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第65話

食事を終え一段落すると、男の子は自らが死闘を繰り広げた魔獣についての質問をぶつけることとする。


あれほどの存在を如何にして御したのか、その首輪には何かの細工が仕掛けてあったのだろう、と。どこからか捕まえてきたあれの強大な力を御する為、呪術的技巧が施された首輪を着けられ、その結果何者かの傀儡にされ、獣としての尊厳を踏みにじられた、と。


それは少しだけ違う、と王子は言う。なぜならば、その魔獣は元々我らだったものであるというのだ。どういうことか、と問う男の子に王子は続けて説く。


曰く、まだ私の父が黒の国を治めていた頃、赤の国は新しい要兵力として魔獣を戦線に繰り出した。個体差にもよるが、中には貴君が相対した特級のものも存在する。我らはそやつらの生捕りに成功し、研究を重ね、気がついたのだ。それは、我等黒の国の防人たちの成れの果てであったのだ、と。


息を呑む男の子の呼吸に合せ、続きを話す黒の王子の表情は、次第に強い嫌悪感が見て取れる程滲ませてゆく。


曰く、魔獣とは、悪魔の血を引く我々獣人が先祖返りを起こしたものである。そのような事象は少なくとも赤の女王が戦争を起こすまでの百年は一度もなく、女王によって強引にあの恐ろしい姿に変貌させられたのだ、と。


魔獣に変えられた者をもとに戻すことは出来ないのか、と男の子は問うが、それは不可能であると苦々しく返答し、さらに無理矢理変貌させられた故にその命は一月も保たず、件の首輪により激痛に悶え苦しみながら傀儡として飼い殺されるのだ、と続く。


貴君の知る通り赤の女王はその天性の肉体を以て男に愛を与え与えられ、すべてを貪る。そしてあの女が食べ飽きたその時、奴は強力な魔術を行使し、理性なき魔獣へと変貌させるのだ。


悪辣にして凶悪、そして類い稀なる才を持ちながら、度しがたい程の強烈な欲に溺れ、全てを喰らうまで止まることはない、畜生以下の痰壺女。それがあの赤の女王のすべてである、という。放つ一言一句に隠そうともしない強い怒りを含み、黒の王子は語り終えるのであった。

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