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第47話
それは、音だった。音が重さを持って暴風となり、男の子を目掛けて襲い掛かった。魔獣は腹の底から出した咆哮から来る衝撃を叩きつけたのだ。余波で周囲の建造物や力なく横たわる死体が音の嵐を前に、脆くも灰塵へ化す。
だが男の子は辛うじて無事であった。菫色の魔槍は捻れた刺を練り直し、盾の形となって持ち主を守ったのだ。
骨が軋み、臓物にまで響き渡る叫び声に、胃の中身すべてを吐き出しかけながらも、決して膝を折ることなく耐えきった男の子は、ふいに辺りを見渡す。
先程の音の爆撃で、赤も黒も関係なく壊滅状態であり、自分の立っていた場所の後方は見渡す限り硝子状に消し飛んでいた。
野放しには出来ない、と彼は思った。どんな理由があるにせよ、殺戮はさせるわけにはいかない。せめてこれ以上殺す前に殺してやることが出来ないと悟り、息を整え血を巡らせる。




