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第49話
一歩跳び、足を着く度に血が滴り落ち、溢れる痛みが脳を蝕み、男の子の思考を奪わんとする。歯を食い縛りながらそれを耐え、今自らの置かれた状況を再確認する。
弓を回収し損ね、魔槍の本来の力を発揮できないと歯噛みする男の子へと容赦なく、魔獣は前足を振り翳し、空気の刃を連続で放つ。
紙一重でかわすものの、擦った肌から血が吹き出す様を見、触れれば骨ごと切り裂かれると理解するも、一挙一動の度に傷口から流れ出る血が、身体から熱を奪う感覚を見舞い続ける。それでも彼はただ回避し続けるしかなかった。
どうする。かわした斬撃が背後の家屋らを三枚に下ろしていく様を見ながら、男の子は打倒の策を導きだそうとする。
ふいに、腰に下げていたかばんから、小瓶が転がり落ちる。それは先程弾き飛ばされた弓同様、無色の王から授かったものだった。
直後に彼の頭のなかに天啓を受けたかのような衝撃が走る。勇気を見せねば自分は死ぬ、という結論が叩きつけられたのだ。




