたしの身体を動かしてる人は、別の世界の人?

 記憶を見て分かったのは、この人はずっと大変な毎日を過ごしてたって。


 毎日違う人に叱られて、怒られて……それでもめげずに頑張ってて……。


 なんて――なんて、強くってかっこいい人なんだろうって、涙が溢れた。



 泣いて、泣いて――泣き明かしていって。


 わたしの身体に入ってくれてる人は、咳が出ても嫌な顔一つしない人。

 心配させないように、お父様とお母様に笑顔を振りまけるような、強い人。


 つよくって、やさしくって――そんな『あなた』が、すごく好きになった。


 こんな、弱くってだめな身体を押し付けてしまって……ごめんなさい。


 それなのに『あなた』はわたしの身体を労ってくれて。

 こんなわたしのためなんかに『身体は必ず返すからね』って祈ってくれて。


 そのことが……その言葉とその願いが、わたしにとって嬉しかった。



 涙はもう――流れてない。



 だから、わたしはあくる日も、視線の先の人のことを想って。

 静かな観客席から、ずっとずっと――お祈りを捧げたの。


「わたしの身体を引き受けてくれて……ありがとう。」


「わたしは『あなた』の幸せを、切に願います。」



 神様……どうか、どうかこの人にたくさんの祝福を与えてくださいませ。





ここまで読んでくださって、とても嬉しく思います。

誤字脱字があればご報告いただければ幸いです。


お気に召していただけましたら、

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