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第53話

瞬きほどの時で出来上がったそれは、少年の姿であった。顔はおろか、全身を黒く塗りつぶされ、影法師としか認知できないその少年の口から、外見から似合わぬ掠れた声が発せられる。


曰く、貴殿は何も救えない。血を分けた親に止めを刺し、争う者を、ただ殺した者を殺すだけである。その生は全て徒労に終わる、と。


男の子は拳を振り上げた。この掠れた声が正しいものであるものか。否定する為に振るう力は虚しく空を裂くに留まる。


影法師は霞のように触れることが叶わず、また告げる言葉は絶えず精神を揺さぶる。それはまるで、憐れむように。


曰く、貴殿は確かに勇者であろう。その武勇と心の清廉さが、苦しみの中にある多くの人を救うことになるだろう。だが、その生涯は決して報われぬ、他人に捧げた己が命は、心は、理想は、誰にも理解されることはなく、歴史には汚名として永久に遺されるであろう、と。


掠れた声が指し示す。道が二つ又に別れ、進むべき道を男の子に選ばせる。ひとつは鉄の臭いで赤黒く舗装された、滑り気のある道で、一寸先は砂嵐が吹き荒れていた。


もうひとつは道のりが平坦で、足下がぼんやりと明るく灯され、仄かな暖かみのある道であった。

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