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第75話

第三の試合。より多く、より大きく、より希少で、より強い獲物を狩る。日没を期限として、それまでに城門へと帰還し戦利品の量や質の良し悪しで競うという。


試合を始める前に、黒の王子はこの猟の判定を行う配下らに向け、一切の主観、贔屓を廃し公正な、かつ何があろうとも勝敗の判決を行う事をを固く命じた。


なぜそのような事をする、と男の子が訊けば、相手が仮にこの上なき不敬者であっても、試合うのであれば国を預かる者として、一人の戦士としても、我が生涯の轍に拭えぬ傷として永久に残る、と答えた。


一時の語らいの後、猟のために三度装備を整え、打ち上げられた大砲の音を合図に、両者は別々の場所から森へ足を踏み入れる。


深く生い茂る樹々から覗ける陽の光は僅かに傾いており、それが完全に姿を隠すまでの時間で、如何にしてより上等な獲物を狩るかをふたりの狩人に問うているようであった。


樹の太い枝を軽々と跳ねながら、獲物を求めて移動する男の子はふと、疑問を抱く。朝方訪れた頃とは異なる、森がまるで別人のように表情を変えていることに怪訝に思うのだ。


彼は以前の、似たようなものを感じ取ったことを思い出す。初めて赤髪の騎士に出会った、狩猟の為出掛けた時の森の顔と瓜二つなのだ。


嫌な予感がする、と溢した次の瞬間には、森が急にざわめき出し、肌が粟立つような異様で、かつ男の子に限らず生けるもの全てが不愉快に思うであろう空気が流れ出る。


一度足を止め、耳をすませ、背負っていた身の丈程はある大弓と矢一本を構え、意識を研ぎ澄ませる。すると、遠い遠い森の奥深くから連続して、足音が、とても巨大な生き物がするような地鳴りが耳に届けられる。


その次には、森全体を震え上がらす程の音の嵐、雄叫びが轟く。叫びは木々をなぎ倒し、あたかも巨大な戦車が駆け抜けた轍であるかのような傷跡を森に遺すのであった。

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